北陸道事故:「起きろ」の注意は亡くなった小野さん
毎日新聞 2014年03月04日 21時16分(最終更新 03月05日 00時42分)
◇宮城交通本社など計3カ所を家宅捜索、400点押収
富山県小矢部市の北陸自動車道小矢部川サービスエリア(SA)で3日発生した宮城交通(仙台市)の夜行高速バスの衝突事故で、事故直前に「起きろ」と小幡和也運転手(37)=宮城県角田市、死亡=に注意したのは、亡くなった私立金沢高校教諭、小野善広さん(48)=金沢市=だったことが4日、富山県警への取材で分かった。県警は小幡運転手が事故当時、何らかの理由により意識を失った状態で運転していた可能性もあるとみて捜査を進めている。
県警によると、乗客24人のうち半数以上が男性客の「起きろ」という呼び掛けを聞いたと証言。小野さんが衝突直前に最前列の座席から立ち上がり、小幡運転手に声をかけている姿や、小幡運転手がハンドルに顔を押し付けている状態だったのを目撃した人もいたという。
また、司法解剖の結果、小野さんの死因は出血性ショック死と判明。小幡運転手は多発外傷による外傷性ショック死と考えられるが、現時点では断定できないという。解剖所見によると、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中など突発的な病気の発症は確認されていない。
一方、県警は4日午後、宮城交通の本社(仙台市泉区泉ケ丘3)など計3カ所を自動車運転過失致死傷容疑で家宅捜索し、約400点を押収した。本社にはスーツ姿の捜査員9人が午後1時半に到着、3時間半にわたって捜索。捜査員は段ボール10箱とクリアケース1箱を次々に運び出すと、県警のワゴン車に無言で運び込んだ。
宮城交通によると、押収品は就業規則や、小幡運転手の健康診断書など。担当者は、小幡運転手が11日連続の勤務だったことを明かした上で、就業規則上は週休2日だが、労働基準法に基づく労使協定で休みが2週間に1日となることを認めていたと説明した。
【成田有佳、山越峰一郎】
◇小野さんの勤務先・金沢高校で教職員や生徒が黙とう
小野さんの勤務先だった金沢高校(金沢市泉本町3、能崎喜吉校長)では4日、朝礼の際に小野さんの冥福を祈り、教職員や生徒が黙とうをささげた。