ご挨拶
第37回日本呼吸器内視鏡学術集会の開催にあたって
第37回日本呼吸器内視鏡学術集会(37JSRE)を平成26年4月14日(月)、4月15日(火)に京都国際会館にて開催させていただく会長の宮澤輝臣でございます。たいへん光栄に存じます。1966年池田茂人先生が開発された軟性気管支鏡によって、気管、気管支、肺の領域の研究は多いに発展をしていますが、国際的にもわが国が中心的な役割を担っております。そのあたりの気管支鏡の歴史のセッションを設けておりますので温故知新の意味でぜひご参集ください。
さて本学術集会のテーマを「気管支 - 食道の世界への新たな旅立ち」とさせていただきました。呼吸器内視鏡医の力量とは微妙なもので、シナリオがないので、冷静にどう切り抜けるかの瞬間のアイデアと信念ある勇気が必要となります。それこそが、呼吸器内視鏡医の矜持であります。今までの経験と引き出しが豊富であることがなによりの武器になります。そこで患者さんのためにエキスパートから学び討論するのにこの学術集会の意義があると思います。
伝統の行事、『気管支鏡セミナー』や『寺子屋読影セミナー』、『EBUSセミナー』に加えて、今回は第18回世界気管支会議(18WCBIP)と同時開催で両方の学術集会に参加できます。今回かつてないほどの超一流の呼吸器内視鏡医を世界から贅沢に招聘できました。『世界最大ハンズオンワークショップ』、『合同シンポジウム』、『インターアクティブセッション(症例検討、アンサーパッド聴衆参加形式)』などから視野を広げることが可能です。
海外の超一流のゲスト、特にPedersen先生、Dumon先生、Vacanti先生、Freitag先生と日本代表の伊藤春海先生のKeynote Address 1、2、3、4、5は絶対見逃せません。私の一押しの講演ですので以下に解説させて頂きます。
- Ole F. Pedersen: 「Mechanical determinants of the maximum expiratory flow-Choke point physiology」
デンマークのPedersen先生は呼吸生理学の権威で気流制限部位(Choke Point)のコンセプトを研究され、臨床応用されました。Choke PointのコンセプトはFunctional BronchoscopyでCOPD,気管支喘息に応用できます。4月15日午前中にご講演されます。
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Jean-Francois Dumon: 「Rigid bronchoscopy, essential tool for therapeutic endoscopy」
『君はDumonをみたか?』と問われ、後で後悔しないように “呼吸器インターベンションの父” Dumon stentの発明者であるDumon先生の講演を聞くチャンスを活かしていただきたいと思います。池田茂人先生とお親しくされており、フランス、マルセイユ、聖マルグリット大学でYAG-レーザやステントをはじめられて、コースを通じて技術を全世界に広げられた功績は賞賛に値します。4月14日午前中にご講演されます。
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Charles Vacanti: 「STAP」
米国ハーバード大学のVacanti先生の最新論文が2014年1月30日に英国Nature誌に載りました。これは新万能細胞STAP細胞を世界で初めて作製したもので、iPS細胞を超えるコンセプトなので、Vacanti先生の講演は大変盛り上がりタイムリーな話題が聞けるかと期待しています。
現在の再生医療で一番問題になっているのは、基礎研究で築いた技術をどうやって臨床に応用させていくのかです。ハーバード大学の小島先生は2010年に初めて14歳の女の子に気管再生をトライされました。
4月15日午前9時30分からの12時まで『Charles Vacanti教授講演』のメインイベントとその討論『合同シンポジウム:再生医療』の予定です。話題性が高いためメインホール(1840席)がいっぱいになることが予想されますので早くおいでください。
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Lutz Freitag: 「Heavy problem, Light solusion」
現時点で世界最高のブロンコロジストと自他ともに認めるドイツ、エッセンのFreitag先生は一度聴いたら感激し、魅惑されるので海外ではFreitag先生の講演はいつも部屋に入りきれない観衆であふれます。何年に一回となかなか講演されないので、未来の内視鏡を知るために私は勝手にライバルだと思って、常に追っかけています。高度な技術、最新の天才的アイデアに圧倒され、マジシャンのようなエンターテイメントたっぷりの講演は聴衆の期待を裏切らないと思います。4月14日午前中にご講演されます。
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Harumi Ito: 「Image Diagnosis of Pulmonary Disease; Radiologic-Anatomic-Pathologic-Correlation」
画像診断と病理所見を丹念に比較解析して肺胞や気道の病態生理を見事に解明する独特の手法とスライド2面で示され、聴衆を魅惑する日本を代表する画像の講演をされますので、常に部屋がいっぱいになる方です。熱意溢れる丁寧で真摯な研究姿勢は尊敬しております。これが本当の “目からうろこ” の魂の講義を期待しております。4月14日午前中にご講演されます。
呼吸器疾患の診断とその治療にとどまらず、新しいテクノロジー(重症COPDの内視鏡的肺容量減少術、重症BAの気管支温熱療法、EBUS-TBNA、EBUS-GS、硬性気管支鏡、ステント、ナビゲーション、タルク、Pleuroscopy、EWS、Cryo Biopsy、PDT、OCT、Confocal BF)などあれもこれも座学とハンズオンを盛り込みました。応募すると37JSREでは3つの優秀演題賞、18WCBIPでは若手研究者奨励賞として3名に “Becker Awards” が授与されますし、ビデオ・フェスティバルに応募すれば分野別に5名に賞が期待できます。さらに37JSREでは “池田賞”、18WCBIPでは “Killian Medal” “Dumon Medal” があります。これらの受賞者はセレモニーで表彰の栄誉を与えられます。賞に応募された方はセレモニーに必ずご参加ください。
また今回EWSの演題が多く、気管支充填術(EWS)の発明者である故渡邊洋一先生を偲んで国内と海外での
“渡邊洋一メモリアルセッション” を設けさせていただいております。
4月はなにかとご多用中でしょうが、古都京都での「明日の臨床に直結する
学問のおもてなし」をしっかりご用意致しておりますのでぜひご臨席を賜りたいと存じます。
最後になりましたが、会員の皆様のご健康とご発展、日本呼吸器内視鏡学会の更なるご繁栄をお祈り申し上げ、ご挨拶にかえさせていただきます。
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第37回 日本呼吸器内視鏡学会学術集会 会長 宮澤 輝臣 (聖マリアンナ医科大学呼吸器・感染症内科 教授) |