理化学研究所は5日、小保方晴子研究ユニットリーダーらが開発した新型万能細胞(STAP細胞)の詳しい作製法を公開した。1月末の発表後、国内外の研究者が論文を基に作製を試みても「うまくできない」との指摘が相次いだことに対応した。成果の信ぴょう性について疑問視する声も出ており、別のグループが同じ結果を再現できるかが今後の焦点になる。
一方、論文の一部で別の論文を無断引用していたり、画像を使い回していたりしているとの指摘については「調査結果が出た時点で速やかに公表する」と説明している。
科学の世界では、ある成果が出たとき、別の研究者らが同じ条件で実験し、同じ結果を再現した段階で初めて認められる。京都大学の山中伸弥教授らが開発したiPS細胞は公表後比較的早く世界の研究者が同じように作製できたため、激しい研究競争が始まった。
詳細な作製法は小保方リーダーと理研の2人の研究責任者がまとめた。理研のホームページで公開したほか、論文が掲載された英科学誌ネイチャーの関連サイトにも近く公表する。
「単純に見えるが、細胞の取り扱いや培養条件は特別の注意を払う必要がある」と指摘。STAP細胞の元になる体の細胞の選び方から培養法、刺激の与え方まで詳しく説明した。作製効率を上げるには、生後1週間以内のオスのマウスを使うことなどを明記した。
作製法の公開について、慶応義塾大学の須田年生教授は「ずっと情報が多くなった」と評価する。一方、横浜市立大学の武部貴則准教授は「多くの研究者が抱いていた当初の印象に比べて難しいとわかった。万能細胞の専門家を除くと、作製できる人は少ないのではないか」とみる。
STAP細胞は紅茶程度の弱い酸性の溶液に細胞を30分漬けるだけで作製できると注目された。しかし、他の研究グループが同様の結果を出したとの報告はなく、論文にはないノウハウの公開を求めていた。
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