秘密保護法:自民試案の監視組織 秘密指定の適否判断せず
毎日新聞 2014年03月05日 23時24分(最終更新 03月06日 00時45分)
自民党の「インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム」(PT、座長・町村信孝元官房長官)は5日、政府の特定秘密保護法の運用をチェックするとして国会に設ける新たな組織の試案を示した。新組織は衆参各院に常設。委員会で審議できない特定秘密を政府が提供し、非公開の秘密会で検証する仕組み。しかし活動は各委員会から要請があった時だけで、秘密指定の適否も判断しないなど役割は限定され「国会による監視とは程遠い」との批判を受けるのは必至だ。
試案によると、新組織は議長や副議長、議院運営委員長など5人に、特定秘密の検証を要請した委員会の委員長ら3人を加えた与野党議員計8人で構成。委員会側が政府に提出を求めた資料が特定秘密だった場合、代わって新組織が検証する。参加した議員が本会議や委員会、公聴会などで秘密を漏えいしても憲法の規定で罰せられないが、試案は国会が除名を含む懲罰を与えると明記している。
常設の新組織設置に慎重だった町村氏も試案を提示することは受け入れたが、5日のPTでは秘密漏えいなどの懸念が出席者から示され、引き続き協議することになった。特定秘密保護法をめぐり先の臨時国会で野党との修正協議にあたった自民党の中谷元元防衛庁長官はPTでの議論について記者団に「大きな異論はなかった。常設組織がなければ、(政府は国会に)情報提供できない」と述べた。
自民党は試案をもとに意見を取りまとめた後、公明党と協議。特定秘密保護法が施行される12月までの国会法改正を目指す。しかし試案は、特定秘密の指定に関する政府の判断を国会が事実上追認し、国会議員への懲罰も規定していることから、野党などから反発の声が出そうだ。【飼手勇介】