■舞台「東京物語」を脚本・演出した映画監督、山田洋次さんの話

 名優笠智衆が、最後に出演した映画は、ぼくの寅さんシリーズだった。そして、昨年7月の新派南座公演の「東京物語」で、笠智衆さんが映画『東京物語』で演じた同じ役を、名優安井昌二は病み上がりとは思えない凄(すさ)まじい気迫で演じきった。それが安井昌二さんの最後の舞台になってしまったことを演出家のぼくは今誇りにしたいと思う。

 安井さん、あなたはよくやった。ありがとう。

 ■劇団新派の俳優・波乃久里子さんの話

 すごく、すごく残念でなりません。思い出が多すぎて、今は一言では安井さんを語ることができません。私たちは安井さんのことを「お父さん」と呼ばせていただいていました。「お父さん、天国に行ったらいつまでも新派を見守ってくださいね。本当にお疲れ様でした」

 ■俳優・水谷八重子さんの話

 新派という劇団にとって、大きな大きな損失です。母(初代水谷八重子)がまたひとつ遠くなりました。母は自分の相手役に菅原謙次さん、安井昌二さんのお2人を新派に迎えましたので、私も(波乃)久里子さんもお2人のことを「お父さん」と呼んでいました。このたびはとても心細い思いです。お父さんに怒られないように、新派はさらにがんばっていきたいです。

この記事に関するニュース
  • レコメンドシステムによる自動選択