Updated: Tokyo  2014/03/06 21:06  |  New York  2014/03/06 07:06  |  London  2014/03/06 12:06
 

大阪「阿倍野ミクス」で東京に対抗-近鉄の日本一高層ビル開業

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  3月6日(ブルームバーグ):近畿日本鉄道 が大阪市阿倍野区に建てた日本一の高層ビル、あべのハルカスが7日に開業する。東京オリンピックの開催決定など景気のいい話が首都圏に集中する中、国内第2の経済圏である大阪としてはアベノミクスならぬ「阿倍野ミクス」効果でビジネスや観光客を地元に集めたい考えだ。

近鉄によると、同社が計約1300億円の事業費を投じて建設したあべのハルカスは地上60階、地下5階のビルに百貨店やオフィス、ホテル、美術館や展望台が入る複合施設。地上300メートルの高さは横浜のランドマークタワー(296メートル)を抜いて国内一という。昨年から百貨店など一部が先行オープンしており、7日が全面開業となる。

ビルが建つ阿倍野地区はJR天王寺駅周辺のエリアで、梅田、難波に次いで大阪で3番目の規模の繁華街として知られる。阿倍野区には家電メーカーのシャープの本社もある。ハルカスのウェブサイトによると、ビルの名称は平安時代から使われていた「晴れ晴れとさせる」という意味の古語「晴るかす」からとり、「大阪から日本一を」との思いが込められているという。昨年、JR大阪駅前に開業したグランフロント大阪も含めて、地盤沈下が指摘されて久しい関西経済活性化の起爆剤としての効果が期待されている。

三鬼商事の小畑大太次長は、あべのハルカスのテナントは現時点ですでにおおむね埋まっているものの、その多くは市内からの移転組で、「地域に与えるインパクトは大きくない」とみている。

国際連合の統計によると、総人口の減少が見込まれる日本で第2の規模を持ち、大阪に神戸などを含めた阪神地域の人口は2015年に1130万人になると予測されている。10年前とほぼ同じ水準で、世界の巨大都市圏の人口ランキングでは4つ順位を落として19位になる見通し。一方、東京圏の同年の人口は3550万人で世界一の地位を維持する。

経済特区で新ビジネスを

大阪は戦前の一時期に東京を上回る経済規模だったこともあり、旧住友銀行や旧三和銀行など現在のメガバンクの前身の銀行が本店を構えていた。小畑氏は、現状では東京に本社を構える会社が圧倒的に多い上に、企業が国内市場より海外市場の強化に関心を向けるようになっていると述べた。

楽天証券の窪田真之チーフストラテジストは、あべのハルカスについて「施設そのものは成功するだろうが、それによって地域全体の需要が増えることはない」と指摘。関西の経済成長にはハルカスのようなハード面の整備だけでは不十分であり、政府が進める経済特区への申請を通じて、「特区から新しいビジネスを生み出すようなことに取り組むべきだ」との考えを示した。

近鉄が10年5月に発表した14年度までのグループ経営計画で、阿倍野橋ターミナルビル整備(あべのハルカス)の概要によると、14年度のグループ連結収支予想の売上高約1550億円、営業利益約80億円、投資回収は約15年となっている。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 Chris Cooper ccooper1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Young-Sam Cho ycho2@bloomberg.net浅井秀樹, 淡路毅

更新日時: 2014/03/06 11:17 JST

 
 
 
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