「サービスは、データと分析だけではない」株式会社DeNAアプリゼミ総合プロデューサー 床鍋氏 【EdTech Night!講演レポート】

公開日: : EVENT, まとめ・REPORT ,


2014年2月20日に行われたイベント「EdTech Night!」の、講演レポートの第3弾です。第3弾は、株式会社DeNA エンターテインメント事業本部 アプリゼミ総合プロデューサー 床鍋 佳枝氏の講演をレポートします。

株式会社DeNA エンターテインメント事業本部 アプリゼミ総合プロデューサー 床鍋 佳枝氏

OLYMPUS DIGITAL CAMERADeNAは、2013年12月に教育業界にアプリゼミで参入した。4月から小学1年生への展開を目指して、開発中なので、テスト中でのデータや分析について紹介したい。 アプリとしては、ひらがなの書き順やゲーム感覚の数学ドリルなどがある。楽しく学べるアプリゼミとして、家庭での学習に使えるものを想定している。

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保護者の教材に対するニーズの強いものは

  • 子どもが楽しんで学習野取り組む
  • 自ら学習に取り組める
  • 本質的な理解が得られる 

であった。

上の2点については、DeNAのこれまでのノウハウをいかせる。3点目はNHKエデュケーショナルなど外部の専門家に協力してもらっている。

DeNAの開発について

OLYMPUS DIGITAL CAMERADeNAについて、少し紹介したい。全サービスの会員数は合計5000万人以上。EC4000店舗、ゲーム1000タイトル以上を支える24時間365日のサポート体制、それらを支えるインフラをもっている。

DeNAでの開発はSCRUMで行っている。SCRUMは、開発の時間(2週間)とコスト(人数)を固定(スプリント)してPDCAサイクルを高速化し、複数走らせ、組合せる、といった開発手法だ。開発、企画、デザイナー、分析担当などでチームを組むが、必ずしも役割は固定ではない。

エンジニアが企画したりデザインをすることもある。SCRUMはもともとITの現場であった考えではなく、モノづくりの現場で、開発現場で考える、利用者目線で開発するという現場で生まれたもの。(例:HONDAのバイク作りの現場で地面に這いつくばりながらリアルタイムに改善していく)

これを、チームで考えながら、随時変更しながら、ということをプログラムの開発にも応用したもの。 

データ分析について

2つ、高速反復テスト評価法と、光トポグラフィを紹介したい。

■高速反復テスト評価法

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ユーザテストはニールセンのディスカウントユーザビリティの考え方が一般的だ。被験者数と発見できるエラーの数が定式化されている。これによると、5人のテストだと84.4%のエラーを発見できる。15人を1回よりも、5人を3回やるほうがよほど良い。現場では、「ユーザテストは最低5人でいいよね」という感じで使っている。

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA高速反復テスト評価法は、1人のユーザテストをベースに、すぐに修正を行ってしまう、というもの。2人目のときには、更にユーザに先まで進んでもらったたテストができる。これは、もともとはマイクロソフトゲーム部門が提唱したもの。本当にUIの問題なのか、被験者の問題なのかは切りわけが必要だが、そこが問題になる(判断に迷う)ことはあまりなかった。

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テストの例としては、毎週ユーザテストを行うのだが、

1日のうちに

・10時 1人目  テスト中にも裏で速攻直し、

 合間に修正

・13時 2人目  一人目よりもすすんだテスト(テスト中も手直し)

 合間に修正

・15時 3人目

翌週までかけないと開発できないものを皆であぶり出す。 という実施の仕方。この効果は大きい。テストでボツになるアイデアは多い。また想定外も多い。どんどんアイデアを捨てながら進めることができる。

光トポグラフィ

OLYMPUS DIGITAL CAMERAアプリゼミは、ブレインサイエンスマーク(日立がBrain Science審査会で審査し、脳科学が適切に活用された証として付与されるもの)を取得している。これまで知育の分野で取得されている例が多い。

日立のウェアラブル光トポグラフィは、脳の活動が活発化した部位を測定するもの。活性化した部位は、酸素と糖分が必要になるので、活動が増えると酸素を運ぶ血液量が増加、吸収量が増加といった変化が起こる。これを測定していく。電気信号を計測するものは、昔からあるのだが、まばたきなども信号として計測してしまうので、それらを除外ししなければいけない。

まばたきでもそういうものなので、子どもの場合はじっとして計測することは難しく、光トポグラフィを活用した。機械はヘアバンドのようなものをかぶるだけ。装着感はあるが、帽子のような非常に軽い物。

実験としては、

①アプリの中でご褒美スタンプのありなしによる効果

②文章を聞く際に、抑揚の有無によって、記憶再現にどのように影響するか

を調べた。 

結果は、

①ご褒美がありながらひらがなのなぞり書きでは、ご褒美があるほうが、動機付けに効果があった。

ご褒美というのは、課題前後の呼びかけや視覚的報酬である。これが動機付けに有効で学習を促進することがわかった。

文章を聞いて答える課題は、読み上げ機に抑揚があるもののほうが、スコアが高い傾向が見られた。

結果は、出てみれば「ご褒美はあるほうがいいよね」「文章聞く時、抑揚はあった方がいいよね」、という当たり前のことではあるが、きちんと確認したことで、今後要所要所に活用できると考えている。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA実際に、アプリゼミでは、今までの教材の量では足りないような効果がでている。つまり、同じ時間でも軽く今までの2倍程度のものをこなしてしまっている。また、できないと再度やり直す。結果画面の星が少ないと、満点にしたい!という気持ちが働く。この中で、即時フィードバックとインタラクションの工夫が大事だと感じている。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA「サービスはデータと分析だけではない」 という思いは大事にこれからも開発していきたいと考えている。

ソーシャルゲームで培ったデータ分析のノウハウの一端を知ることが出来る、面白い講演でした。ただ、そこに強みを持つ、DeNAでもデータや分析も重要だが、サービスに対する想いが重要であることを最後に強調されていたのは、非常に印象的でした。

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