棒といえば、孫悟空の持っている如意棒(にょいぼう)を思い浮かべる人が多いと思います。孫悟空の痛快で滑稽な活躍の物語は、多くの人々に愛されているのではないでしょうか。そのような方々は、孫悟空が金団雲(きんとんうん)に乗り、その棒で妖怪をやっつける話や、しなくてもいいイタズラをその棒でしたために三蔵法師様に叱られる話を、何か幼い日の自分とダブらせて、「悟空」に親近感を感じていると思います。
人類文化が発展する過程において、初めて使用した武器は棒(木の枝の切れ端だったかもしれない)もその一つであるに違いありません。棒の武器としての歴史は、人類が道具を使用するようになった今から250万年前に始まっていると言ってもいいと思います(棒も道具と考えれば)。狩りをする時やお互いの争いの時に獲物や敵を倒す道具として使用したことでしょう。武器に金属が使用され出したのは今から数千年前の事ですから、人類の歴史がほとんど武器としての棒の歴史と一致しているといっても過言ではありません。
そのため、「棒術」は世界各国に見ることができる武術です。棒術は、日常生活でも使用する棒を武器とするその特性上、身分、階層を問わず広く修練されており、日本各地に多くの流派が存在しました。ヨーロッパではポルトガルのJogo do Pau(ジョーゴ・ド・パウ)、フランスのLa
canne(ラ・キャン)が有名です。また、中国武術では棍術として、拳法と平行して稽古されています。こう考えると、棒を使用した武術つまり「棒術」にはたいへんな奥深さとロマンを感じる人が多いのではないでしょうか。
大阪棒道協会は棒術の普及と発展を目的として、2011年8月に誕生しました。大阪棒道協会の棒術(協会棒道)は、有朋館英氣棒道(前身は有朋館棒術クラブ)が母体になっています。
協会棒道においては武道を「生き抜くための術」ととらえ、武道的技術は勿論、どんな状況でも英(ひい)でた氣力で、生き抜く知恵を備えた「真の武道人」の育成を目指します。
また、棒道は心肺機能、筋力や動体視力、敏捷性、調整力を養い、総合的に健康を増進させます。年齢や性別を問わず、個人の能力に応じて稽古ができるので、無理なく技の修得が可能です。
さらに、稽古を通していろいろな武道を研究し、武道的視野を広めます。したがって、他の武道経験者(剣道、スポーツチャンバラ、空手、合気道等)が参加した場合、お互いの技研究の場ともなります。この機会に、皆さんの積極的な入会を期待します。