LaTeXを簡単にインストールする方法を詳しく説明します。LaTeXを初めて使うWindowsユーザーにおすすめです。LaTeX本体だけでなく、編集ツール(エディタ)を含めた関連ソフトウェア一式をインストールします。
この記事1つを読めば、LaTeXを使って文章を書く環境が整い、PDFが作れるようになります。
※以前の記事との違い:1ページでPDFの作成まで扱うようにしました。利用するエディタをWinShellからTeXworksに変更し、インストール作業や初期設定作業を大幅に簡略化しました。また、実際私もTeXworksを利用しており、WinShellはもう使っていません。理由についてはまた今度。
目次
- 1 ポリシー:インストールを目標にしない
- 2 インストール環境
- 3
インストール
- 3.1 TeXインストーラ3のダウンロード
- 3.2 TeXインストーラ3を展開
- 3.3 TeXインストーラ3の起動
- 3.4 インストール対象を確認
- 3.5 W32TeXのインストール設定
- 3.6 dviout, Ghostscript, GSviewのインストール設定
- 3.7 その他のソフトのインストール設定
- 3.8 インストールファイルの選択(1)
- 3.9 インストールファイルの選択(2)
- 3.10 自動ダウンロード
- 3.11 自動インストール
- 3.12 Ghostscriptの初期設定
- 3.13 GSviewの初期設定
- 3.14 dvioutのインストール先指定
- 3.15 インストール完了
- 3.16 再起動
- 4 追加設定
- 5 インストール完了
- 6 TeXファイル(.tex)を書いてPDFファイルを作る
- 7 PDF完成
- 8 注意
- 9 エラーが出たときは
ポリシー:インストールを目標にしない
LaTeXは、インストールが大変と言われたり、コマンドがどうこうと言われ、インストールが訓練のように扱われることもありますが、LaTeXで文章を書くことが目的であって、その他のことは、必要なときに必要な苦労をすれば良いだけで、インストールについてわざわざ苦労する必要なんて全くないと思っています。ですから、コンピュータに詳しくない人に向けて、手取り足取り教えていきたいと思います。
インストール環境
今回の手順は、Windows 8.1 64bitで実験しています。ただし、Windows Vista・Windows 7などにおいても、若干の表示の違いがあるのみで、同じ手順でインストールできます。
また、今回は「TeXインストーラ3 0.84r6(現在の最新版)」を利用して、インストールします。
インストール
まず、LaTeX本体やエディタなどの関連ツール一式をインストールします。
※以前はエディタとしてWinShellの利用を推奨していましたが、現在はTeXWorksがおすすめのエディタです(理由についてはまた今度書きます)。なので、この記事では「TeXWorks」を使って「PDFファイル」を作るところまでを扱います。
TeXインストーラ3のダウンロード
TeXインストーラ3のページにアクセスして、「最新版」をクリックして、「abtexinst_0_84r6.zip」を、どこでもいいので適当な場所にダウンロードします(今回は、デスクトップにtexinstallというフォルダを作り、その中にダウンロードしました)。
TeXインストーラ3を展開
次に、ダウンロードしたフォルダを開いて、「abtexinst_0_84r6.zip」を右クリックして、「すべて展開(T)...」をクリックします。
※「すべて展開...」が表示されない場合は、自分でアーカイバ(解凍ツール)をインストールしていた可能性があります。アーカイバによって操作方法が異なるので、各自展開を終えてください。
次に「展開(E)」をクリックしてください。
展開が開始され、次のウィンドウが表示されるので、「abtexinst」フォルダを開きます。
TeXインストーラ3の起動
次の一覧にある「abtexinst.exe」をダブルクリックして起動します。
インストール対象を確認
起動したら、
- 角藤さんによるW32TeX
- dviout for Windows
- Ghostscript
- GSview
- TeXworks
の表示を確認して、「次へ」をクリックします。
W32TeXのインストール設定
