特定秘密保護法案をめぐり、こんな議論まで飛び出した。

 小池百合子元防衛相が衆院特別委員会で、新聞の「首相動静」をやり玉に挙げた。

 「毎日、何時何分に誰が入って何分に出たとか、必ず各紙に出ている。知る権利を超えているのではないか」

 その意に沿うように、27日の首相動静の一部を黒塗りにしてみると――。

 首相動静、■日

 【午前】■時■分、東京・■■■■町の■■省。■分、■■自衛隊ヘリコプターで同所発。■■、■■■■■■■■■同行。■分、東京・■■■■町の■■■■駐屯地着。

 【午後】■時■分、■■方面総監部庁舎で■■■■■相、■■■■副大臣らと食事。■時■分、■■ヘリで同駐屯地発。■分、■■空港着。

 情報統制のもとで、あえて首相の動きを伝えようとすると、こうなってしまう。

 小池氏は「日本は機密に対する感覚をほぼ失っている平和ボケの国だ」とも述べた。

 そうだろうか。

 菅官房長官はその後の記者会見で「各社が取材して公になっている首相の動向なので、特定秘密の要件にはあたらない」と説明した。当然だ。

 小池氏は第1次安倍内閣で、安全保障担当の首相補佐官に任命され、国家安全保障会議(日本版NSC)の創設を主導してきた政治家である。情報公開を軽んじる考えを国会で公言するような人物が、NSC法案や秘密保護法案を進めているということか。

 同じ安倍内閣で小池氏が経験した防衛相ポストは、秘密保護法案によれば、まさに特定秘密を指定する権限をもつ「行政機関の長」にあたる。

 それを考えると、やはり秘密が際限なく増えていく懸念はぬぐえない。

 一方、民主党政権の時代にも、秘密保全法制がらみの情報公開請求に対し、全面黒塗りの資料が公開されたことがある。

 「■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■」

 こんな具合だ。

 政治家や官僚は、だれのために働いているのか。原点から考え直してもらいたい。

 たしかに首相動静は、他国の新聞ではあまり見ない欄だが、むしろ日本政府の透明性を誇るべきではないか。

 いったん秘密保護法が成立すれば、何が特定秘密かもわからなくなる。

 黒塗りの文書でさえ出てこないのである。