NHK大阪放送局は4日、9月29日に始まる連続テレビ小説「マッサン」(月~土曜・前8時、全150回)のヒロイン・亀山エリー役に米国人女優シャーロット・ケイト・フォックス(28)が決まったと発表した。大きな活動実績もない無名女優が朝ドラ史上初の外国人ヒロインを射止めたが、日本語がまったく話せず、5月の撮影開始まで、まず語学特訓する。夫の、愛称マッサンは玉山鉄二(33)が務める。
日本の朝の顔ともいえるヒロインの座をつかんだのは、アメリカから来た無名女優だった。
NHK大阪放送局内の会見場に、夫・マッサンこと亀山政春を演じる玉山と腕を組んで登場すると「オハヨウゴザイマス。ワタシハ、シャーロットデス。ドウゾ、ヨロシクオネガシイマス」と、たどたどしく日本語であいさつした。
米ニューメキシコ州出身の28歳で、祖母が役柄と同じスコットランド人。大学で演技を学び、現在は独立系映画や舞台を中心に活動しているというが、出演作にメジャーなものはなく米国内でも無名に近いようだ。
シャーロットはインターネットのオーディションサイトでヒロイン募集を見つけ、訪れたことすらない日本での挑戦を決意。国内外521人から、見事エリー役に選ばれた。シャーロットは結婚しており、1人でヒロインの生涯を演じる既婚女優は「おんなは度胸」(1992年度前期)の泉ピン子(66)以来と、これまた珍しい。
本人は「私でいいのか、まだ信じられない」と実感がわかない様子だが、櫻井賢チーフプロデューサー(45)は抜てきした理由を「芝居のスキル(技術)。ずば抜けた力がある」と絶賛。今回が朝ドラ初出演となる玉山も「昨日(3日)初めてお会いした瞬間、ハグで迎えてくれた。僕の芝居も受け止めてくれる安心感がある」と好印象を口にした。
同作はニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝氏と妻で英国人のリタさん(ともに故人)がモデル。「(リタさんは)マッサンの夢をかなえるため、私は役者として自分の夢をかなえるため、日本に来ました。すごく境遇が似ていると思います」と、早くも役に入り込んでいるようだ。
関西弁での演技も求められるが、シャーロットはまだ会話ができるレベルではなく、この日の会見は横に通訳を従えた異例のものだった。5月に始まる収録までは、東京で日本語学校に通うなどトレーニングを受ける。
縁もゆかりもない土地でオーディションを受けた理由を、シャーロットは「アドベンチャー(冒険)。クレージーなことだと思いますが、私は役者だから。今は寂しがる暇はない」とキッパリ。前例のない試みに、大きな注目が集まりそうだ。
◆ストーリー 大正時代、当時は不可能と言われていた国産ウイスキー製造のため、大阪からスコットランドへ渡った政春(玉山)は2年後、妻のエリー(シャーロット)を連れて帰国。家族の反発で一時は失業するが、周囲の助けもあり京都・山崎に日本初の蒸留所を誕生させる。昭和に入り、2人は北海道・余市で一からウイスキー造りに挑戦。太平洋戦争に突入し、エリーにスパイ容疑がかかるなか、夢の実現へ二人三脚で取り組んでいく。
◆シャーロット・ケイト・フォックス
▼生まれ 1985年8月14日、米国・ニューメキシコ州サンタフェ生まれ。28歳。
▼サイズ 身長167センチ。
▼学歴 サンタフェ大学の演劇ダンス専攻で学士を取得後、ノーザンイリノイ大学の演劇専攻で修士課程を修了。以降は演劇スクールで演技やダンスを学んだ。
▼家族 既婚。現在は夫とノースカロライナ州で生活。しばらくは日本での単身生活となるが「スカイプで家族と話します」。
▼日本は初めて 今回のオーディションが初来日。日本の印象は「すごく生き生きしてる感じがあります」。
▼酒豪!? 物語のテーマとなっているウイスキーは大好き。
▼勉強熱心 オーディションに向けて、夏菜(24)主演の「純と愛」(12年度後期)の動画を参考にした。
[2014/3/5-06:01 スポーツ報知]