うーん!その手があったかー!!と思わずうなってしまった。
霊を退治するときに気持ちよくなっちゃうんですよ!
1人じゃなくて二人一組でやるんですよ!
これが除霊のスタンダードになればもう大変なことになるやんけ!
きゃー素敵!
のっけから頭が大丈夫なのかと思われる文章で恐縮です。
でもそれくらい、この本はリアリティがある。もちろん、霊を扱っているストーリーなので私のような霊を信じない人から見ればまったくのフィクション。しかしそこを「私が知らないだけで世界では実際にこんなことが起こっているのかも」と信じさせる力がこの本には詰まってます。
背景などを緻密に書き込むことによって構築されたリアリティとはまた違っていて、この本は、設定が巧み。嘘をつくときのコツは、嘘以外は本当のことを話すこと、というのを聞いたことがありますが(出典は忘れてしまいましたすみません)まさにそれです。日常的な風景が描写されている中で、1箇所だけ異世界がまぎれてる。
たとえば霊と人の見分け方。
私は視力が悪いので早速試したいと思いました(どうやるのかはぜひマンガでご確認ください)。でも本当に見えたら恐怖だろうな…これ…。
物語は地味でまじめな書店員の三角(みすみ)と清掃会社の名目で除霊を行っている冷川(ひやかわ)が出会うところから始まります。出会って早々、何の説明もなく除霊開始。気持ちよすぎて三角は失神(ここでどのくらい気持ちよいのか推して知るべし)。ほぼ強制的に冷川の助手に決定してしまう。
その後、次々と除霊に二人一組で当たっていくのですが、一般的な除霊もののストーリーにありがちな展開をすべてよい意味で裏切っていく演出がたまりません。普通の話では無言でコマを細かく切って恐怖感を演出させるところを、遠慮なしに「怖い怖い!!」と叫ぶ登場人物。除霊を値切る人や、若者特有の生意気な女子高生の振る舞い(ちっとも可愛げがなく大変よい)。どちらかといえばライトな雰囲気で非常に日常的です。でもふとした瞬間に仄暗い描写を差し込まれるので怖さ倍増。「ぎゃー!!」というより「ひっ・・・!!!」という感じ。
この話は今年2月に1巻が出たばかり。ずっと名前だけ出ていた謎の人物が出てきたところで終わりです。続きを来年の冬まで待たなければならないというのが一番恐怖なのかもしれません。
ひっ・・・!!!
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こちらも日常に潜む闇を描いた作。霊というより妖怪色が強いです。
作者の最新作。食べ物にまつわるオムニバス。こちらもなんともいえない空気感が絶妙。