被災地の水産加工品品評会 3年ぶり開催2月27日 4時32分
東日本大震災からまもなく3年となるなか、宮城県石巻市では、震災で中止されていたかまぼこやつくだ煮などの水産加工品の品評会が3年ぶりに行われました。
この品評会は、宮城県が地元の水産加工品をPRしようと、県内の企業が参加して毎年行われていましたが、震災で多くの水産加工会社が被災したために中止され、今回は3年ぶりに開かれました。
26日、石巻市で行われた品評会にはおよそ200品目が出品され、参加した水産加工会社53社の多くが、震災で被害を受けていました。
このうち、地元産のえびをみそに練りこみしそで巻いた商品は、津波で工場が全壊した女川町の水産加工会社がほかの会社の工場を借りて開発しました。
また被災した工場を改修して生産を再開したという気仙沼市の水産加工会社は、三陸産のめかぶを細かく刻み、しょうゆだれに漬け込んだ商品を出品しました。
宮城県によりますと、県内で被災した水産加工会社のうち、先月までにおよそ60%が復旧したということですが、販売先の回復の遅れなどから多くの会社では経営が軌道に乗っていないということです。
品評会を主催した宮城県農林水産部の佐藤靖技術副参事は「水産加工会社は、建物は復旧しても販路や人手にまだ課題を抱えています。宮城の水産加工品ここにありと言われるぐらいよい商品を作ってもらえるよう県として支援していきたい」と話していました。
水産加工会社は今も多くの課題
品評会に参加した被災地の水産加工会社の多くは、経営に今なお多くの課題を抱えています。
大正7年創業の気仙沼市にあるかまぼこ店は、今回の品評会に6品を出品しました。
このうち店の看板商品の五目揚げは、別の品評会で水産庁長官賞を受賞したこともある自信作です。
沿岸からおよそ70メートルのところにあったこの店は、東日本大震災で店と工場を兼ねた建物が全壊し、店内はがれきで埋め尽くされ、30年にわたって使ってきた製造機もすべて壊れました。
この店の斎藤東吾社長は一時、再建を諦めかけていましたが、再開を希望する客からの声に押されてボランティアの手を借りながら、がれきを撤去するなどしておよそ1000万円をかけて店を改修し、震災が起きてからおよそ8か月で店を再開しました。
当初は、販売できたのは3種類のささかまぼこだけでしたが、毎年品数を増やし、現在は、震災前の14種類まで戻りました。
復興が進むなか、徐々に店の経営が軌道に乗りつつありますが、震災から3年となるなかで、再び大きな問題に直面しています。
店があるこの地域について、市は復興計画でかさ上げする計画を示し、早ければ平成27年度から工事が始まる見通しとなりました。
このためようやく震災から復興にこぎ着けた店を別の場所に一時、移らざるをえなくなりました。
この店が元の場所に戻るにはおよそ3年がかかる見通しで、移転先の場所も自分で探す必要があります。
斎藤社長は、他の場所で仮設店舗を作りたいと考えていますが、店舗と工場を併設できる土地はなかなか近くに見つからないということです。
斎藤社長は「今の建物を壊すことは本当にがっかりします。最初からこうなると分かっていれば費用をかけて直すことはしませんでした。しかし自分は4代目でこの土地に愛着もあるし、なんとかこれからもやっていくのが目標です」と話しています。
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