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注目したいオンライン教育サービス13選【国別】
- Mar 4, 2014
インターネットが普及する現在、パソコンやタブレット、スマートフォンさえあれば世界中どこでも簡単に、学びたいことにアクセスし自分自身で教養を身につけることができます。通学・通勤中にできるものから本格的なオンライン講習の受講まで、もしくは無料のものから有料のものまで、自分に合ったサービスを選択し簡単に学ぶことができるのです。オンライン学習サービスの数は年々増えており、今とても熱い分野と言えるでしょう。
オンライン学習サイトの総称はMOOCs(ムークス)と呼ばれ、(略: Massive Open Online Courses)アメリカでも多くの注目を受けています。前回に紹介した以前の記事でも記載したように、ここアメリカでオンライン教育の人気が加速している背景には、高等教育費用の値上がり(1985年に比べ2013年は5.6倍に上昇)、そして何よりも学生ローン負債問題があります。恐ろしいことにアメリカの学生ローンの負債総額は1兆ドル(約100兆円)にもなり、2013年の平均した1人あたりの負債額は約2万9千ドル(約290万円)で2008年から2012年にかけて平均負債額は6%上昇したとCNN Moneyは伝えています。
本来、教育とは貧富の差に関係なく平等に受けられるべきであるのに、高等教育費用の値上がりや学生ローン問題は教育格差をますます広げるばかりです。それに対して、オンライン教育は学校へ通うのに比べて、格段に安いコスト(もしくは無料で!)でいつでもどこでも学習することを可能にします。ここサンフランシスコでもオンライン教育系サービスを提供するスタートアップが数多くあります。また、アジア市場でもオンライン教育の輪はどんどん広がっていて、ますます多くの人から支持を受けるであろうオンライン教育サービスには大いな将来性があります。今回は注目したい国別オンライン教育サービスを紹介します。
アメリカ発のオンラインラーニングサイト
1. Lynda.com – Ojai, CA | 1995年
ユーザーニーズ:デザイン、プログラミング、ビジネス、写真、音楽など数多くの科目をオンラインで受講することが出来ます。
サービス概要:自らがウェブデザイン講師であったLynda Weinmanがこれからのコンピューターの可能性に気づいたことでこのオンライン教育サービス会社を設立。価格は月25ドルからでデザイン、プログラミングなど様々な分野のコースを無制限に利用することが出来ます。デスクトップ、モバイル、タブレットでも使用可能。いつでも好きな時に自分の学びたいコースを受講し、講師から提供される実践型の練習ファイルで確実にスキルを身につけます。
主な成功要因:今では400万人もの人がユーザー登録し、2400を超えるコースがあり、新しいコースも毎週更新されます。講師は全てその分野のエキスパートで多くの大学や大企業も利用しており、信頼できることが強みです。
2. BLOC – San Francisco, CA | 2012年
ユーザーニーズ:学校へ通っているかのように真剣にウェブデベロッパーになりたい人向けです。自宅にいながらも確実にスキルを身につけたい人に最適なサービス。
サービス概要:週に25時間、12週間でデザインかiOSデベロップメントを学ぶことが出来ます。価格は4500ドル (約45万円)。毎週月曜日からカリキュラムがスタートします。アメリカ以外にもどこへ居てもコースを受講することができ、一人一人の生徒に対しメンターと呼ばれるチューターのような人がサポートをしてくれます。
主な成功要因:大学でクラスを取るのと同じかそれ以上のレベルのものを安く提供出来るのが強み。無料でプログラミングやデザインを学べるサービスもあるが、それらは費やさなくてはならない時間や期間などが決まっていないため本当にスキルを身につけられるかどうかは自分次第です。それに比べBLOCは確実にスキルを身につけられ、学校でクラスを取るよりかは遥かに安いことが他サービスとの差別化です。
3. NovoED – San Francisco, CA | 2013年
ユーザーニーズ:学生・ビジネスパーソン向けに大学のレクチャーや専門家による講義をオンラインで観ることが出来ます。
サービス概要:スタンフォード大学教授であるAmin Saberi氏によってNovoEDのサービスが開始。ビデオによっては有料ですが、様々なスタンフォード大学の授業を無料で受講出来ます。また、ビジネスパーソンやスタートアップ向けの資金調達やピッチの仕方をアドバイスするビデオなども含まれています。
