【3月4日 AFP】オーストラリアでは温室効果ガスによる気温上昇が続き、ますます猛暑日が増え、山火事の季節も長期化すると警告する研究報告書が4日、公表された。
豪連邦科学産業研究機構(Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation、CSIRO)と同国気象局の共同研究報告によると、オーストラリア全体の気温は100年前と比較して約1度上昇している。
同国観測史上、最も暑かった年に数えられる上位10年のうち7年が、1998年以降の年だ。さらに直近の15年で、猛暑を記録した月は5倍に増えているという。
報告書が指摘した現象は、同国で観測が始まった1910年以降で最も暑い年となった昨年、明確に反映された。
同国最高の科学研究機関であるCSIROのミーガン・クラーク(Megan Clark)所長は、温暖化傾向はオーストラリア全ての州と地域で年間を通じて起きていると警告する。「オーストラリアは世界でも最も気候が多様な国の一つだ。それを踏まえても、わが国の気温や海水温はこの数十年上がり続け、降雨の時期や場所が変化し、海面はますます上昇している」。クラーク氏によると、海水温は1900年から0.9度上昇しており、温室効果ガス濃度も上がり続けている。
またオーストラリアでは毎年、夏季にあたる12~2月に強風が重なり山火事が発生する。今年も数百件の山火事が発生し、住宅が延焼する被害も出ているが、山火事が起きる条件が重なる日はさらに増え、時期的にも長期化すると報告書は予測している。豪南部では降雨量が減り、干ばつが深刻化して農業がこうむる被害も拡大すると警告している。
一方、熱帯性低気圧は、発生回数は減少が見込まれるが激しさを増し、また海水面の上昇は沿岸地域の住民にさらに問題をもたらす恐れがあるという。
報告は、ある程度の温暖化やそれに伴う変化は避けられず、変化する気候への適応が求められると述べている。
CSIROと豪気象局の共同研究報告は、隔年で発表されている。(c)AFP/Martin PARRY