Google が Android版の Chrome Beta ブラウザをバージョン 34にアップデートしました。更新点のひとつとして、Google の Chromecast へウェブ上の動画を " Cast " してテレビなどで見る機能に実験対応します。




Android版 Chrome Beta から Chromecast を使うには、通常の設定メニューからではなく、試験運用機能を管理する flags設定から " Enable experimental Chromecast support " 項目を有効にしたのち、ブラウザを再起動する必要があります。



Google が35ドルで販売中の Chromecast は、テレビなどのHDMI端子に接続する小さなドングル型のデバイス。WiFiネットワークに接続し、ネット上の動画などを大画面で楽しめます。

中身にはChromeブラウザのサブセットが入っており、動作としてはネットから動画や音楽をストリーミング受信して表示します。しかし一般的なセットトップボックスやネットワーク対応プレーヤーとは違い、テレビ画面に表示する自前のインターフェースは備えず、かわりに同一ネットワーク内のスマートフォンやタブレットのアプリから再生対象を選んで " Cast " する(指示する)ことでコンテンツを再生する仕組みです。

このため、たとえば iOS / Android の YouTube や Google Play ミュージック、Google Play ムービー、Hulu Plus など対応アプリを使っていれば、いつものアプリから再生先にテレビを選ぶ感覚で使えます。

モバイル端末から Miracast やMHL / SlimPort / HDMIケーブルなどでテレビに映像出力する方法と比べた利点は、モバイル端末側で画面を切り替えたりアプリを閉じたり、あるいは電源を切ったり圏外に離席しても、 Chromecast は独立してそのまま再生を続けること。たとえばテレビではカラオケ動画を再生したまま手元では次の曲を選んだり、複数人で次に再生したい動画をキューに足してゆくような使い方も可能です。

一方、モバイルアプリやウェブサイト側が Chromecast に対応していない場合は、手元では再生できても Chromecast に飛ばす方法がないため見られない弱点があります。この弱点を補う機能として、PC版の ChromeブラウザにはGoogle純正の Chromecast 拡張機能が用意されており、任意のタブをPCから Chromecast にそのままストリーミングして表示できます。


Android版 Chrome ブラウザの Chromecast 対応は、 動画サイトがChromecastに対応していない場合でも、わざわざPCを使わずにテレビで見られる(かもしれない)、Chromecast ユーザー待望の機能です。

しかし残念ながら、今回のアップデートで実験的に使えるようになったAndroid版 Chrome の Chromecast対応は PC版 Chrome のそれと動作原理が違うため、どの動画サイトやウェブコンテンツでもモバイル端末からテレビに飛ばして見られる機能ではありません


PC版 Chrome の Chromecast 拡張機能は、PCがサーバとして直接 Chromecast にストリーミングする形式のため、どのウェブサイトでもタブ内容をそのままテレビで見られる一方、それなりのプロセッサパワーが必要です。

一方 Android版 Chrome ベータの場合は、ウェブ上のHTML5動画など埋め込み動画を再生する際に、動画によっては Chromecast ボタンを押して Chromecast に再生コンテンツを指示できる(Castできる)機能となっています。 (再生は携帯機器からChromecastではなく、ウェブから直接 Chromecast へのストリーミング)。

このため、テキストや画像なども含めて見たままのウェブページをテレビに飛ばすことはできません。また Flash や Silverlight を含め、そもそもAndroid の Chrome で動画再生画面が現れないものも再生不可 (Castするアイコンが出ない)。たとえば YouTube や Vimeo などHTML5動画の多くはCastできますが、ニコニコ動画はスマートフォンページからであっても今のところ見られません。

なお Google 純正ではありませんが、Androidの画面自体を直接 Chromecast にストリーミング(ミラーリング)するアプリも開発中です。