主な成功要因:アカデミックな内容のものからビジネスパーソン向けのものまで幅広く学ぶことができます。質の高いスタンフォードの授業を無料で観覧することが出来るのも魅力的です。このサービスを通して学習した人たちが、将来協力し合ってイノベーションに貢献してもらうことがNovoEDのビジョンです。
4. InstaEDU – San Francisco, CA | 2011年
ユーザーニーズ:高校生や大学生が学びたい科目のチューターをオンラインで探し出し、日々の勉強に役立てることの出来るサービス。
サービス概要:数学、生物、英語など高校や大学で取っている授業でチューターが必要な場合にオンラインで指導を受けることが出来ます。教えてもらいたい科目で検索すると、ランキング式でチューターがリストアップされるので自分に合った人を選びます。価格は週15分で週9ドル、週30分で週15ドル、週2時間で週48ドルの3つから選択出来ます。
主な成功要因:自分に合ったチューターを選択でき、レッスン時間をお互いの都合の良い時間に自由にセットアップし、ビデオチャットやチャットで指導を受けることが可能なため、チューターにとっても学生にとっても効率良いサービスであることが強みです。CEOであるAlison Johnston Rueは昨年のForbesのUnder 30実業家に選ばれました。
中国発のオンラインラーニングサイト
5. XuetangX - Bejing, China |2013年
ユーザーニーズ:本来は大学へ通わなくては経験できない授業をオンラインで受講可能。提供する学校は中国の名門大学以外に、米国大学もあり、オンラインコースを中国語字幕付きで観ることが出来ます。
サービス概要:中国清華大学開発したプラットフォーム。インターネットさえあれば、大学へ通わなくても専門分野のコースを勉強することが出来ると中国で話題に。コースに参加すると授業を観覧できるだけでなく、本当に学校へ通っているかのようにスケジュール通り宿題やテストを提出し、グループ討論への参加も可能です。
主な成功要因:無料で世界の名門大学の授業を受けられることが中国人に受けたことが大きな成功の要因の1つです。現在、プラットフォームは全て中国語化され、2013年8月10日から始まった中国清華大学の中国建築史と電気回路原理への登録人数はたったの2ヶ月で1万人を超しました。
6. icourse – Bejing, China |2012年
ユーザーニーズ:中国政府所属の高等教育出版社が経営するサービスで社会人教育、大学教育、教師養成用の教材を一般の人にも共用することを可能に。
サービス概要:大学教授や専門学校の講師の授業を実際に収録したものを無料で提供するサービスで、インターネット上の勉強会にも参加することが出来ます。同じコースを選択する学生と先生を交えたディスカッションの場も設けられています。
主な成功要因:中国政府の協力で作られたサイトなためコース量が豊富であることが強みです。普通の大学の授業の他に、教師養成コース、針灸や漢方薬に関するコースなど普通は専門学校に通わなくては学べない授業も受けることが出来ます。
7. NetEase - Bejing, China |2010年
ユーザーニーズ:世界中の大学の授業を無料で提供するサービス。他のサイトと異なる点は中国語字幕を専門の翻訳家に任せているため高品質の授業提供を可能にしています。
サービス概要:アメリカ、イギリス、中国の大学コース以外にも、TEDTalks、Kham Academiy、Courseraとも提携。GMat、GRE、SATなど試験対策用の専門授業も提供しています。
主な成功要因:豊富なコースを提供する他、モバイル対応も可。モバイルユーザーも500万人も超えており、ますますのユーザーの拡大が期待できます。
8. Yiihuu -Guangzhou, China |2010年
ユーザーニーズ:コンピューター関係のトレイニングコースを提供。
サービス概要:ソフトウェア、アート関係の塾や専門家と契約を結び、最新スキルを提供するサービスです。3ds max、Maya、Photoshopなど専門的な知識を身につけることが出来ます。
主な成功要因:ユーザーは1000万を超える人気サイトです。シェアプラットフォームとしても活躍しており、作品、ポトフォリオをアップして、他のユーザーから意見もらうことも可能です。
日本発のオンラインラーニングサイト
9. Schoo – Tokyo, Japan |2011年