次に、W32TeX(LaTeX本体のこと)のインストール設定を行いますが、設定は特に変更せず、「次へ」をクリックします。
※補足1:このあと、W32TeXのダウンロードに失敗した場合は、ここの「URL」で別のURLに切り替えて、もう一度試してみてください。
※補足2:「Proxy(HTTPのみ)」は通常空欄のままで問題ありません。しかし、一部の学校や会社などでは、プロキシを利用している可能性があり、設定が必要な場合があります(このあとの手順を進めたときに、さっぱりダウンロードできない場合など)。環境ごとに設定値が異なるので、詳しい人に聞いてください。
dviout, Ghostscript, GSviewのインストール設定
次に、他の3つのソフトのインストール設定画面が表示されます。ここでも、設定は特に変更せず、「次へ」をクリックします。
※補足:このあと、dviout、Ghostscripot、GSviewのダウンロードに失敗した場合は、対応する「URL」の設定を切り替えて、もう一度試してみてください。
その他のソフトのインストール設定
次に、その他のソフトの一覧が表示されます。ここでは、特に設定を変更する必要がないので、TeXWorksが表示されていることを確認して、「次へ」をクリックします。
インストールファイルの選択(1)
一瞬、ファイル一覧の読み込み画面が表示されたあと、インストールするファイルを選択する画面が表示されます。変更不要なので、そのまま「次へ」をクリックします。
※補足:自動的に適切な最新版ソフトウェアが選択されます
インストールファイルの選択(2)
次の画面でも、そのまま「次へ」をクリックします。
自動ダウンロード
すると、ファイルのダウンロードが開始されます。
大量のファイルをダウンロードするので、ここで10分程度かかります。ゆっくり待って、ダウンロード完了を待ちます。
※補足:ダウンロードに失敗した場合は、abtexinst.exeと同じフォルダにあった「abtexinst_log.txt」の中身を確認して、原因の特定の参考にします。
自動インストール
続いて、ダウンロードしたファイルが順次展開され、インストールされます。こちらも、しばらく待ってください。
Ghostscriptの初期設定
ここから、個別の初期設定を行います。
最初は、Ghostscriptなので、「Next」「I Agree」「Install」とクリックして、次の画像の画面まで進み、「Show Readme」を外して「Finish」をクリックします。
補足:デフォルトのインストール先は「C:\Program Files (x86)\gs\gs9.10」
GSviewの初期設定
続いて、「WinZip Self-Extractor - gsv50w32.exe」という画面が表示されるので「Setup」をクリックします。
次の「Select Language」画面で「English」をクリックします。
残りの画面では、「Next」「Next」「Next」「Next」「Finish」「Exit」と進めます。
※補足:デフォルトのインストール先は「C:\Program Files (x86)\Ghostgum」
dvioutのインストール先指定
次の画面では、そのまま「OK」をクリックします。
インストール完了
すると、インストール完了画面が表示されて、終了です。表示内容を確認して、「完了」をクリックしてください。
- W32TeX:成功
- dviout:成功
- dvioutの設定:成功
- Ghostscript:成功
- GSview:成功
- 環境変数:成功
- その他のソフトウェア:成功
再起動
「再起動が必要です」と表示されるので、「はい」をクリックして再起動してください。
追加設定
次に、いくつかの追加設定を行います。
GSviewの追加設定
まず、「Windowsキー+R」で「ファイル名を指定して実行」を開き、「gsview32.exe」と入力して「OK」をクリックし、GSViewを起動します()。
すると、次の画面が表示されるので、「OK」をクリックして閉じます。
次に、「Options>Advanced Configures...」を開きます。
そして、下の画像のように、「Ghostscript Options」に「 -dWINKANJI」を追加してください(追加後、「-dNOPLATFONTS -sFONTPATH="c:\psfonts" -dWINKANJI」になります。これを貼り付けてもOKです。)。
