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発明の名称 自動排泄処理装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−89668(P2007−89668A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−280352(P2005−280352)
出願日 平成17年9月27日(2005.9.27)
代理人 【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
発明者 島田 博輝 / 尾形 智恵子
要約 課題
本発明は、排泄物が糞尿のいずれかであるのかを識別することができ、識別された排泄物の種類に応じて、使用者の洗浄対象部位を適温及び適量の温水で洗浄するように構成された自動排泄処理装置を提供する。

解決手段
本発明の自動排泄処理装置100は、使用者の股間部に装着される排泄用容器200を用いて使用者の排泄物を自動的に処理する自動排泄処理装置であって、排泄用容器に設置され、洗浄水を噴射する噴射手段と、排泄用容器に設置され、使用者の排泄物の種類を検知する検知手段と、排泄用容器に設置され、検知手段によって検知された排泄物の種類に応じて噴射手段の噴射方向を調整する噴射方位調整手段と、検知手段によって検知された排泄物の種類に対応する使用者の洗浄対象部位に向けて洗浄水を噴射すべく噴射方位調整手段及び噴射手段を制御する制御手段400とを備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
使用者の股間部に装着される排泄用容器を用いて該使用者の排泄物を自動的に処理する自動排泄処理装置であって、
排泄用容器に設置され、洗浄水を噴射する噴射手段と、
前記排泄用容器に設置され、使用者の排泄物の種類を検知する検知手段と、
前記排泄用容器に設置され、前記検知手段によって検知された前記排泄物の種類に応じて前記噴射手段の噴射方向を調整する噴射方位調整手段と、
前記検知手段によって検知された前記排泄物の種類に対応する使用者の洗浄対象部位に向けて洗浄水を噴射すべく前記噴射方位調整手段及び前記噴射手段を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする自動排泄処理装置。
【請求項2】
前記制御手段により制御され、前記排泄物及び前記洗浄対象部位を洗浄した後の前記洗浄水を前記排泄用容器から排出する排出手段と、
前記制御手段により制御され、前記排出手段により排出された前記排泄物及び前記洗浄後の洗浄水を排泄処理する排泄物処理手段と、
を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の自動排泄処理装置。
【請求項3】
前記制御手段により制御され、かつ前記泄物処理手段で処理された排泄物に関するデータを読み取るデータ読取手段と、
前記データ読取手段で読み取ったデータを送信するデータ送信手段と、
を更に備え、
前記データ読取手段は、計測装置で計測した使用者の生体情報に関するデータを読み取るように構成され、かつ前記データ送信手段は、使用者の健康状態を管理するために、前記データ読取手段で読み取った前記生体情報に関するデータを、通信網を経由して、健康管理を行っている場所に送信するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の自動排泄処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検知手段により検出された排泄物の種類に応じて、洗浄水を適度の水圧に調整すると共に、該洗浄水が噴射される時間を調整すべく前記噴射手段を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自動排泄処理装置。
【請求項5】
前記洗浄対象部位を洗浄した後、未使用の洗浄水を用いて前記排泄用容器の内部を洗浄する排泄用容器洗浄手段を更に備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の自動排泄処理装置。
【請求項6】
前記洗浄対象部位を洗浄した後、前記排泄用容器の内部及び前記洗浄対象部位に温風を送風して乾燥させる温風送風手段を更に備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の自動排泄処理装置。
