2号機から漏れたと見られる放射性物質。
なぜ圧力抑制室の水に閉じ込めることができなかったのか?
メルトダウンが進むなかで起きていたある変化に議論は行き着きました。
原発事故対策の専門家
「サプレッションチャンバー(圧力抑制室)が沸いてしまった。
全部の蒸気がサプレッションチャンバーに入ったらあっという間に100℃になる。」
シミュレーションの専門家
「サプレッションチャンバー(圧力抑制室)の蒸気凝縮の能力が極端に落ちた。
完全には凝縮されないから、環境へのFP(放射性物質)の放出が増える。」
圧力抑制室は、電源を喪失し、冷却機能を失っていたため、原子炉から流れ込む大量の蒸気によって一気に沸騰。
放射性物質を吸着する能力が大幅に低下していた、と見られています。
残った放射性物質は格納容器に充満。
高い圧力に晒されていた格納容器の上部の隙間などから漏えいしたと見られています。
原子炉を守るための作業が、放出につながった可能性があるのです。
原発事故対策の専門家
「あの時はどうしようもないジレンマ。
大量の水を入れなければ炉心は冷えない。
また溶け出してもっともっと、圧力容器を破壊する。」
この時、関東地方に向かって、どれだけの放射性物質が放出されたのか。
日本原子力研究開発機構 茅野政道部門長
「1号機の水素爆発とくらべると、水素爆発が瞬間的なのに対して、この3月14日の21時以降というのは、継続的に高い放出率が続いているから放出量は、水素爆発の10倍から20倍とかそれくらいは出ていると思う。」
こうした指摘に、東京電力は?
東京電力 松本純一本部長代理
「これ以上放射性物質の大量流出につなげないというギリギリの線だったのではないかと思う。
放出した放射能濃度の評価状況について、これでまだ十分とは思っていないので、引き続き評価していきたい。」
これまで知られてこなかった、冷却中の放射性物質の放出。
専門家は、これ以外にも海への放出など、今後解明すべき問題が残っていると指摘しています。
日本原子力研究開発機構 茅野政道部門長
「これから炉内のどこにどういう線量があるかきちんと調べて、だんだんわかってくるので、まだ外側の外堀をやっと埋め始めたような状態だと思う。」
井上
「注水を行うために必要な作業が防ごうとしていた放射性物質の放出を促した可能性があるとすると、皮肉な結果ですね。」
大越
「事故原因の究明は、まだまだ終わっていないという思いを強くします。
大飯原発の3号機に続いて4号機があす未明フル稼働。
原発の稼働再開は進むが、事故の検証の手をこれからもゆるめるわけにはいかない。」