中国の軍拡が止まらない。 ことしの国防予算は昨年に比べて12・2%増…[続きを読む]
なぜ暴力団と企業の癒着が絶えないのか。 進学塾などを経営する名古屋市…
なぜ暴力団と企業の癒着が絶えないのか。
進学塾などを経営する名古屋市の大手教育グループの代表が、指定暴力団山口組弘道会の資金源とされる風俗店幹部に数億円の融資をしていたことがわかった。この教育グループは、私立小学校も運営していた。社会の担い手を育てる教育関係者による、反社会的組織への利益供与となれば、なお罪深い。
融資は04年と05年。大手の銀行や証券会社による総会屋への巨額利益供与が97年に発覚したあと、企業と暴力団の癒着は許されないとの批判が社会に広まっていた時期だ。暴力団への資金提供は、市民の命や財産を奪う行為へとつながる。
闇の関係を断ち切る動きとしては、10年に福岡県で初めて「暴力団排除条例」が施行された。その後、全都道府県に広がった。暴力団の活動を助長する利益供与を禁止し、是正勧告に従わない場合に企業名を公表することを定めた。相手が暴力団関係者と分かったら契約を解除できる「排除条項」の導入なども求めている。
だが、十分に浸透しているとは言い難い。全国の4千社近い企業が回答した、暴力団排除に関する意識調査がある。驚いたことに、条例の内容を知っていると答えた企業は、ほぼ半数に過ぎなかった。融資契約に排除条項を盛り込む動きが進んでいる銀行業界でさえ、昨年9月には、みずほ銀行が多数の暴力団組員らに総額2億円の融資をしていたことが発覚した。
利益のために暴力団に接近する企業は倫理的にも法的にも見過ごせない。暴力団と関わる企業の商品を買い、サービスを受けたい市民はいない。
企業は取引先や消費者の目を気にする。現行の条例で状況が改善しないなら、悪質な事例は早く公表するなど、より厳しい対策を検討すべきだ。
企業に責任の自覚を促すのと並行して、警察の対応力強化も欠かせない。関係を断ち切ろうにも、取引先が暴力団だと知るのが難しい場合が少なくない。警察庁と日本証券業協会は反社会勢力に関する相互のデータベースをつなげて活用している。警察はほかの業種に対しても、積極的な情報提供の仕組みを整える必要がある。
要求を拒んで狙われる危険がある企業は守らなければならない。福岡県警は昨年、民間人の身辺警戒などを専従で担う「保護対策室」を設けた。時に銃や手投げ弾まで使う暴力団に向き合う時、頼ることができるのは警察しかない。
PR比べてお得!