【請求項7】
前記排泄用容器は、当該排泄用容器の内部を外部から目視可能な透明材質で形成することを特徴とする請求項1に記載の自動排泄処理装置。
【請求項8】
前記排泄用容器と使用者の股間部との間を密閉する排泄用装着具シール体を更に備え、
前記排泄用装着シール体は、
使用者の股間部の肌面に当接する前記排泄用容器の開口端部に設け、使用者の股間部の肌面に密着するシール面を有して長手方向に垂直な断面形状を中空形状、または襞形状に形成したシール本体と、
前記シール本体の前記シール面に設けて使用者の股間部の肌面に密着する、前記シール本体の長手方向に沿って突設したリブ状構造部と、
を備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の自動排泄処理装置。
【請求項9】
前記排泄用容器が使用者に装着された後、前記シール本体の前記シール面及び前記リブ状構造部を使用者の股間部の肌面に密着するためのジェルを供給するジェル供給手段と、
前記密着を確保するために使用者の個体差に応じて前記ジェル供給手段から供給されたジェルの量を調整するためのジェル調整手段と、
を更に備えていることを特徴とする請求項8に記載の自動排泄処理装置。
【請求項10】
前記シール本体は、前記長手方向に垂直な断面形状をD型形状、またはC型形状に形成したことを特徴とする請求項8に記載の自動排泄処理装置。
【請求項11】
前記シール本体は、前記長手方向に垂直な断面形状を前記排泄用容器の外側へ向かって薄肉に形成し、この排泄用容器の外側から受ける力を弾性力により分散して吸収することを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の自動排泄処理装置。
【請求項12】
前記排泄用容器と使用者の股間部との間で形成される空間内の圧力状態に応じて、当該空間の内圧により前記シール本体が弾性的に変形して当該シール本体の前記シール面及び前記リブ状構造部と使用者の股間部の肌面との間の密着を調整する圧力調整手段を更に備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の自動排泄処理装置。
【請求項13】
前記排泄用容器は、男性陰部を保護する男性陰部収納部を設けると共に、使用者の腰部に固定する固定部を設けてこの固定部と前記男性陰部収納部とを伸縮自在な連結部により着脱自在に連結することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の自動排泄処理装置。
【請求項14】
前記固定部は、前記排泄用容器に固定する固定部本体と、この固定部本体に着脱自在に設ける、使用者の体型に応じた腰マット部とを有し、この腰マット部に設けたベルト部に前記連結部を着脱自在に取り付けることを特徴とする請求項13に記載の自動排泄処理装置。
【請求項15】
前記固定部本体は、使用者の腰部の体荷重を分散するための体荷重分散マット部を背面側に設けたことを特徴とする請求項14に記載の自動排泄処理装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝たきり老人等の高齢者、病人、幼児、等が着用したままの状態で排泄物を排出処理するための自動排泄処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化に伴い介護を必要とする高齢者が急激に増加している。それに伴い、家庭や介護施設或いは病院等で介護を受けている寝たきり老人等の高齢者が多くなり、それらの殆どが自分自身で排泄物を処理することができないという状況にある。また、幼児や、病気、怪我、等の患者は、ベッドに横になっていなければならないので、自分自身で排泄物を処理することができないという状況にあり、それゆえに、被介護者(即ち使用者)は、おむつ本体とおむつ本体の股部に取り付けられたおむつカップで構成された排泄用装着体と、排泄用装着体を使用者にフィットするように装着することができるように構成された排泄用装着具とを着用している。
【0003】
