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2014年3月 6日
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーらが報告した新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の発見。その衝撃が冷めぬうちに、論文への疑義の指摘が相次いだ。CDBの活動全般にアドバイスをする外部評価委員会委員長のオースティン・スミス英ケンブリッジ大幹細胞研究所長に、発見の意義と論文の問題点を聞いた。(聞き手・大岩ゆり)
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――STAP細胞を初めて知った時の印象は?
英科学誌ネイチャーから論文の解説の執筆を依頼され、初めて論文を読んだ。これまでの生物学の常識を覆す内容で、非常に驚いたが、CDBで行われた研究なので、真実だろうと思った。
――STAP細胞のどんな点に興味があるか?
刺激を与えると、もともと細胞内にある遺伝子だけで自発的に初期化が起こり、多能性を獲得する。これは、細胞の潜在能力を示しているのではないか。STAP細胞を研究すれば、生物学の根本的な原理を学べるのではないか。STAP細胞はそんな可能性を秘めており、興味深い。
――STAP細胞はiPS細胞やES細胞とは異なる応用が可能か?
STAP細胞はiPS細胞やES細胞ではほとんど作れない胎盤にもなる。ヒトの細胞でSTAP細胞ができたら、体外受精などで作った受精卵をどういう条件で子宮に移植すればいいかの研究や、胎盤にできるがんの研究、胎盤の形成のしくみなどの研究に応用できるかもしれない。
私は長年、筋肉や脳神経など多種類の細胞に変化する能力を持ち、がん化せず、体内に移植できる細胞を作れないかと空想してきた。STAP細胞なら使えるかもしれない。外から遺伝子を入れないのに、既存の万能細胞より幅広い多能性を持つからだ。
――論文のミスや不自然な点が指摘されている。CDB外部評価委員会としてどうみるか。
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