名古屋グランパスの西野朗監督(58)が5日、セットプレーでの新しい守備システム構築に着手した。開幕の清水戦(1日)でCKから失点したことを受け、従来のゾーンディフェンスからマンツーマンへの変更を決断した。
同じ失敗は繰り返さない。西野監督がディフェンスの改革へ早くも動いた。
セットプレー時の守り方は、ストイコビッチ前政権下では各選手が守備エリアを埋めるゾーンディフェンスが用いられた。これを、攻撃側の選手を密着マークするマンツーマンへ大筋で改めるもようだ。
練習では、長身のDF闘莉王とFWケネディ2人をゾーン気味に残し、残りはマンツーマンで守る方法を繰り返した。西野監督は「やって(練習して)もやってもやられている。相手は変化をつけてくる。一つの対応策では間に合わない」と意図を説明した。
背景には清水戦の痛恨の失点がある。CKからDF平岡にほぼフリーでヘディング同点弾を許し、この一発を引き金に逆転負け。西野監督は「もっと意識を高くしないといけない。練習して体で覚え、反応できるようにならないと」と言う。
選手の受け取り方はポジティブだ。DF大武は「(所属する)福岡大ではマンツー(マン)。この方がやりやすい」と歓迎。闘莉王は「マンツーの方が責任ははっきりするね。最善の方法を探しながらやることが大事」と語った。
優勝した2010年、グランパスはセットプレーを得意とした。失点はほとんどなく、逆に得点を数多く決めた。当時、西野監督はG大阪を率いていた。「グランパス戦ではFKやCKを与えないことを前提に考えていた。あの強さを取り戻したい」。指揮官の打った一手が、まずは守備再構築への布石となる。 (木村尚公)
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