一般に、自動排泄処理装置は、排泄用装着体の一部を構成するおむつ本体と、おむつ本体の股部に取り付けられ、排泄用装着体の他の一部を構成するおむつカップと、おむつカップに一端が接続され、かつ他端が吸引装置に接続されたホースを備えている。この自動排泄処理装置は、おむつ本体とおむつカップを装着した使用者が尿糞(以下、排泄物と称する)の排泄を行なった場合には、おむつカップ内のセンサが排泄物を感知し、吸引装置がホースを介しておむつカップに溜まった排泄物を吸引すると同時に、吸引装置は、おむつカップに温水を送っておむつカップの汚れを洗い落として、洗浄後の汚水を再び吸引装置に戻し、更におむつ本体とおむつカップに温風を送ってそれらの内部を乾燥するように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の自動排泄処理装置は、排泄された便を識別することができず、それゆえに便の種類に応じて適切な量の洗浄水を供給することができず、また適温な温水を常に供給することができないという問題点があった。従って、使用者に不快感をもたらすことなく便の種類に応じて被介護者の適切な部位に適温かつ適量な温水を洗浄水として供給することができる自動排泄処理装置の必要性が存在する。
【0005】
本発明は、上述した必要性に鑑みてなされたものであり、排泄物が糞尿のいずれかであるのかを識別することができ、識別された排泄物の種類に応じて、使用者の洗浄対象部位を適温及び適量の温水で洗浄するように構成された自動排泄処理装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、使用者の股間部に装着される排泄用容器を用いて該使用者の排泄物を自動的に処理する自動排泄処理装置であって、排泄用容器に設置され、洗浄水を噴射する噴射手段と、前記排泄用容器に設置され、使用者の排泄物の種類を検知する検知手段と、前記排泄用容器に設置され、前記検知手段によって検知された前記排泄物の種類に応じて前記噴射手段の噴射方向を調整する噴射方位調整手段と、前記検知手段によって検知された前記排泄物の種類に対応する使用者の洗浄対象部位に向けて洗浄水を噴射すべく前記噴射方位調整手段及び前記噴射手段を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする自動排泄処理装置によって達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明による自動排泄処理装置は、上記構成により、排泄物が糞尿のいずれかであるのかを識別することができ、識別された排泄物の種類に応じて、使用者の洗浄対象部位を適温及び適量の温水で洗浄することができるという格別の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の自動排泄処理装置は、前記制御手段により制御され、前記排泄物及び前記洗浄対象部位を洗浄した後の前記洗浄水を前記排泄用容器から排出する排出手段と、前記制御手段により制御され、前記排出手段により排出された前記排泄物及び前記洗浄後の洗浄水を排泄処理する排泄物処理手段と、を更に備えて構成してもよい。
【0009】
本発明の自動排泄処理装置は、前記制御手段により制御され、かつ前記泄物処理手段で処理された排泄物に関するデータを読み取るデータ読取手段と、前記データ読取手段で読み取ったデータを送信するデータ送信手段と、を更に備え、前記データ読取手段は、計測装置で計測した使用者の生体情報に関するデータを読み取るように構成され、かつ前記データ送信手段は、使用者の健康状態を管理するために、前記データ読取手段で読み取った前記生体情報に関するデータを、通信網を経由して、健康管理を行っている場所に送信するように構成されてもよい。
【0010】
本発明の自動排泄処理装置では、前記制御手段は、前記検知手段により検出された排泄物の種類に応じて、洗浄水を適度の水圧に調整すると共に、該洗浄水が噴射される時間を調整すべく前記噴射手段を制御するように構成してもよい。
【0011】
本発明の自動排泄処理装置は、前記洗浄対象部位を洗浄した後、未使用の洗浄水を用いて前記排泄用容器の内部を洗浄する排泄用容器洗浄手段を更に備えて構成してもよい。
【0012】
本発明の自動排泄処理装置は、前記洗浄対象部位を洗浄した後、前記排泄用容器の内部及び前記洗浄対象部位に温風を送風して乾燥させる温風送風手段を更に備えて構成してもよい。
【0013】
本発明の自動排泄処理装置では、前記排泄用容器は、当該排泄用容器の内部を外部から目視可能な透明材質で形成してもよい。
【0014】