ユーザーニーズ:無料でしかも生の授業が受けられるオンラインサービス。学校に通う手間を省き、効率的に教養をつけたい人に最適。
サービス概要:「WEBに誕生した新しい学校のカタチ」をモットーにオンラインで授業やレクチャーを受け、録画も可能。7つ(経営・起業、ビジネス、テクノロジーIT、デザイン、アートものづくり、教養、政治・経済・時事)のカテゴリー分けされ、自分の興味のある分野や先生の授業を選択します。時間になればメールでアラートが届き、生授業を受けられ、録画もすることができます。無料登録では月に1コマの録画授業に参加でき、月額525円でいくつでも録画授業に参加可能。講師は各業界の第一戦で活躍する人や、ユーザーからも募集した人たちです。また、就活生を対象としたリアルタイムで無料の就活相談ができる「キャリアセンター」も開設。
主な成功要因:昨年7月、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、インキュベイトファンド、ANRIベンチャーキャピタルから合計1億5200万円の資金調達に成功。ますますユーザー数とともに、講座数や講師数も増えると予想されます。先月には生放送授業に特化したiOSアプリ「スクー生放送」がリリースされ、着々とサービスのプラットフォーム化を進めています。
10. gacco – Tokyo, Japan |2014年
ユーザーニーズ:トップ大学レベルの授業を受講した人や、大学レベルの講座にチャレンジしたいという学習意欲の高い高校生が対象。真面目にある程度の時間を掛けて勉強したい人におすすめ。
サービス概要:今月3日からサービスを開始したNTTドコモ社とNTTナレッジ・スクウェア社が共同で推進しているプロジェクトでJMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)公認。講師は東京大学や慶応大学の大学教授で受講生は10分程度の講義動画を1週間に10本前後視聴し、ディスカッション、クイズ、レポートを経て所定の基準を満たすと講師から修了証が授与されます。
主な成功要因:サービスが始まって間もないため、これからの動向が見所です。スクーと同じく無料で講義を受講できる点は同じですが、gaccoの講師は大学教授に限られるため、より学校で受けられる授業に近いものを経験出来るようです。今後はこのgaccoの修了証がキャリアの証明などに活用できるよう、企業や大学に働きかけをしていく模様。
11. manavee – Tokyo, Japan| 2010年
ユーザーニーズ:高校生を対象とした日本の大学受験のための勉強ができるオンライン講座サイト。個々人の地理的・経済的な制約にとらわれず競争の機会均等を実現し、誰でもインターネット環境さえあれば受験対策ができるサービスを提供しています。
サービス概要:大学受験の塾に通うのになぜそんなに高い費用がかかるのかと疑問を持った東京大学に通う学生が自らオンラインでサイト作りを学び、無料サイトを立ち上げ。3年経った今では約200人の講師が5500以上の動画を公開。全国の高校生など約5万ユーザーがおり、月間ページビューは約60万。講師は全て大学に通う大学生らで数学・英語・国語・世界史・日本史など必要な11科目の講義動画を公開しています。
主な成功要因:高い費用を払って塾へ通うのに比べ、無料で受験勉強できるのは非常に魅力的であります。創業者の思いは他の多くの学生にも受け入れられ今では全国各地、北海道から九州まで多くの大学生が講師やスタッフとして協力してサービスの域を広げています。また、多くのメディアにも取り上げられ、ますますのサービス拡大に期待したいところです。
12. CODEPREP – Tokyo, Japan |2013年
ユーザーニーズ:プログラミングを本ではなくオンラインで効率的に隙間時間を使って学習したい人に最適なサービス。初心者でも毎日5分でも10分でもこつこつコードを書くことでプログラミングを学んでもらうことが目的。
サービス概要:弊社が主催するスタートアップイベント、第6回 JapanNightで見事3位に輝いたサービスでgivery(ギブリー)が運営。アカウント作成後、基礎編から応用編まで様々なジャンルから自分にあったプログラミングを学ぶことが出来ます。また、ディスカッションボードというのが設けられており、分からないことなどを他のユーザーに聞くことも可能。継続的な学びと小さな成功体験の積み重ねでユーザーが自らアプリを作れるようになることをゴールとしています。
