情報科学屋さんを目指す人のメモ

方法・手順・解説を書き残すブログ。私と同じことを繰り返さずに済むように。

簡単LaTeXインストールWindows編(2014年3月版)

タグ:,
コメント:0件 | アクセス:238 PV

LaTeXを簡単にインストールする方法を詳しく説明しますLaTeXを初めて使うWindowsユーザーにおすすめです。LaTeX本体だけでなく、編集ツール(エディタ)を含めた関連ソフトウェア一式をインストールします。

この記事1つを読めば、LaTeXを使って文章を書く環境が整い、PDFが作れるようになります

latex-logo

以前の記事との違い:1ページでPDFの作成まで扱うようにしました。利用するエディタをWinShellからTeXworksに変更し、インストール作業や初期設定作業を大幅に簡略化しました。また、実際私もTeXworksを利用しており、WinShellはもう使っていません。理由についてはまた今度。

ポリシー:インストールを目標にしない

LaTeXは、インストールが大変と言われたり、コマンドがどうこうと言われ、インストールが訓練のように扱われることもありますが、LaTeXで文章を書くことが目的であって、その他のことは、必要なときに必要な苦労をすれば良いだけで、インストールについてわざわざ苦労する必要なんて全くないと思っています。ですから、コンピュータに詳しくない人に向けて、手取り足取り教えていきたいと思います

インストール環境

今回の手順は、Windows 8.1 64bitで実験しています。ただし、Windows Vista・Windows 7などにおいても、若干の表示の違いがあるのみで、同じ手順でインストールできます

また、今回は「TeXインストーラ3 0.84r6(現在の最新版)」を利用して、インストールします。

インストール

まず、LaTeX本体やエディタなどの関連ツール一式をインストールします。

※以前はエディタとしてWinShellの利用を推奨していましたが、現在はTeXWorksがおすすめのエディタです(理由についてはまた今度書きます)。なので、この記事では「TeXWorks」を使って「PDFファイル」を作るところまでを扱います。

TeXインストーラ3のダウンロード

TeXインストーラ3のページにアクセスして、「最新版」をクリックして、「abtexinst_0_84r6.zip」を、どこでもいいので適当な場所にダウンロードします(今回は、デスクトップにtexinstallというフォルダを作り、その中にダウンロードしました)

latex-install-2014-03-05-download-installer

TeXインストーラ3を展開

次に、ダウンロードしたフォルダを開いて、「abtexinst_0_84r6.zip」を右クリックして、「すべて展開(T)...」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-begin-decompress

※「すべて展開...」が表示されない場合は、自分でアーカイバ(解凍ツール)をインストールしていた可能性があります。アーカイバによって操作方法が異なるので、各自展開を終えてください。

次に「展開(E)」をクリックしてください。

latex-install-2014-03-05-decompress

展開が開始され、次のウィンドウが表示されるので、「abtexinst」フォルダを開きます

latex-install-2014-03-05-open-abtexinst-folder

TeXインストーラ3の起動

次の一覧にある「abtexinst.exe」をダブルクリックして起動します

latex-install-2014-03-05-double-click-abtexinst-exe

インストール対象を確認

起動したら、

  • 角藤さんによるW32TeX
  • dviout for Windows
  • Ghostscript
  • GSview
  • TeXworks

表示を確認して、「次へ」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-check-and-next

W32TeXのインストール設定

次に、W32TeX(LaTeX本体のこと)のインストール設定を行いますが、設定は特に変更せず、「次へ」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-w32tex-settings-and-next

※補足1:このあと、W32TeXのダウンロードに失敗した場合は、ここの「URL」で別のURLに切り替えて、もう一度試してみてください。
※補足2:「Proxy(HTTPのみ)」は通常空欄のままで問題ありません。しかし、一部の学校や会社などでは、プロキシを利用している可能性があり、設定が必要な場合があります(このあとの手順を進めたときに、さっぱりダウンロードできない場合など)。環境ごとに設定値が異なるので、詳しい人に聞いてください。

dviout, Ghostscript, GSviewのインストール設定

次に、他の3つのソフトのインストール設定画面が表示されます。ここでも、設定は特に変更せず、「次へ」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-dviout-ghostscript-gsview-settings-and-next

※補足:このあと、dviout、Ghostscripot、GSviewのダウンロードに失敗した場合は、対応する「URL」の設定を切り替えて、もう一度試してみてください。