本発明の自動排泄処理装置は、前記排泄用容器と使用者の股間部との間を密閉する排泄用装着具シール体を更に備え、前記排泄用装着シール体は、使用者の股間部の肌面に当接する前記排泄用容器の開口端部に設け、使用者の股間部の肌面に密着するシール面を有して長手方向に垂直な断面形状を中空形状、または襞形状に形成したシール本体と、前記シール本体の前記シール面に設けて使用者の股間部の肌面に密着する、前記シール本体の長手方向に沿って突設したリブ状構造部と、を備えて構成してもよい。
【0015】
本発明の自動排泄処理装置は、前記排泄用容器が使用者に装着された後、前記シール本体の前記シール面及び前記リブ状構造部を使用者の股間部の肌面に密着するためのジェルを供給するジェル供給手段と、前記密着を確保するために使用者の個体差に応じて前記ジェル供給手段から供給されたジェルの量を調整するためのジェル調整手段と、を更に備えて構成してもよい。
【0016】
本発明の自動排泄処理装置では、前記シール本体は、前記長手方向に垂直な断面形状をD型形状、またはC型形状に形成してもよい。
【0017】
本発明の自動排泄処理装置では、前記シール本体は、前記長手方向に垂直な断面形状を前記排泄用容器の外側へ向かって薄肉に形成し、この排泄用容器の外側から受ける力を弾性力により分散して吸収するように構成してもよい。
【0018】
本発明の自動排泄処理装置は、前記排泄用容器と使用者の股間部との間で形成される空間内の圧力状態に応じて、当該空間の内圧により前記シール本体が弾性的に変形して当該シール本体の前記シール面及び前記リブ状構造部と使用者の股間部の肌面との間の密着を調整する圧力調整手段を更に備えてもよい。
【0019】
本発明の自動排泄処理装置では、前記排泄用容器は、男性陰部を保護する男性陰部収納部を設けると共に、使用者の腰部に固定する固定部を設けてこの固定部と前記男性陰部収納部とを伸縮自在な連結部により着脱自在に連結するように構成してもよい。
【0020】
本発明の自動排泄処理装置では、前記固定部は、前記排泄用容器に固定する固定部本体と、この固定部本体に着脱自在に設ける、使用者の体型に応じた腰マット部とを有し、この腰マット部に設けたベルト部に前記連結部を着脱自在に取り付けるように構成してもよい。
【0021】
本発明の自動排泄処理装置では、前記固定部本体は、使用者の腰部の体荷重を分散するための体荷重分散マット部を背面側に設けて構成してもよい。
【実施例】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明による自動排泄処理装置の一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態による自動排泄処理装置100は、使用者装着装置200と、排泄物処理装置300と、制御装置400とを備えている。
【0023】
次に、図2〜図14を参照して、本実施形態による自動排泄処理装置100の構成及び動作を詳細に説明する。
まず、図2〜図9を参照して、使用者装着装置200の主要部分を構成する排泄用装着体1について説明する。
排泄用装着体1は、図2〜図7に示すように、自動排泄処理装置100の使用者2の股間部2aに装着する形状に成形され、股間部2aに対して開口された排泄用容器(以下、おむつカップと称する)10を備えている。
【0024】
おむつカップ10は、使用者2の尻部側に配置される主壁部11と、主壁部11から略垂直に延出して股間部2a側に配置される副壁部12と備えている。
主壁部11と副壁部12は、略L字形状に交差して一体化され、かつ主壁部11と副壁部12の内面側の両側縁には、股形状に沿って使用者2の股間部2aの肌面に当接する開口端部である側壁部13が一体化されている。側壁部13は、馬蹄形状に形成され、側壁部13には、おむつカップ10を使用者2の股間部2aに装着したときに、股間部2aの肌と密着するための柔軟なシール体14が設けられている。
【0025】
おむつカップ10は、副壁部12と略L字形状に交差する主壁部11の内端部側の中央(肛門側)に排泄物吸込口21を形成すると共に、主壁部11の内端部側とは反対側の外端部側にある外端部から排泄物吸込口21の方向に所定の角度で傾斜している傾斜面を有する傾斜部11aを形成する。
また、おむつカップ10には、排泄物吸込口21に連通する接続管路22が主壁部11の外端面に突出して設けられている。接続管路22は、接続ホース(図示省略)を介して排泄物処理装置300に脱着自在に接続される。
【0026】
