舞鶴市は4日、市営の舞鶴引揚(ひきあげ)記念館の所蔵するシベリアなどからの抑留、引き揚げ関連資料570点をユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産に登録するよう申請した。登録への道は険しいが、関係者は「抑留と引き揚げの記憶を継承し、平和の尊さを語り継ぐため、ぜひ実現したい」と気持ちを新たにしていた。

 記念館であった記者会見で、多々見良三市長がユネスコに「推薦書」を電子メールで送信。「市民が温かく引き揚げ者を迎えたことで、多くの資料が舞鶴に集まった。引き揚げの記憶を後世に伝えてくれよ、という引き揚げ者の熱い思いが伝わって、今日を迎えた」と感慨深げ。「戦争を知らない若い世代に、引き揚げ者の思いを届け、平和の尊さを再認識してもらうことができる」と、その意義を強調した。

 懸念される近隣諸国の対応についても「昨年、職員が(ロシアの)ナホトカを訪れ、協力的に対応していただいた。中国からも(異論は)聞いていない」と話した。