焦点:中国監視船は「第2の海軍」か、規模拡大で近隣国の脅威に
[北京/香港 6日 ロイター] -フィリピン漁船に対する妨害活動、日本の巡視船とのにらみ合い──。規模の拡大が続く中国の海洋監視船はアジアの係争海域で、その存在感を日増しに強めている。
監視船は最近再編された中国の海洋警備・取り締まりを行う「中国海警局」の船舶で、東・南シナ海で領有権を主張する島や岩礁周辺などに展開。軍艦が持つ武器は配備されていないことから、衝突によって制御不能になる事態に陥るリスクは低いものの、領有権主張の強力なメッセージとなっている。
海警局が所属するのは、軍ではなく国家海洋局だ。ただ、米海軍関係者や専門家らは、海警局は人民解放軍(PLA)と連携して活動しているとの見方を示している。また、専門家からは、海警局の活動は、中国の国防費の実態を把握するのを困難にしている一例だとの声も聞こえる。
中国政府は5日、2014年の国防予算は12.2%増の1315億ドルと発表。ただ、予算外での支出も多いとみられ、専門家は実際の規模は2000億ドル近くと見込んでいる。中国の国防費は米国(米国防総省の2014年度基本予算は5268億ドル)に次ぐ世界2位の規模だが、軍の退役艦を含む監視船の予算や、海洋警備全体にかかる予算は明らかになっていない。
李克強首相は、5日開幕した中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、国境・領海・領空防衛の強化を強調したが、監視船の増強計画やその活動などに関する発言はなかった。
米ヘリテージ財団のディーン・チェン氏は、「予算拡大や重要度の高まりを受け、(中国の)海洋監視部隊は過去数年、新たな艦船を次々に配備している」と指摘。「その規模は大きく、敵対国にとっては脅威になり得る」と述べた。
<放水事件>
中国が領有権の主張を強める中、同国は東シナ海では尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐり日本と対立。石油・天然ガス資源が豊富とされる南シナ海では、約9割の海域の領有権を主張し、ベトナムやフィリピンなどと対立している。 続く...