図8に示すように、おむつカップ10には、更に、排泄物を検知するためのセンサ23が設けられている。センサ23は、主壁部11内面の排泄物吸込口21側に設置され、尿を検知するセンサ23−1(以下、尿センサと称する)と、排泄物吸込口21とは反対側の他端部側から排泄物吸込口21に向って傾斜している主壁部11の傾斜部11aの底部カバー11bの内側に設置され、固形物(便、軟便、等の所謂「糞」)を検知するセンサ23−2(以下、糞センサと称する)とによって構成されている。
【0027】
図9に示すように、尿センサ23−1は、中央に位置する一つの+電極である電極23−1aと、+電極23−1aを囲む4つの−電極23−1b〜23−1eと、電極23−1a及び電極23−1bの間に形成されたスリット23−1SL1と、電極23−1a及び電極23−1cの間に形成されたスリット23−1SL2と、電極23−1a及び電極23−1dの間に形成されたスリット23−1SL3と、電極23−1a及び電極23−1eの間に形成されたスリット23−1SL4とによって構成されている。
上記構成により、尿センサ23−1は、図9に示すように、尿が少量(所謂、チビリ)の場合であっても、スリット23−1SL1〜4中にその尿が滞留するので、容易に被介護者が排尿したことを検知することができる。
【0028】
本発明による自動排泄処理装置100では、尿センサ23−1を構成しているスリット23−1SL1〜4の中に滞留した尿を、排泄物処理装置300に接続された排泄物分析装置(図示省略)を用いて成分分析することができるように構成してもよい。それにより、例えば、水溶性の糞(水溶便)と尿とを成分分析に基づいて識別することが可能になる。
【0029】
他方、糞センサ23−2は、図8に示すように、便や軟便等の糞(固形物)が糞センサ23−2の上に位置する主壁部11の傾斜部11aに残るので、その糞(固形物)の質量を検出するように構成されている。
尿センサ23−1及び糞センサ23−2は、おむつカップ10の壁内部に配設される図示しない信号線によって主壁部11の外端面に設けた電気コネクタ24−1、24−2を介してそれぞれ導通されており、排泄があったときに排泄物を直ぐに検知することができるようにスタンバイ状態に設定されている。
【0030】
更に、おむつカップ10には、図8に示すように、尿センサ23−1及び糞センサ23−2により排泄物(糞尿)の排泄を検知した後、その排泄物の種類(即ち、糞または尿)に応じて被介護者(使用者)2の肛門または陰部(以下、洗浄対象部位と称する)を洗浄するために温水等の流体(以下、洗浄水と称する)を洗浄対象部位に対して噴射する球体状の噴射ノズル50が設けられている。
噴射ノズル50は、図8に示すように、その内部に洗浄水を噴射するための三つの水路50a〜50cと、噴射ノズル50の噴射方向を調整する噴射方向調整機構51とを備えている。
三つの水路50a〜50cは、排泄処理装置300から洗浄水ホース60を介して洗浄水である温水が供給されるように構成されており、尿センサ23−1及び糞センサ23−2による排泄物の検知結果に応じて、制御装置400により、洗浄水の噴射の強弱を調整すると共に、図10及び図11に示すように、噴射方向調整機構51を動作して洗浄水の噴射方向を使用者2の洗浄対象部位の方向に適宜調整することにより、使用者2の洗浄対象部位を効率よく洗浄するように構成されている。
【0031】
本実施形態では、噴射ノズル50の形状は、噴射面を球体状に形成しているが、本発明による噴射ノズルの形状は、これに限定されるものではなく、対象や目的に応じて様々な形状を適宜使用することが可能である。
また、本実施形態では、噴射ノズル50は、三つの水路50a〜50bを備えているが、本発明による噴射ノズルの水路の数は、これに限定されるものではなく、対象や目的に応じて一つの水路であってもよいし、または二つ以上の任意の数の水路で構成してもよい。
【0032】
ここで、図10及び図11を参照して、噴射ノズル50の噴射方向調整機構51を説明する。
尿センサ23−1及び糞センサ23−2が使用者2の排泄物の種類を検知し、尿センサ23−1及び糞センサ23−2の検知結果に基づいて使用者2の洗浄対象部位を判別し、判別された洗浄対象部位の洗浄に最も適する位置に、図11に示す噴射方向調整機構51を用いて、噴射ノズル50を移動する。
【0033】
