第六号 夢の中にいる悪魔
正義など存在しない。
悪魔は、やはり悪なのだ。
人を生かすためには、弱い人間を淘汰しなければならない。
悪魔はそれを手助けしているのだ。
病気戦争災害、ありとあらゆる手を使い、人類の人口増加を防いできた。
それは他ならない、全地上の生物のためになるからだ。
人間は平和を享受したいという思いが一段と強い。
現実には目を背けて平和を求める。
彼らはその矛盾と建前を、割り切ることができないでいる。
だから、手助けするのだ。
一番つらい思いをしているのは人間ではない。
人間を殺す我々なのだ。
夢ですらない夢を追い求めることが、どれだけ困難か。
達成することができない課題。
全員が豊かな生活をしようとすれば、地球にいる人間を減らさなければならない。
いまを生きながらえる者が増えれば、より困難になることを。
見て見ぬふりをする愚者を。
真の平和を求めたいならば、徹底的に不必要なものを捨てなければならない。
平和を語る者は偽善者だ。
世界を救っているという妄想に自己満足する愚か者どもだ。
平和を望む者はだれもいない。
平和を望んではならない。
望むのは――
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