パートタイム労働者が賃上げの動きで先行している。厚生労働省が4日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、基本給にあたる所定内給与は1年10カ月ぶりに前年同月を上回った。パート労働者の伸びが主因で、正社員の賃上げの動きは鈍い。持続的な景気回復に向けて、今回の春闘でどこまでベースアップ(ベア)が広がるかが焦点になる。
1月の全体の所定内給与は前年同月比0.1%増の23万9156円。なかでもパート労働者は8万8615円と1.1%増えた。比べられる1993年以降では1月としては最も高い水準となった。パートの時給は足元の労働需給を敏感に映しやすく、建設業や製造業、飲食業といった人手不足の業種で引き上げの動きが目立つ。
一方、正社員などフルタイムで働く一般労働者の基本給は30万2081円で前年同月から横ばいにとどまった。一般労働者の数は1.2%増えたものの、労働者全体に占めるパート比率は29.43%と高止まりしたまま。パート労働者を囲い込む動きは進んでいるが、正社員に転換したり、正社員の給与を底上げしたりする動きは乏しい。
安倍晋三政権が掲げるのは「経済の好循環」。円安と株高で生まれた企業収益を、賃金や投資を回し、それが新たな消費や投資を生み出すシナリオを描く。焦点の一つは正社員のベアだ。
経団連は今春の労使交渉で6年ぶりにベアを容認する方針を打ち出し、一部の大企業は労働組合の要求に応じる方針だ。日本商工会議所の三村明夫会頭も3日の記者会見で、「最近、月を追うごとに中小企業も賃上げに前向きになっていると実感している」と語った。
財務面で見ると、企業には賃上げの余力がある。財務省の法人企業統計によると、13年10~12月期の全産業(金融・保険業を除く)ベースの経常利益は16兆1908億円と、6年前の07年10~12月期より13%多い。
ただ、13年10~12月期の売上高を6年前と比較すると15%の減収。企業はコスト削減で利益を生み出しているのが現状だ。国内で売上高も伸びる環境にならなければ、企業が固定費の増加につながる賃上げに慎重な姿勢を崩さない恐れもある。
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