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こういう、細くて先の曲がったナイフらしきものを初めてみたのは、米兵と結婚して横須賀の海軍基地の中で暮らしていた叔母の家の台所だ。
これ何?と聞いたら「ああ、グレープフルーツナイフ。皮に沿って差し込むと実が綺麗にとれるの。便利よ」と叔母がすまして答えた。
それで、ひっくり返してしげしげと眺めていたら、母が声をひそめて言った。
「外国の人ってものすごく不器用なのよ。日本人なら包丁一本で大抵のことができるけど、あの人たちはりんごを剥くにもバナナを切るにも何かしら道具がないとダメなの。だからこういう余計な道具がやたらとあるのね。台所が広いからいいんでしょうけど…」
その時の母があんまり気の毒そうな顔をするので、「そんなに不器用なのかあ、可哀想に」と心から思った。
今では日本にもだいぶ、バナナカッターやらアボカドカッターやら余計なものが増えてきたけれど、やっぱり外国のキッチンツールは相変わらず斜め上をいく。
みじん切りにした時に包丁についた欠片を安全かつクリーンに取り除けるスグレモノ、$2.99。
100均で2個100円レベルでしょ。ていうか、手を使えばいいでしょ?
Chef’n Strawberry Slicer | Williams-Sonoma
いちごスライサー、$14.95。何故いちごを切るために1500円も払ってこのガンダムの足のような物を購入しなければならないのか。
じゃがいもを皮付きのまま拍子切りにする装置、$99.95。高まるファクトリー感、プライスレス。
まったく外国人たちの「不器用なくせに無茶をするわけは面倒くさがり屋で効率主義。世界よ、これが文明だ」みたいなやり方。効率がいいんだか悪いんだかわからないやり方。すごい。
なのに何故。
あれほど、自らの不器用さをテクノロジーでカバーしようとする外国人たちは何故、CDのパッケージにはなんの改良も加えないのですか、神よ。
輸入盤のCDを買う度に「外国人はこれを開けられるのか」と不安になる程だ。
日本のCDなら、フィルムにピーッと引っ張るテープがついているのに、ありゃしない。
おまけにガッチリ貼られた封印シール。隅に「Pull」とか書いてあるけど、この「Pull」は「こちら側のどこからでも切れます」と同じくらい、口先だけのトラップだってことはわかってるんだぜ。
いちごスライサーの技術を、パイナップルくり抜き機を作成する情熱を、ここにも注ごうよ・・・と思いつつ、先日買ったくじらナイフで封を切った。
まあね、こうやってナイフがあれば済む話だけれどね。でもそれなら、いちごだってアボカドだって、じゃが芋だってナイフで切ればいいじゃない!