本実施形態では、図11に示す噴射方向調整機構51は、使用者2が男性であるか女性であるかを選択することにより、排泄物の種類に応じて、噴射ノズル50の噴射方向を、予め設定されている男性用または女性用の噴射方向にそれぞれ設定するように構成されている。しかしながら、使用者の個体差により適格な噴射方向は、予め設定されている噴射方向から若干ずれる場合があるので、使用者に応じて噴射方向を手動または位置センサ等を用いて微調整可能なように構成されている。図11に示す噴射方向調整機構51は、
この微調整は、看護士、家族、デイケア等の介護者が、おむつカップ10で構成された排泄用装着体200を使用者に最初に装着するときに行うことができるし、また装着後でも、必要に応じて行うことができる。
【0034】
次に、図12及び図13の動作フロー図を参照して、洗浄のタイミングについて説明する。
まず、図12の動作フロー図を参照して、排泄物が尿の場合について説明する。
被介護者(使用者)2が排尿したならば、尿センサ23−1が尿を検知することによりオン(ON)になり(ステップS101)、おむつカップ10に洗浄水が数秒間流されている間に、使用者の洗浄対象部位の位置に応じて、制御装置400が噴射方向調整機構51を動作して噴射ノズル50を適格な位置に移動し(ステップS102)、洗浄水ホース60から噴射ノズル50に温水を流し(ステップS103)、噴射ノズル50から温水を使用者の洗浄対象部位に向けて噴射して洗浄対象部位を洗浄する(ステップS104)。
排泄物処理装置300は、内蔵する吸引ポンプ(図示省略)を制御装置400により駆動して(ステップS105)、おむつカップ10に排泄された尿を、洗浄対象部位を洗浄した洗浄水と共に排泄物吸込口21から吸引して(ステップS106)、排泄物処理装置300の内部に設けた排泄タンク(図示省略)へ排出する(ステップS107)。
更に、使用者2の尿が排泄された後、制御装置400により、排泄処理装置200から温水をおむつカップ10に一定の時間間隔で間欠的に供給しておむつカップ10内を洗浄し(ステップS108)、制御装置400により吸引モータ(図示省略)を動作させて内蔵する吸引ポンプ(図示省略)を駆動し(ステップS109)、おむつカップ10内の洗浄後の汚水を排泄物吸込口21から吸引し(ステップS110)、排泄物処理装置300の内部に設けた排泄タンク(図示省略)へ汚水を排出する(ステップS111)と共に温風を送風して使用者の洗浄対象部位及びおむつカップ10の内部を乾燥させて(ステップS112)、排泄物吸込口21から乾燥に使用した空気を吸引して(ステップS113)、排泄物処理装置300の内部に設けた空気清浄フィルタ(図示省略)で濾過して外気へ排気し(ステップS114)、排気処理が完了したならば、制御装置400により吸引モータ(図示省略)をオフ(OFF)にして(ステップS115)、排泄物の排出処理を終了する。
【0035】
次に、図13の動作フロー図を参照して、排泄物が糞の場合について説明する。
使用者2が排糞したならば、糞センサ23−2が糞を検知することによりオン(ON)になり(ステップS201)、おむつカップ10に洗浄水が数秒間流されている間に、使用者の洗浄対象部位の位置に応じて、制御装置400が噴射方向調整機構51を動作して噴射ノズル50を適格な位置に移動し(ステップS202)、洗浄水ホース60から噴射ノズル50に温水を流し(ステップS203)、噴射ノズル50から温水を使用者の洗浄対象部位に向けて噴射して洗浄対象部位を洗浄する(ステップS204)。
排泄物処理装置300は、内蔵する吸引ポンプ(図示省略)を制御装置400により駆動して(ステップS205)、おむつカップ10に排泄された糞を、洗浄対象部位を洗浄した洗浄水と共に排泄物吸込口21から吸引して(ステップS206)、排泄物処理装置300の内部に設けた排泄タンク(図示省略)へ排出する(ステップS207)。
更に、使用者2の糞が排泄された後、制御装置400により、排泄物処理装置300から温水をおむつカップ10に一定の時間間隔で間欠的に供給しておむつカップ10内を洗浄し(ステップS208)、制御装置400により吸引モータ(図示省略)を動作させて内蔵する吸引ポンプ(図示省略)を駆動し(ステップS209)、おむつカップ10内の洗浄後の汚水を排泄物吸込口21から吸引し(ステップS210)、排泄物処理装置300の内部に設けた排泄タンク(図示省略)へ汚水を排出する(ステップS211)と共に温風を送風して使用者の洗浄対象部位及びおむつカップ10の内部を乾燥させて(ステップS212)、排泄物吸込口21から乾燥に使用した空気を吸引して(ステップS213)、排泄物処理装置300の内部に設けた空気清浄フィルタ(図示省略)で濾過して外気へ排気し(ステップS214)、排気処理が完了したならば、制御装置400により吸引モータ(図示省略)をオフ(OFF)にして(ステップS215)、排泄物の排出処理を終了する。
