被災地のドキュメンタリー映画で過剰な演出3月5日 17時51分
東日本大震災の被災地のラジオ局の活動を追ったドキュメンタリー映画の中で、実際にはラジオの電波が届かない場所に住んでいる被災者の女性に放送を録音したCDを聴かせて、この放送に勇気づけられた人として、過剰に演出していたことが分かりました。映画を製作した会社は「ドキュメンタリーとして、どこまで演出が許されるのか検討を進めたい」と話しています。
この映画は、東日本大震災で被害を受けた宮城県南三陸町で、被災者を元気づけようと住民が立ち上げたFMラジオ局の活動に密着した作品「ガレキとラジオ」です。広告会社の博報堂が企画・製作し、去年4月から全国20以上の映画館で上映されました。
博報堂によりますと、津波で娘と孫を失い、仮設住宅で暮らす70代の女性が、ラジオ放送に勇気づけられた人として映画に出演していますが、実際には女性が住む地域には、このラジオ局の電波は届いていなかったということです。
これについて博報堂では、撮影スタッフが仮設住宅を訪れた際、女性が「夜は音がなく、さみしくて眠れない」と話したことから、放送を録音したCDとラジカセを女性に渡し、その数日後、女性の同意の下、放送を聴いて励まされている様子や「いつも聴いている」と話す女性のインタビューシーンなどを撮影したと説明しています。
博報堂の藤井慶太広報グループマネージャーは「今後、女性に直接話を聞き、事実関係を確認するとともに、ドキュメンタリーとしてどこまで演出が許されるのか検討を進めたい」と話しています。
「指摘は真摯に受け止めたい」
出演した女性はNHKの取材に対し、「撮影をするのでラジオを聴いているようにしてくださいと言われました。言われたとおりにやったことを申し訳ないと思っています」と話しています。
一方、この映画の監督を務めた博報堂の社員の梅村太郎さんと放送作家の原一成さんは、5日午後、映画の公式ホームページでコメントを発表しました。
この中で、2人は女性と女性の家族の同意を得て撮影を行ったと説明したうえで、「ドキュメンタリーとして許される範囲の『演出』として考えておりました。ドキュメンタリーを逸脱したものだというご指摘は、真摯(しんし)に受け止めたいと思います。お騒がせ致し、誠に申し訳ございません」と謝罪しています。
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