主な成功要因:第6回 JapanNightで入賞し、Facebookファンも1万人を超すなど多くの人から支持されています。バラエティーに富んだコースから自分の学びたいものを選択できるのも魅力的です。また。ユーザー同士が協力し合って質疑応答のできるディスカッションボードがあるなどインタラクティブなサービスであることが成功要因の1つだと考えられます。定期的にアップデートやリニューアルがされており、ますますより良いUX/UIを持つサービスへと進化することが期待出来ます。
13. Cooori – Iceland & Tokyo |2010年
ユーザーニーズ:斬新な学習用UIを備え持つオンラインの言語学習用サービスで、個人が空き時間でも習得出来るように最適化されたプロダクト。ユーザーごとにカスタマイズされたサービス提供が可能。
サービス概要:日本語学習用のサービスから始まり、今月から英語学習用のサービスがスタート。言語学習の中でも最も難しいと言われる日本語学習のサービスを成功させることが出来ればその他の言語学習のサービスも実現できるとCEOであるArnar Jenssonが考えたことがきっかけ。日本語学習用はJLPT(日本語能力試験)のレベル分けされたコースがあり、英語学習用はTOEICスコア別のレベル分けがされています。日本語学習用の価格は無料お試しと$6.95から始めることが出来ます。
主な成功要因:第6回JapanNightで見事優勝したことで大きく注目を浴びました。UX/UIも昨年と比べて大きく進化し、ユーザー数も着々と増やしており英語学習サービスが日本人にどれほど受け入られるのかが見所。特にビジネス英語を効率的に学習したいと望んでいる人は多く日本にいるため需要が大いにあることが予想されます。
- EduxTechイベント開催のお知らせ-
また、この度Coooriの新サービス開始を記念して、3月17日(月)19時〜からイベントが開催されます。テーマは『IT化が進む中、英語教育が進むべき方向とは?』韓国や中国など他のアジア諸国と比べても日本人の英語力は低く、それはTOEFLスコアの比較や英語の必修時間数からも明らかです。グローバル化が進む中、どうすればこの状況を打破し、巻き返しをはかれるのでしょうか?今回多くのオンラインラーニングサイトを紹介したように、最新のテクノロジーが日々飛び交う今、このイベントを通してこれからの英語教育を含む言語学習、また教育そのままの仕方について考えるきっかけになれば良いと考えています。
Japan Timesのレポーターを務める三重 綾子さん、Skype英会話で知られるレアジョブのCOO 中村 岳さん、多摩大学大学院教授の本荘 修二さん、ベネッセコーポレーションの星 千枝さんなどを招きパネルディスカッションも繰り広げられます。イベントは無料です。ぜひお知り合いも誘ってご参加ください。
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■ イベント詳細 ■
日本の英語教育の遅れを取り戻せ! “The Future of Language Learning”
教育 × テクノロジー|第6回 JapanNight Post Event
【日時】2014年3月17日(月) 19時〜21時
【会場】GRANTOKYO NORTHTOWER 17F (大和証券)
【モデレーター】三重 綾子 (Japan Timesレポーター)
【パネリスト】中村 岳 (レアジョブ COO)、本荘修二 (多摩大学大学院 客員教授)、星 千枝 (ベネッセ デジタル戦略推進部 / デジタルビジネス開発セクション)
【スピーカー】Arnar Jensson (Cooori CEO)、ブランドン・ヒル (btrax, CEO)
【定員】150名 (先着順)
【参加費】無料
【申し込み】事前登録が必要。こちらからご登録ください。
お申し込みはお早めに!
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その他のアメリカ発の代表的なサービス
Academic Earth, Codecademy, Coursera, edX, Khan Academy, Treehouse, Udacity, Udemy, Skillshareはその他のアメリカを代表するオンラインラーニングサイトです。これらについては以前のfreshtrax記事: 知の民主化|海外で話題のアメリカ発オンライン教育サービス15選にてご紹介したものですので、こちらをご参照ください。
Photo by spykster
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