【ワシントン=吉野直也】米国防総省は4日、米国の安全保障政策の指針となる「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」を発表した。アジア太平洋に戦略の重心を移す「リバランス(再均衡)」政策の継続を表明。中国の海洋進出を念頭に2020年までに太平洋に配備する米海軍艦船の割合を現在の50%から60%に引き上げる方針を打ち出した。
「我が国の歴史で最も長い戦争が終わり、未来への国防戦略を形作る機会となる」。ヘーゲル米国防長官は4日の声明で、アフガニスタンからの大規模な地上部隊の撤退に触れつつ、今回の国防計画の意義をこう説明した。
同日に議会に提出した15会計年度(14年10月~15年9月)の戦費を除く国防予算案は約4956億ドル(約51兆円)と前年度より4億ドルの微減となった。国防予算案も厳しい財政事情を踏まえ、陸軍を削減する一方、海空軍の戦力を維持。脅威の多様化に対応するためのサイバー対策の強化など戦力にメリハリをつけた。
国防計画では軍備増強を続ける中国を意識し、日本や韓国、オーストラリアなど同盟国との協力拡大を掲げ「在日米海軍の強化が極めて重要」とも明記した。日米の懸案である米軍普天間基地の移設問題については「海兵隊をグアムに移転し、持続可能な体制を整える」と負担軽減に取り組む方針を強調した。
ただ、国防予算案では同問題に絡む在沖縄海兵隊のグアム移転計画関連予算は前年度に比べて3500万ドル減り、5100万ドル(約52億円)にとどまった。オバマ政権では2度目となった国防計画は、日米両政府が米軍と自衛隊の役割を再定義する日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定にも反映させる。
ヘーゲル、QDR