その他のソフトのインストール設定

次に、その他のソフトの一覧が表示されます。ここでは、特に設定を変更する必要がないので、TeXWorksが表示されていることを確認して、「次へ」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-texworks-settings-and-next

インストールファイルの選択(1)

一瞬、ファイル一覧の読み込み画面が表示されたあと、インストールするファイルを選択する画面が表示されます。変更不要なので、そのまま「次へ」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-select-install-file

※補足:自動的に適切な最新版ソフトウェアが選択されます

インストールファイルの選択(2)

次の画面でも、そのまま「次へ」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-select-other-install-file

自動ダウンロード

すると、ファイルのダウンロードが開始されます。

大量のファイルをダウンロードするので、ここで10分程度かかりますゆっくり待って、ダウンロード完了を待ちます

latex-install-2014-03-05-downloading-files

※補足:ダウンロードに失敗した場合は、abtexinst.exeと同じフォルダにあった「abtexinst_log.txt」の中身を確認して、原因の特定の参考にします

自動インストール

続いて、ダウンロードしたファイルが順次展開され、インストールされます。こちらも、しばらく待ってください

latex-install-2014-03-05-installing-files

Ghostscriptの初期設定

ここから、個別の初期設定を行います。

最初は、Ghostscriptなので、「Next」「I Agree」「Install」とクリックして、次の画像の画面まで進み、「Show Readme」を外して「Finish」をクリックします

latex-install-2014-03-05-install-ghostscript

補足:デフォルトのインストール先は「C:\Program Files (x86)\gs\gs9.10」

GSviewの初期設定

続いて、「WinZip Self-Extractor - gsv50w32.exe」という画面が表示されるので「Setup」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-setup-gsview

次の「Select Language」画面で「English」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-setup-gsview-select-language

残りの画面では、「Next」「Next」「Next」「Next」「Finish」「Exit」と進めます。

※補足:デフォルトのインストール先は「C:\Program Files (x86)\Ghostgum」

dvioutのインストール先指定

次の画面では、そのまま「OK」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-setup-dviout

インストール完了

すると、インストール完了画面が表示されて、終了です。表示内容を確認して、「完了」をクリックしてください。

latex-install-2014-03-05-finish-install

  • W32TeX:成功
  • dviout:成功
  • dvioutの設定:成功
  • Ghostscript:成功
  • GSview:成功
  • 環境変数:成功
  • その他のソフトウェア:成功

再起動

「再起動が必要です」と表示されるので、「はい」をクリックして再起動してください

latex-install-2014-03-05-reboot

追加設定

次に、いくつかの追加設定を行います。

GSviewの追加設定

まず、「Windowsキー+R」で「ファイル名を指定して実行」を開き、「gsview32.exe」と入力して「OK」をクリックし、GSViewを起動します()。

latex-install-2014-03-05-open-gsview32-exe

すると、次の画面が表示されるので、「OK」をクリックして閉じます。

latex-install-2014-03-05-gsview-registration

次に、「Options>Advanced Configures...」を開きます

latex-install-2014-03-05-open-gsview-advanced-configure

そして、下の画像のように、「Ghostscript Options」に「 -dWINKANJI」を追加してください(追加後、「-dNOPLATFONTS -sFONTPATH="c:\psfonts" -dWINKANJI」になります。これを貼り付けてもOKです。)

追加できたら、「OK」「バツボタン」で閉じてください

インストール完了

ここまでの作業で、インストールが完了します。

TeXファイル(.tex)を書いてPDFファイルを作る

いよいよ、TeXのコードを書きます。

TeXworksを起動

まず、デスクトップの「TeXworks」アイコンをダブルクリックして、TeXworksを起動します。

latex-install-2014-03-05-open-texworks

エンコーディングを「Shift_JIS」に変更する

今回は、Windows向けのLaTeXテンプレートファイルでよく使われる「Shift_JIS」を利用するように設定を変更します(補足:よく分かる人で、「UTF-8」が良い人は、初期設定が「UTF-8」なので、何もせず次に進んでOKです。よく分からなければ、手順通り「Shift_JIS」に変更してください)