【0036】
洗浄水ホース60内には、噴射ノズル50により使用者の洗浄対象部位を洗浄した後、洗浄水(温水)の残水が滞留するが、この残水の温度は、時間の経過と共に常温へと低下する。
温度が低下した洗浄水による洗浄は、被介護者に不快感を与える。そこで、洗浄水ホース60内に残留している洗浄水(以下、残留洗浄水と称する)をおむつカップ10の洗浄水として使用する。即ち、残留洗浄水を低い圧力で噴射ノズル50からおむつカップ10に数秒間流すことにより、以下のような効果をもたらす:
(a)常に予め設定された温度の洗浄水が得られるので、被介護者に対して洗浄水の温度差によってもたらされる不快感を和らげることができる;
(b)事前におむつカップ10内に洗浄水が流れることにより、おむつカップ10の内側表面が湿潤して汚れの付着を防止することができる;
(c)噴射ノズル50の目詰まりを防止することができる。
【0037】
本発明によれば、おむつカップ10は、透明な材質で成形される。即ち、被介護者の腰臀部に装着するおむつカップ10の材質を透明なものにすることによって、以下のような利便性が得られる:
(1)装着状態の確認;おむつカップ10が所定の位置に装着されているか否かを目視によって確認することが可能になる。
(2)排尿、排便、汚れの確認;おむつカップ10を脱着しなくても排尿、排便、及び汚れの有無を確認することが可能になる。
(3)機器動作状況の確認;自動排泄処理装置100を構成している装置・機器の動作状況を確認することが可能になる。
【0038】
更に、おむつカップ10の構造を説明すると、おむつカップ10は、副壁部12に男性陰部収納部15の基端部を嵌合突起部10aに嵌合して取り付けると共に、主壁部11に使用者2の腰部2b(腰骨)に固定する固定部16を接着して取り付けている。
男性陰部収納部15は、おむつカップ10の嵌合突起部10aに基端部が嵌合された後、シール面の端部をシール本体31の端部に接着固定して取り付けられている。これにより、排泄用装着具1は、おむつカップ10から男性陰部収納部15までのシール性を確保できるようになっている。
【0039】
固定部16は、おむつカップ10に接着固定する固定部本体16aと、固定部本体16aに脱着自在に取り付けられる腰マット部16bとを有する。腰マット部16bは、例えばウレタン素材等により形成され、かつ弾力性を有している。
【0040】
腰マット部16bと固定部本体16aとは、被結合部材である面ファスナ(図示せず)がそれぞれ貼付されており、固定部本体16aに腰マット部16bを脱着自在に結合することが可能である。腰マット部16bは、使用者2の体型に応じて選択することが可能である。
固定部本体16aの背面側には、弾力性を有する材質で形成された体荷重分散マット部16cが設けられている。体荷重分散マット部16cは、中空の円柱体等が複数配置されており、体荷重を分散するように構成されている。中空の円柱体は、体荷重分散マット部16cの基端側中心部から周縁に向かって高さが徐々に低くなるように配置されている。また、中空の円柱体自身も底面である開口端部が体荷重分散マット部16cの基端側中心部から周縁に向かって高さが低くなるような斜め輪切り状に形成されている。このように構成されている体荷重分散マット部16cにより、おむつカップ10は、使用者2の腰部2bの体荷重を分散されることで、腰部2bの鬱血を和らげることができる。
腰マット部16bには、使用者2の腰部2bに排泄用装着体1を装着可能なベルト部17が縫い付けられて左右に延出している。このベルト部17の両端部には、面ファスナが添付されており、互いの端部を脱着自在に結合することによって使用者2の腰部2bに排泄用装着体1を装着可能である。
【0041】
ベルト部17には、男性陰部収納部15と連結する連結部18の一端が脱着自在に取り付けられる。連結部18は、使用者2の体型に応じた長さを有し、かつ伸縮自在である。連結部18は、使用者2の体型に応じて長さを調節可能な、公知のベルトであってもよい。連結部18の他端は、男性陰部収納部15に着脱自在に取り付け可能である。
通常、連結部18は、一端が男性陰部収納部15に取り付けられており、排泄用装着具1の装着時、他端をベルト部17に取り付けることで、ベルト部17と男性陰部収納部15とを連結して男性陰部収納部15と固定部16とを連結する。
