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2020年東京オリンピック狂騒曲
【第3回】 2014年2月28日
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仲野博文 [ジャーナリスト]

1万4000人の民間警備員が求められる東京五輪
警備業界は“オリンピック特需”を見いだせるか?

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大会期間中にテロ事件が発生することなく、ソチ冬季五輪は23日に閉幕した。紛争が絶えない北カフカス地方に隣接したソチが五輪開催地となったため、開催国ロシアも空前の警備態勢を敷いたが、大会前に懸念されていたテロが起こることはなかった。6年後の東京五輪では警備関連に5万人が投入される見込みだが、これによって民間警備業界は何らかの恩恵を受けるのだろうか?

ソチ五輪はテロ対策で
コストは約4倍に肥大!

 開幕前からテロの危険性がクローズアップされたソチ冬季五輪。昨年12月29日にはロシア南部の都市ヴォルゴグラード中心部にある鉄道駅で爆発が発生し、約70人が死傷。翌日にも市内の別のエリアで朝のラッシュ時にトロリーバスの中で自爆テロが発生し、10人以上の死者を出している。

 1990年代に発生したチェチェン紛争を機に、ロシアでは北カフカス地方出身者によるテロが相次ぎ、2010年にはモスクワ市内の地下鉄で、翌年にはモスクワ郊外のドモジェドボ国際空港で自爆テロが発生している。

 テロが頻繁に発生するロシア国内で行われた冬季五輪。しかも開催地のソチがチェチェンのある北カフカス地方に隣接した場所ということもあり、プーチン政権は威信をかけて大会期間中のテロ防止に努めた。

 当初は開催地のソチ周辺に4万人態勢の警備が敷かれる計画であったが、開幕直前に人員の増強が決定され、空前の規模となる7万人態勢で警備が行われたのだ。ソチの人口は約35万人。オリンピック期間中とはいえ、石を投げれば警察官や軍人に当たるような状況であった。

 6年後に東京で夏季五輪が開催される日本とは、社会的なバックグラウンドが大きく異なるとはいえ、ソチ五輪における警備は過去に例のない規模で行われ、警察や軍の人員が大量に投入されたのに加えて、軍用兵器も投入されている。

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仲野博文 [ジャーナリスト]

甲南大学卒業、米エマーソン大学でジャーナリズムの修士号を取得。ワシントンDCで日本の報道機関に勤務後、フリーに転身。2007年冬まで、日本のメディアに向けてアメリカの様々な情報を発信する。08年より東京を拠点にジャーナリストとしての活動を開始。アメリカや西ヨーロッパの軍事・犯罪・人種問題を得意とする。ツイッター:twitter.com/hirofuminakano

 


2020年東京オリンピック狂騒曲

2020年東京オリンピック開催が決定した。今後7年、競技施設をはじめとした様々な分野でのインフラ投資が期待されており、関連業界は早くも皮算用を始めた。東京以外の地方都市も、オリンピックで来日する外国人を取り込み、疲弊する地元経済の起爆剤にすべく、思案し始めている。一方で、建設現場は人手不足、人件費と建設資材の高騰でコストは増加傾向。2020年に向けて急速に少子高齢化が進む日本は、果たして東京オリンピックを無事に運営し、オリンピックの熱気を日本の活力に変えられるのだろうか。あらゆる関連業界の“狂騒”ぶりをレポートする。

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