最近の任天堂に関する世間一般の見解――逆説的とも聞こえる言い方ではある――はこうだ。ゲーム機製造事業から撤退しソフトは携帯端末向けに切り替えるか、またはゲーム機製造事業は死守しながら、マリオやその他、知名度を生かした版権で稼げるゲームやキャラクターをできるだけ早くアプリストアやグーグルプレイで売るべきだ。
これが世間一般的な見方だ。一方、この件に関してこれまでに書いた多くの記事で、私は賛同しかねるという率直な態度を取っている。
しかし、任天堂は専用ハードウエアを捨て、スマホで遊べるモバイル戦略を取るべきだという見解を多くの人が信じており、その中には任天堂に投資している人も含まれる。
「しっかりした開発チームによりゲーム内で収入を得る仕組みを作れば、任天堂は収益性の非常に高いゲームを創出できると信じている」。ヘッジファンドのマネージャーであるセス・フィッシャー氏は任天堂の岩田聡社長に宛てた手紙の中でこう述べた。「マリオをあとちょっと高くジャンプさせるために(利用者が)99セント支払うと考えてみてほしい」
■投資家望む「スーパーマリオ・ワールド・モバイル」
投資家にとっては、夢のような提言かもしれない。マリオを(ゲームから)取り出して、小さくして、「一口サイズ」のアプリ内課金に適したパッケージにするのだ。
いわば「スーパーマリオ・ワールド・モバイル」。マリオを手に入れるのは無料だが、ルイージやピーチ姫、キノピオなどで遊ぶのに少額を追加課金するイメージだ。ジェム(プレーを延長できる仕組み)や、ファイアフラワー(マリオシリーズに登場するアイテムの一つ)やタヌキスーツ(同)などにお金を払う。マリオの世界には、現実社会のお金を支払ってもらえそうな多様なアイテムがたくさんあり、人々はそうしたアイテムを買うだろう。フィッシャー氏はその点については正しい。
もちろん、この手法では任天堂という会社を表すすべてと、ビデオゲーム業界における信頼を勝ち取るため同社が長年努力してきたことをすべて破壊するだろう。完全に、徹底的に、台無しになる。
任天堂ブランドは据え置き型ゲーム機の最新版「Wii U(ウィー・ユー)」の低迷から回復することはできるだろうが、課金制を導入したら、立ち直れるのかどうか私は分からない。それこそがマイナス面だ。
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