ウクライナ:プーチン大統領 クリミア制圧認める
毎日新聞 2014年03月04日 23時43分(最終更新 03月05日 01時22分)
【モスクワ田中洋之】ロシアのプーチン大統領は4日、モスクワ郊外で記者会見し、ウクライナ南部クリミア半島について「軍の投入が必要な緊張状態は消えた」と述べ、ロシアによる制圧が事実上完了したとの見方を示した。一方で「(軍事介入の)可能性はある」として、情勢次第で本格的な派兵に踏み切る考えも強調した。大統領が2月末のウクライナ政変後に会見するのは初めて。
大統領は、クリミアに展開している部隊は「地元の自警団で、ロシア軍は関与していない」と主張。クリミア自治共和国のロシア連邦編入については「考えていない」とする一方、クリミアの将来は「安全かつ自由な意思表示のできる条件下で、住民自身が決定できる」と述べた。
6月にロシア南部ソチで開く主要8カ国(G8)首脳会議については「準備を進めているが、(他国首脳が)来たくないなら(参加は)必要ない」と述べ、ボイコットの動きに強気の姿勢を示した。欧米が検討している対ロシア制裁に関しては「グローバルな世界では(制裁による)損害は相互的なものとなる。ロシアへの脅しは非生産的で有害だ」とけん制した。
ウクライナの政変については「暴力による政権奪取で、憲法に反するクーデターだ」との見解を主張。情勢正常化のためには「国民投票を通じて新たな憲法を採択しなければならない」と述べた。
ロシア大統領府によると、プーチン氏は4日、中国の習近平国家主席と電話でウクライナ情勢について協議し「近い見解」を持っていることを確認したという。
ロイター通信によると、ロシア海軍艦艇が4日、ロシア南部とクリミア半島の境界にあるケルチ海峡を封鎖した。ウクライナ国境警備隊の話として報じた。
クリミア半島の状況について、自治共和国は3日までの時点で5000人規模のウクライナ兵が投降したと説明する。半島で戦闘は起きていない模様だが、AP通信はウクライナの軍施設を包囲したロシア軍とみられる部隊が、威嚇射撃をしていると報じるなど、衝突の危険性は残っている。