■雨漏り、天井落下、エアバッグ作動せず…
また、昨年4月には米国で販売した乗用車など計約187万台をリコール(回収・無償修理)。ブレーキを踏んでもブレーキランプが点灯しないほか、事故時にエアバッグが作動した際に、車の天井の一部が落下する恐れがあるという欠陥が見つかった。自動車大国の米国で発覚した偽装や欠陥で「現代自の評価は地に落ちた」とまでいわれるほどだ。
しかも、韓国国内で昨年4月に発売された新型「サン タフェ」は、トランクや後部座席に雨漏りするとの抗議が相次ぎ、同8月に現代自は謝罪し、無償修理を約束するとともに、保証修理期間を5年に延長。前代未聞の『雨漏り』問題は韓国のみならず、世界中の自動車愛好家に伝わり、現代自の品質低下に懸念を示す声が高まっていた。
現代自は、サムスン電子と並ぶ韓国経済を支える財閥大手だが、サムスンとは異なり、労働組合の存在が「製造業として最も大事な品質にマイナスの影響を及ぼしている」(関係者)といわれる。
■労組の無謀な要求が品質悪化の遠因!?
現代自労組は毎年のように“無謀”な賃上げ要求を経営側に突き付け、交渉が難航するたびに、時限ストライキによって工場の製造ラインは停止。ラインの停止が即、品質に影響を及ぼすことはないものの、「それでも労組の強硬な賃金闘争が品質にプラスに働くことはない。少しずつ現代自の製造力は落ちているのではないか…」と前出の関係者は推測する。
今回のコンシューマー・リポートは、米国の消費者が判断したものだが、おひざ元の韓国でも厳しい評価が下されつつある。自国では圧倒的なシェアを誇る現代自グループだが、ここ数年は独BMWやトヨタなどの高級車の売れ行きが好調で、それにあわせて現代自のシェアが低下。13年は60%台と6年ぶりに70%を割りこんだと一部では伝えられており、韓国人の“現代自離れ”は確実に進んでいる。
14年のコンシューマー・リポートの上位5ブランドは、(1)レクサス(トヨタ)(2)アキュラ(ホンダの高級車ブランド)(3)アウディ(4)スバル(富士重工業)(5)トヨタ−と4ブランドを日本車が占めた。さらに(6)マツダ(7)ホンダ…と、韓国車とは対照的に日本車が圧倒的なパフォーマンスをみせている。