コミュニケーション能力が足りないために、職場や学校などの輪に入れない。つまり“浮いている人”を「非コミュ」と言う。この苦しみにのたうち回り、全力でアサッテの方向へ暴走する少女を描いたマンガ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(略:わたモテ)が1、2巻の累計発行部数で50万部を突破するヒットになっている。作者・谷川ニコ先生に本誌の「非コミュ編集者」が突撃する!
■「モテない」なら同性にも好かれてはいけない!
―いきなりですが、僕の話を聞いてください。僕の学生時代は“暗黒”でした。クラスでも部活でも、浮いてしまいがち。友達がいなかったわけじゃないんですが、ひとりの時間のほうが圧倒的に長かった。
大学に通うため上京、ひとり暮らしを始めたのですが、最初は誰とも話すことがない日々が続きました。でも、孤独に慣れたかというとそんなことは全然なくて。「誰でもいいから、僕に構ってくれ!」と常に思っていました……。そんな僕にとって『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(以下、わたモテ)は笑えるのですが、それ以上に「心に刺さる」と言いますか、学生時代を思い出して、ちょっと正気で読んでいられません。
原作(男性)&作画(女性) ありがとうございます。
―やはり、「わたモテ」は原作の方の経験がベースになっているんですか?
原作 経験というより、心の中でいろいろ考えていることを、吐き出している感じです。僕は非常に僻(ひが)みっぽい性格なので。
―学生時代はいかがでした? やっぱり……。
原作 “ぼっち”でしたよ。特に高校時代は友達がいなくて、ずっとひとりでキツかったです。まあ、大学でもひとりだったことは変わらなかったけど、あのときの“ぼっち”はすごく楽でした。
―それは、わかる気がします。たいていの大学生は時間があり余っていますし、外に出ていけば学校以外の社会がどこにでもあることがわかります。
原作 僕は、小中高とまったく勉強をしなかったので、大学では勉強ばかりしていました。授業がないときは主にバイトです。
―作画の方はどうでした?
作画 同性の友達すらほとんどいませんでした。なぜか、女子の間には「同性に人気がないと価値がない」という雰囲気がありますし、たまにテレビとかで「同性に好かれる女は男にモテる」みたいなことを聞かされると、じゃあ私は……と絶望してしまうことがあります(笑)。