「インタビュー」

Jリーグのライバルは欧州サッカーではない

村井満・新チェアマンに聞く(1)

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2014年3月6日(木)

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(写真:佐藤久)

 今年1月、Jリーグの第5代チェアマンに、リクルート出身の村井満氏(54)が就任した。サッカー関係者以外からチェアマンが選出されるのは初めてのケースだ。村井氏とは一体どんな人物なのか。そして苦境のJリーグをどのように立て直そうとしているのか。「均衡から生まれる激しさ」を求め、「7割の残マをつかみたい」と意気込む、新チェアマンの構想を聞いた。

オープンがフェアネスをつくる

村井さんはリクルートで長く人事部門に携わり、人材紹介サービスのリクルートエージェントや海外の関連会社では経営者として活躍されてきました。ご自身のことを、どういうタイプの経営者だと考えておられますか。剛腕型ですか? それとも調整型?

村井:徹底的にファクト、事実を見にいくのが私のスタイルです。リクルートに入社以来30年間、人と組織をずっと見つめてきました。例えば人事制度ひとつとっても、それが出来上がったからといって会社が良くなるわけでもないし、常に現場、一人ひとりを見て運用のあり方を考えないといけない。だからファクトを重視するという習性が身についたんでしょうね。そこに強烈なファクトが明確にあるのなら剛腕にもなるし、複雑な要素の絡み合ったファクトなら調整型にもなる。チェアマンとして、まずはJリーグの全51クラブを回ろうと考えているのも、そういう意味では当たり前のことだと思っています。

2008年から2013年まで、Jリーグの理事を務めておられましたが、その間、どのようなことを提起されてきたのでしょうか?

村井:まず理事会というのは、約3分の2がクラブ経営者と日本サッカー協会関係者、Jリーグの常勤理事で占められていて、残りの約3分の1がいわゆる「社外理事」という構成になっています。私はその「社外理事」の一人だったわけですが、サッカーのクオリティーに関する議題に口を挟むというよりは、この理事会が日本サッカー界の司令塔として機能するために、どうすれば健全な議論ができるかという観点で介入することが多かったように思います。

 印象深いのは、クラブライセンス制度(注)の導入を議論した時のことですね。細かな規約の話はともかく、私は、この制度を導入するかどうかという議論は、実は今後の理事会の意思決定のあり方そのものに大きく関わることだと思っていました。基準を曖昧にして、話し合いの中で救済するクラブを決める従来のやり方ではなくて、明確な数値で線引きをし、一定期間の猶予を与えた上でそれでもダメなら仕方がないという方向に舵を切れるかどうか。それはすなわち、理事会が意識を変えられるかどうかということ。私は何度も「Jリーグはもうルビコン川を越えましょう」と発言しました。

 社会的な公共財とも言えるJリーグにとって、健全経営というテーマはもはや絶対に避けては通れない問題です。「オープンがフェアネスをつくる」というのは私の持論ですけれど、まさにこの問題に対してJリーグは、その手続きをオープンにして、フェアな環境を整えるべきだと主張しました。クラブライセンス制度の導入決定で、Jリーグは一歩、前に進むことができたと思っています。

(注)昨年度から導入された、財務状況などを基準とするJリーグのプロクラブの資格制度。3年連続赤字または債務超過に陥ると、ライセンスが剥奪されJリーグに参加できなくなる。

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