追加できたら、「OK」「バツボタン」で閉じてください。
インストール完了
ここまでの作業で、インストールが完了します。
TeXファイル(.tex)を書いてPDFファイルを作る
いよいよ、TeXのコードを書きます。
TeXworksを起動
まず、デスクトップの「TeXworks」アイコンをダブルクリックして、TeXworksを起動します。
エンコーディングを「Shift_JIS」に変更する
今回は、Windows向けのLaTeXテンプレートファイルでよく使われる「Shift_JIS」を利用するように設定を変更します(補足:よく分かる人で、「UTF-8」が良い人は、初期設定が「UTF-8」なので、何もせず次に進んでOKです。よく分からなければ、手順通り「Shift_JIS」に変更してください)。
まず、「編集>設定」を開きます。
次に、「エディタ>エンコーディング」を開いて、「Shift_JIS」を選択し、「OK」をクリックしてください。
TeXworksを開き直す
一度「バツボタン」でTeXworksを閉じて、もう一度「TeXworks」のショートカットをダブルクリックしてTeXworksを開き直してください。
TeXファイルを書く
続いて、次の4行を、入力してください(画像の円マークが、このブログ上でななめ線で表示される場合がありますが、同じものなので、そのままコピーできます)。
\documentclass[a4j]{jarticle}
\begin{document}
初めての\LaTeX
\end{document}
とても短いですが、これで完結した一つのtexファイルとして完結しています。
TeXファイルの保存
ここで、一度このファイルを保存します。
まず、「ファイル>保存(Ctrl+S)」をクリックします。
ここで、「新しいフォルダ」をクリックして、新しいフォルダを作り、「latex-sample」という名前のフォルダを新規作成してください(補足:フォルダ名などは英数字のみで記述するようにしてください。LaTeXの関連ツールの中には、日本語が含まれると正しく動作しない場合があります)。
そして、「latex-sample」フォルダをダブルクリックで開いて、ファイル名を「paper.tex」に変更し、「保存」をクリックしてください。
PDFファイルを出力する
続いて、「左上の再生ボタン」をクリックしてください。
すると、一瞬だけ、次のような動作内容の表示(動作ログ)が表示されます(この表示が消えない場合は、エラーが発生したことを意味します。入力した内容を確認したり、エラーについてWEBで調べてみたりしてください)。
PDF完成
完了すると、すぐにPDFの内容が画面右に表示されるはずです。
生成されたPDFファイル(paper.pdf)は、paper.texファイルと同じ所に作成されているので、確認してみてください。
注意
これで、LaTeXの本を読みながら、LaTeXの書き方の勉強を開始できます。
しかし、実際は、卒論のテンプレート(デザインなどを含めたファイル一式)や、学会のテンプレートを使うことが多いと思います。
その際、以下の点に注意することを忘れないでください。
- テンプレートを学会のホームページなどからダウンロードする際は、「Windows用(Shift_JIS)」と書かれているものをダウンロードしてください
- 提供されているテンプレートを利用する際は、テンプレートの中の「.tex」をダブルクリックで開いてください
- もし、PDFを作る際にエラーが発生しても、それが直ちにインストール失敗を意味するものではありません
- 同じ.texファイルが、どんな環境でも同じ見た目のPDFファイルを出力するわけではありません
- テンプレートの説明文をよく読んで、利用してください
- 追加のファイルを別途用意する必要があるテンプレートもあります
- 今回の手順で実行されるコマンドは「C:\w32tex\bin\pdfplatex.bat」であり、具体的な内容は次の通りです:「platex -synctex=1 -jobname="%~n1" -kanji=utf8 -guess-input-enc %1 && dvipdfmx "%~n1"」。実行内用に関する設定は、TeXworksの「編集>設定>タイプセット」から確認・変更ができます。
エラーが出たときは
インストールや、PDF作成中にエラーが出た場合は、以前の記事のFAQなども参考にしてみてください。