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教科書を7回読むだけで、断然トップになれた!(後編)

プレジデントファミリー 2月23日(日)10時15分配信

 山口さんの勉強法の最大の特徴を挙げるとするなら、基本書といえる教科書中心でありながら、最初から覚えようとせず、出題範囲の全体像をつかむことを優先し、続いて大見出し、次に小見出しという順番で細部を少しずつ頭に入れていくという点だろう。もう1つ気づかされるのは、定期試験はあくまで教科書の出題範囲から出されるという当たり前で、それでいて見過ごされやすい事実だ。問題集やドリルをやみくもに解くより、教科書の出題範囲だけに集中したほうが効率的で、より確実なのだ。ハイレベルの学生が集まる東大で、教科書一本で勝負した彼女が4年間162単位オール「優」という成績を取ったことが、何よりの証拠といえる。

 ちなみに、司法試験やビジネス英語の勉強など、これといった教科書が決まっていないケースでは、「MY教科書選び」にとことんこだわるという。使える1冊を選び抜く。

 「最初から最後まで読んで覚えるので、私にとっては網羅性がいちばん重要です。あと、あまりカラフルすぎると読みにくいので、2色刷りくらいが好みです」

 ところで山口さんは、文章の行間を読み取って解答しなければならない国語の読解問題や、英単語や慣用句をその正確なスペルまで暗記しなければいけない英語の場合、どう勉強していたのだろうか。

 「国語は、教科書よりも、むしろ授業ノートを同じ方法でひたすら読み込みます。ノートには先生が授業中に話していたポイントや、筆者がその文章で言いたかったことなどが書いてありますから。それを教科書の本文と見比べながら、繰り返し読んで頭に入れました」

 英語の場合は、単語や慣用句を発音しながら、書いて覚えたりもした。「ただし、書き写したものは一切見ません。五感を使ってより効率的に覚え込むために、ただ手を動かしているだけですから。この方法は暗記科目の社会や生物や地学でも、必要に応じて使っていました」

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教科書を7回読むだけで、断然トップになれた!(後編)

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教科書を7回読むだけで、断然トップになれた!(後編)
「書き写したものは一切見ません。五感を使ってより効率的に覚え込むために、ただ手を動かしているだけですから」と山口さん。

 これまた、誰でもまねができそうだ。撮影のために、彼女に本を実際に読みながら書いてもらった。愛用している3色ボールペンで書き始めると、彼女は目をかっと見開き、本の右隣に置いたメモ用紙に軽快にペンを走らせ始める。

 視線は本から一瞬も離さず、書き写している右手が紙の端からテーブルに移ったのを感じとると、機械的に次の行の頭に右手を戻して、再び書き始める。教科書を読み飛ばしながら見取り図をつくる一方で、音読や、英単語や慣用句を紙に書くことで情報を積み上げ、より立体的に肉付けする作業といえる。

 最後に、山口さんが「我慢の教科」と表現する数学は、教科書をひたすら読む方法が使えない。いったい、どうしていたのか。

 「教科書を読む代わりに、『赤チャート』と呼ばれる、高校教科書の標準レベルから、東大や京大の難関理系学部の入試問題レベルまでを収録した参考書を使い、それを合計7回繰り返し解いて、問題のパターンを覚え込む方法をとりました」

 いくら応用問題とはいえ、数学の問題も突き詰めれば何パターンかに集約できると考えたからだという。パターン別に問題を繰り返し解いて、正解を導き出す流れを覚え込んだ。

 「1回目は解答を見ながら問題を解きます。同じ問題を反復して解くことで、4回目ぐらいになると、考え方のパターンが頭に入り、解答を見なくても解けるようになってくるんですよ」

 これは、算数への苦手意識が強い子こそ、まねしやすい方法かもしれない。山口さん自身、大学入試では、数学は高得点を期待できなかったが、平均点程度さえ取れれば、超高得点が狙える暗記科目で十分に補えるために、とくに支障はなかったらしい。

 理科の場合は、「暗記できる部分が多い生物や地学に逃げるんです」と、彼女は苦笑しながら、正直に話す。

 「教科書を7回読む。中学から大学まで、この勉強法を続けてきましたが、これが一番ゴールに近く、無駄がありません。妹に『どうやって勉強すればいいの? 』と聞かれるたびに、私は『教科書を読みなさい』とだけアドバイスしてきました。読み込む勉強法なので、問題の解き方や考え方を他人にわかりやすく説明するのは、私、今でも苦手なんですよ」

 彼女はあっけらかんとそう言い、両頬をふっとゆるめてみせた。

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山口真由 
1983年、札幌市出身。2002年、東京大学入学。司法試験、国家公務員第I種試験に合格。06年4月、財務省に入省。現在は弁護士として活動する傍ら、テレビ出演や執筆などでも活躍中。近著に『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。』(扶桑社)。
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荒川 龍=文 小川 聡=撮影 新沢圭一=ヘアメーク

最終更新:2月23日(日)10時15分

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