先日、松屋で牛飯並盛(つゆだく)を食ってたら懐かしい
言い方は悪いが所得の低そうな人ほど、牛丼チェーン店で店員に「ごちそうさま」と言う(本来不必要なレベルの)礼儀正しさを備えているように思えるのは興味深いを思い出した。
ナナオク氏の炎上以来一度も牛丼を食べていなかった(氏は復活済)。
牛丼片手にカウンターから周囲を見まわす。
仕事帰りのスーツ姿のおっさんやカジュアルな服装の若者やおじいちゃんや。
「ごちそうさま」を言うか言わないかは特に服装や外見に関わらず、スーツだろうが若者だろうが言わないやつは言わない。
そりゃあそうだろう。
あの一件は終わったことだし、もういい。
自分はいつも「ごちそうさま」を言って立ち去るタイプなので、食べ終わってあえて言わずに席を立ってみた。
...。
慣れていないせいか何やら気まずいし気持ち悪い。
「ありがとうございました~」
と背中に声をかけられると「ごちそうさま言ってないけれど…」と言う但し書きを勝手につけてる。
考えてみれば小さいころから「ご飯を食べ終わったらごちそうさまは言いなさい」としつけられてきた。
小さいころのしつけや習慣は、収入には関わらない環境の問題。
「ごちそうさま」と言う方が楽だと気付く。
翌々日、再び松屋に行った。
ディナー時間前にも拘らずそこそこカウンターが埋まっている。
女性店員さん二人で1人は厨房、1人はカウンターを回している。
牛飯並盛(つゆだく)。
頼んで1分かからずに出てきた。
紅しょうがを乗せ、七味唐辛子を取ろうとすると席から少し遠い。
「お取りしましょうか?」
と店員さん。
接客が上手いしハキハキしていて目端が効く。
飲食をやった経験があると判ると思うが、繁忙期でないとはいえ1人でそこそこ入っている客を効率的に回すのは大変だし、客が薬味を取ろうとしているのを助けるのは余計な仕事。
見ないふりをする店員は多いし雑務は常にある。
笑顔、視線の合わせ方、声出し。
本店から抜き打ちで覆面調査が入ってもクリアーできる高クオリティ。
七味を取ってもらい、煮込まれ気味の肉が乗ったどんぶりにかけ口内をピリピリさせながらかきこむ。
深夜のコンビニでバイトをしていたことがあるが、ヤ○ザのひとはおつりを渡すと「ありがとう」と答える。
別に清算に感謝されるいわれはないが、レジを通し袋に入れ清算を行った行為全般に対しての「ありがとう」だろう。
ホストやキャバクラのお姉さんはあいさつをする。
チンピラやヤンキーは滅多に言わないが、チンピラの彼がヤ○ザに凹られたあとは「ありがとう」を言っていた気がする。
眠そうにしてるジャージのおっさんはあくびはしてもありがとうは言わずに帰る。
酔っ払いは自動扉を蹴って叫び、コピー機の上で寝る。
イチャイチャしてるカップルは「アイスあたためてよ」と言いだし、ムカつくので本気で温めてやろうかと手にすると「えー?こいつ冗談通じないんでやんのwww」と彼女に格好つけてるんだか何だかよく判らないが笑いだし、立ち去る背中に「二度と来るな!!!!」と邪眼で睨みつつ、当時まだなかった「リア充爆発しろ!」相当の呪詛を念じつつ「ありがとうございました、またおこしくださいませ~」と心にもない形式上のテンプレートを投げつけてやる。
どっかのおっさんは金額を告げると、いつも手に持った金を店員に投げつける。
いつものようにお金を拾い集め清算し、丁寧におつりを渡す。
そういうヤツもいた。
それでも客は客。
「めんどくさい人の対応代」もバイト代に含まれてるのかも知れない。
安かったけど。
今ではコンビニに客としていく。
レジでは「ありがとう」を言ってる、無意識に、反射的に。
言われるのと言われないのとでは言われないのがふつうだが、言われる方がいい感じがしたような気がする。
嬉しいとまでは行かないが少しだけいい感じ。
だから客としてコンビニに行きレジが終わると「ありがとう」と言ってる。
牛丼を食い終り立ち上がり「ごちそうさま」を言う。
「ありがとうございました」と声が帰ってくる。
店員さんがハキハキしているとこちらのごちそうさまがきちんと機能している気がする。
言わなくても構わないが言っても何か減るわけでも損をする訳でもない。
収入は別に多いわけじゃないが少ないわけでもない。
必要性だとか感謝しているかじゃなく「ごちそうさま」を言いたいから言う。
それだけのこと。