【0042】
おむつカップ10を使用者2の股間部2aに装着したときに、股間部2aの肌と密着するための柔軟なシール体14が完全にはフィットせずに腰臀部との間に隙間が発生する可能性がある。そのような隙間を補填するために、使用者2がおむつカップ10を装着する前に、上述した体荷重分散マット部16cにジェル貯蔵部16dを設けてその中に予めジェルを貯えておき、使用者2がおむつカップ10を装着した後、使用者2の体温及び体重によってジェル貯蔵部16dに貯えられていたジェルの粘度が低下して軟らかくなり、その軟らかくなったジェルがおむつカップ10のシール体14の部分を充填することによって、おむつカップ10と腰臀部との隙間を埋めることができる。
また、余分なジェルは、おむつカップ10の上部に設置された男性陰部収納部15に予め設けた余ジェル貯部15aに貯えておくことができる。
【0043】
上述した自動排泄処理装置100は、排泄物処理装置300に設けられた表示装置301の画面上に表1に示すような「表示」(この例では2桁の整数)を「動作エラーの内容」に応じてLED(発光ダイオード)を用いて表示すると共に、「動作エラーの内容」を一般的な音声発生装置の技術を用いて音声によっても使用者(被介護者)や介護者に知らせるように構成されている。


【0044】
(表1)


【0045】
上述した自動排泄処理装置100は、更に、図1に示すように、排泄物処理装置300及び制御装置400に接続されており、制御装置400により排泄物処理装置300によって処理された排泄物に関するデータ、例えば、被介護者の排便回数及び排尿回数に関するデータを読み取るデータ読取装置500と、データ読取装置500で読み取ったデータを送信するデータ送信装置600とを備えている。
データ読取装置500は、図示しないが他の計測装置を接続することにより、排泄物に関するデータ以外のデータ、例えば、血圧、脈拍、SpO2,体温、等に関するデータを読み取るように構成されている。
データ送信装置600は、データ読取装置500で読み取ったデータ、所謂、生体情報に関するデータを、有線または無線でインターネット等の通信網を経由して、介護センター、デイサービスセンター、ホームヘルパー、主治医、被介護者の家族、等の目的とする場所に送信するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による自動排泄処理装置の一実施形態における構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示す自動排泄処理装置における排泄用装着具を示す斜視図である。
【図3】図2の排泄用装着具を装着した使用者の腰部付近を示す概略図である。
【図4】図3の排泄用装着具を装着した使用者の股間部及び腰部付近を示す正面図である。
【図5】図3の排泄用装着具を装着した使用者の股間部付近を示す概略図である。
【図6】図3の排泄用装着具を装着した使用者の股間部付近を示す断面図である。
【図7】図3の排泄用装着具を装着した使用者の股間部付近を示す斜視断面図である。
【図8】図2の排泄装着具における排泄物センサの構成に示す概略図である。
【図9】図8に示す排泄物センサの一部を構成する尿センサの構成を示す概略図である。
【図10】噴射ノズルの噴射方向調整機構を説明するための概略説明図である。
【図11】噴射ノズルの噴射方向調整機構を説明するための別の概略説明図である。
【図12】図1に示す自動排泄処理装置による洗浄のタイミングを説明するためのフロー図である。
【図13】図1に示す自動排泄処理装置による洗浄のタイミングを説明するための更なるフロー図である。
【符号の説明】
【0047】
1 排泄用装着具
2 使用者
2a 股間部
2b 腰部
10 排泄用容器
11 主壁部
12 副壁部
13 側壁部
14 排泄用装着具シール体
15 男性陰部収納部
16 固定部
21 排泄物吸込口
22 接続管路
23 排泄物センサ
23−1 尿センサ
23−2 糞センサ
31 シール本体
31a シール面
32 リブ状構造部
33 コの字型嵌合部
100 自動排泄装置
200 使用者装着装置
300 排泄物処理装置
400 制御装置
500 データ読取装置
600 データ送信装置




 
 


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