福島原発:事故の爪痕 いまも…がれき散乱、手つかず
毎日新聞 2014年03月04日 21時38分(最終更新 03月05日 00時14分)
◇規制委職員に本紙記者が同行
東日本大震災3年を前に東京電力福島第1原発の現場を単独取材した。4号機原子炉建屋では使用済み核燃料プールの核燃料を回収する作業が進むものの、大量のがれきが手つかずのまま残り、今後30〜40年に及ぶ廃炉作業の道のりの険しさをうかがわせた。
現地には、原子力規制委員会の出先機関である原子力規制事務所がある。小坂淳彦・総括調整官のパトロールに同行した。規制委が報道関係者の同行を受け入れるのは昨夏の汚染水問題発覚後、初めてだ。
◇4号機原子炉建屋に燃料棒「落とすな!」のスローガン
まず、廃炉に当たる作業員の拠点となる免震重要棟へ。小坂さんは、東電社員から炉心温度などを聴取すると、4号機原子炉建屋へ移動。昨年11月から使用済み核燃料プールで始まった核燃料の回収作業を見守った。水面の約12メートル下にある核燃料を、専用のクレーンを使って東電社員が1体ずつ抜き取り、専用の輸送容器に収めていく。「落ちるな! 落とすな! はさまれるな!」。こんなスローガンが鉄骨の柱に張ってある。
3日までに回収が終わったのは、1533体あった核燃料のうち4分の1に当たる418体。プールの透明度は予想以上に高いが、神経をすり減らす回収作業は年末まで続く。