限界迎えた韓国の輸出依存戦略

輸出の伸びが雇用と消費に結び付かず

限界迎えた韓国の輸出依存戦略

 これまで韓国経済は輸出に頼って成長してきた。海外で製品を売って稼いだ資金が国民の財布に入り、消費を促進するという図式は、富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が回るという「トリクルダウン効果」を生んでいたことを示している。しかし、2000年代に入り、その図式が通用しなくなった。昨年の輸出は5596億3240万ドルで、1973年に比べ実に173倍に膨らんだが、多くの店や工場が廃業している。

 専門家はその原因として、産業の高度化を挙げる。1970-80年代には労働集約型の製造業が中心だったが、最近はスマートフォン(多機能携帯電話)、半導体、石油化学など高技術・資本集約型に産業構造が再編され、トリクルダウン効果による富の循環が止まったとの分析だ。

 韓国銀行によると、輸出による雇用創出の指標となる「輸出雇用誘発係数」(輸出額10億ウォン当たりの雇用創出人数)は、1995年の22.2人から2011年には5.5人に大きく落ち込んだ。弘益大の全聖寅(チョン・ソンイン)教授は「高度産業構造では輸出増加に見合った雇用創出と富の分配が起きない」と指摘する。

 海外から直接部品や資材を調達する流れが強まったことも一因だ。主に国内の下請け企業と取引していた韓国企業は、10-20年前から中国や東南アジアの安い部品を直接調達し、輸出企業と国内中小企業が共に成長する道が断たれた。製造業による輸入中間材投入比率は1995年の18.6%から2011年には25%に高まった。韓国の労働者が享受する果実がそれだけ減ったことを示している。

 1000兆ウォンを超える家計債務も消費を冷え込ませる要因だ。韓国経営者総協会が最近実施した「2014年経済見通し調査」によると、対象企業248社の最高経営責任者(CEO)が最も多く挙げた懸念事項は「内需低迷」(33%)だった。活力を失った内需が経営の引き締めを招き、それが投資規模の縮小、賃金所得の減少、消費低迷につながる悪影響を生む。

 専門家は輸出依存の戦略が限界を迎えており、輸出と内需による「双発型」の戦略へと転換が求められていると指摘する。ハーバード大のドゥワイト・パーキンス名誉教授は「韓国経済の今後の成長は、サービス産業を中心とする内需産業にかかっている。良質の雇用を創出するためには、内需市場が活発でなければならない」と指摘した。

 高麗大の申寛浩(シン・グァンホ)教授(経済学)は「世界経済の興亡に一喜一憂せず、韓国経済が先進国レベルに飛躍するためには、内需大国への転換が求められる」と訴えた。

金智燮(キム・ジソプ)記者
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