まず、「編集>設定」を開きます

latex-install-2014-03-05-texworks-open-settings

次に、「エディタ>エンコーディング」を開いて、「Shift_JIS」を選択し、「OK」をクリックしてください。

latex-install-2014-03-05-shift-jis

TeXworksを開き直す

一度「バツボタン」でTeXworksを閉じて、もう一度「TeXworks」のショートカットをダブルクリックしてTeXworksを開き直してください

TeXファイルを書く

続いて、次の4行を、入力してください(画像の円マークが、このブログ上でななめ線で表示される場合がありますが、同じものなので、そのままコピーできます)

\documentclass[a4j]{jarticle}
\begin{document}
初めての\LaTeX
\end{document}

latex-install-2014-03-05-input-sample-tex-shift-jis

とても短いですが、これで完結した一つのtexファイルとして完結しています。

TeXファイルの保存

ここで、一度このファイルを保存します。

まず、「ファイル>保存(Ctrl+S)」をクリックします。

latex-install-2014-03-05-save-sample-tex

ここで、「新しいフォルダ」をクリックして、新しいフォルダを作り、「latex-sample」という名前のフォルダを新規作成してください(補足:フォルダ名などは英数字のみで記述するようにしてください。LaTeXの関連ツールの中には、日本語が含まれると正しく動作しない場合があります)

latex-install-2014-03-05-create-new-folder

そして、「latex-sample」フォルダをダブルクリックで開いてファイル名を「paper.tex」に変更し、「保存」をクリックしてください。

latex-install-2014-03-05-save-paper-tex

PDFファイルを出力する

続いて、「左上の再生ボタン」をクリックしてください。

latex-install-2014-03-05-start-latex

すると、一瞬だけ、次のような動作内容の表示(動作ログ)が表示されます(この表示が消えない場合は、エラーが発生したことを意味します。入力した内容を確認したり、エラーについてWEBで調べてみたりしてください)

latex-install-2014-03-05-generating-pdf-02

PDF完成

完了すると、すぐにPDFの内容が画面右に表示されるはずです。

latex-install-2014-03-05-sample-pdf

生成されたPDFファイル(paper.pdf)は、paper.texファイルと同じ所に作成されているので、確認してみてください

latex-install-2014-03-05-paper-pdf

注意

これで、LaTeXの本を読みながら、LaTeXの書き方の勉強を開始できます。

[改訂第6版] LaTeX2ε美文書作成入門
[改訂第6版] LaTeX2ε美文書作成入門

しかし、実際は、卒論のテンプレート(デザインなどを含めたファイル一式)や、学会のテンプレートを使うことが多いと思います。

その際、以下の点に注意することを忘れないでください。

  • テンプレートを学会のホームページなどからダウンロードする際は、「Windows用(Shift_JIS)」と書かれているものをダウンロードしてください
  • 提供されているテンプレートを利用する際は、テンプレートの中の「.tex」をダブルクリックで開いてください
  • もし、PDFを作る際にエラーが発生しても、それが直ちにインストール失敗を意味するものではありません
    • 同じ.texファイルが、どんな環境でも同じ見た目のPDFファイルを出力するわけではありません
    • テンプレートの説明文をよく読んで、利用してください
    • 追加のファイルを別途用意する必要があるテンプレートもあります
  • 今回の手順で実行されるコマンドは「C:\w32tex\bin\pdfplatex.bat」であり、具体的な内容は次の通りです:「platex -synctex=1 -jobname="%~n1" -kanji=utf8 -guess-input-enc %1 && dvipdfmx "%~n1"」。実行内用に関する設定は、TeXworksの「編集>設定>タイプセット」から確認・変更ができます。

エラーが出たときは

インストールや、PDF作成中にエラーが出た場合は、以前の記事のFAQなども参考にしてみてください。

ブログの更新情報はこちらから

RSS を 購読 する Facebook いいね! は こちら から Twitter で @did2memo をフォロー

コメント(0)

新しいコメントを投稿




  • カテゴリ ナビ
  • 自己紹介

    author : did2

    Twitter:@did2memo

    東工大でP2Pの研究をしている博士2年生です。就職先を探しています。

    ブログが趣味で、BLOGOSブロガーです。
    ブログ開設後約1年半で、月間150万ページビューを達成。

    LINE/LaTeX/Windows/Mac/Android/WordPress/トラックボール/HHKB/AutoHotkey/Eclipse/マルチモニタ

  • 経過日数

    開設 714 日経過

  • 総エントリ数

     802  エントリ