メルカリの仕組みがすごすぎて度胆を抜かれた件

昨日に続いてメルカリの秀逸さについて記載します。
このサービスの経営陣が経験豊富なことは良く知られていますが、
ビジネスに対する見識の高さが随所に表れています。
下の記事のタイトルに「シンプルに実現可能性を伝える」
とありますが、研ぎ澄まされたビジネスプランなのではないかと思えます。

メルカリ_サービス説明資料 – Slideshare
http://www.slideshare.net/Find-Job-Startup/kouzoh-mercari-find

シンプルに実現可能性を伝える
山田進太郎(メルカリ代表取締役)
http://www.projectdesign.jp/201403/plananalysis/001207.php

■CtoCで成功するための要件を満たした企業戦略・資本提携・サービス設計

フリマアプリの成功要件としてまず重要なのが、
マーケットに人が集まれば集まるほど、出品も入札も増える「原理原則ネットワーク効果」
が発揮されるくらいまで急成長できるかどうか。
DL、利用者数、利用頻度が低いうちは伸び悩んでしまいます。

その点でメルカリは、
1)出品料、販売手数料、落札手数料など考えられる手数料(%)がありません。
他のフリマアプリは10%程度の販売手数料を設定していたりします。
ユーザインセンティブとしては間違いなく大きいです。
2)商品カテゴリが広い。
男女利用できるフリマというポジショニングのため、この手のアプリに多いファッション以外も
出品されています。
3)お金のやり取り上のトラブル回避
メルカリがお金のやり取りを仲介するために、ユーザに安全に見えます。
※ただしこの点はメルカリのビジネスモデルで非常に重要な仕組みと言えます。ここは後で述べます。
さらに、
1)ユーザセグメントが近く、また世界にユーザベースを保有しているcocopaを運営する
UNITED社から出資を受けています。
2)CtoCの世界的なプラットフォームを目指す
ネットワーク効果を最大限に高めるため、海外市場への展開は積極的です。

■秀逸なビジネスモデル

スタートアップが急成長するための要件を満たしまくっている点も注目です。
優秀な人材を集めるとか、大型調達するとか、大手の提携とかいろいろありますが、
僕が注目しているのはキャッシュフロー(サイクルと言った方がいいかも)に拘った仕組みを作っていることです。
まずUNITED社から3億円集めているので、さすがはトラックレコードがしっかりしている
経営陣によるサービスだなと言い切れます。
しかし、ここまでは普通にあるある、と言う話で、やはりサービスの仕組みがすごいです。
■キャッシュが手元に残る仕組み

メルカリではユーザ間の売買代金の仲介をメルカリが行っています。

1)売買が成立
2)メルカリがエスクローとなり売買を取り次ぎ
※エスクローwiki

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC
3)ユーザにはポイントとして付与される。
1ポイントは1円
4)ポイントは次の商品の購入に使うか、もしくは引き出す。1万円未満の引き出しには250円かかります。
■ビジネスモデルって
表向きには250円の振込手数料しかお金を取るポイントがなく、どうやって儲かるのって疑問になります。
しかし、メルカリがエスクローとして管理している売買代金に着目すると、見えるものがあります。
メルカリの売上は250円の振込み手数料が中心です(ほかもあるかもしれませんが)が、
取り扱うキャッシュは、プラットフォーム上の売買代金になります。
物が売れるたびに落札者からお金がメルカリに振り込まれます。
メルカリが受け取ったお金は、出品者が希望する場合は引き出されますが、
次の買い物でポイントを使おう、というユーザもいるので全てが出金されるわけではありません。

■ポイントによる現金の留保(キャッシュアウトが抑制される仕組み)
黒字倒産という言葉もあるようにキャッシュは企業、特にスタートアップにとっては
ロケット燃料のように重要です。

メルカリは3億円集めてお金はある会社でしょうが、さらに売買代金の一部が留保されるため
キャッシュが出にくい仕組みになっています。

■ポイント管理と会計上の引き当て金
メルカリのポイントの仕組みはこちらです。
・ 180日間利用がないと失効します。 → 引当金を取り崩せます。
・ 退会するとポイントは失効
・ 規約違反など認められた場合は上記の退会と同様に。
・ ポイントは1ポイント=1円 → メルカリが規約として決めている。

また多数のユーザの中には、
・ 手数料がもったいないから引き出さない。
・ 次回の購入で使うからポイントのままにしておこう。
・ 引き出さずに忘れてしまう。
・ 少額のため使わず放置
・ 他のサービスに乗り替えてしまう
などなどユーザ都合の失効もしくはポイントとして保持もあります。

なお引当金の考え方では「当期に消化したポイントは費用として計上」
残ったポイントで「翌期の利用されるであろうポイント」を「ポイント引当繰入額」「ポイント引当金」として
貸借対照表に記載します。

詳しくはこちら:http://www.tohmatsu.com/view/ja_JP/jp/industries/cb/217ea38387281410VgnVCM2000003356f70aRCRD.htm
■この仕組みの強み
ポイントは多数のユーザがエスクロー(銀行のような役割)であるメルカリにお金を預けているようなものです。
しかもユーザ数が増えれば全員が一斉に引き出す(取り付け騒ぎ)のようなこともほぼ、ありえません。
メルカリはキャッシュアウトが抑制される仕組みを持つことで、引出手数料250円以外にも儲かる機会が
いっぱいあるのです。

今後のサービス規約の変更による、儲かる機会を作り出せるので「No1のCtoCプラットフォーム」となった際には
非常にキャッシュリッチな強いビジネスモデルも併せ持った最強の存在になるのではないでしょうか。

創業時にここまでの構想を描いて、しかもユーザ目線で「ほぼ無料で使い易い」というコンセプトに
見せてしまう経営陣の優秀さかげんに、感心してしまいました。
■蛇足
なおポイントの仕組みとして参考になりそうなのが、スマホでポイントリワードの媒体です。
これらも広告キャンペーンに対してポイントをユーザに付与しており、
そのようなサービスもメルカリの仕組み作りの一助になったのではと想像しております。

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