神社の境内で見掛ける1対の狛犬(こまいぬ)…
神社の境内で見掛ける1対の狛犬(こまいぬ)。インドで仏像の守護として両脇に置かれたライオン(獅子)像が起源で、仏教とともに日本に伝わったとされる
▼厳密に言えば、1対のうち頭に角があって口を閉じている方が狛犬、角がなく口を開いている方は獅子なのだそうだ。九州国立博物館(福岡県太宰府市)で開催中の「国宝 大神社展」の展示で知った
▼開いた口は吐く息の「阿(あ)」、閉じた口は吸う息の「吽(うん)」を表す。獅子と狛犬は神社を守るために息を合わせて連携プレーをする。いわゆる「阿吽(あうん)の呼吸」である
▼足並みをそろえて北東アジアの安全保障と経済発展を担うべき日韓両国は、阿吽の呼吸どころか、そっぽを向いたままだ。どちらも角のある狛犬のように歴史認識などでぎすぎすと角突き合わせている
▼玄界灘に浮かぶ沖ノ島(同県宗像市)で発見された国宝「金製指環(ゆびわ)」を同展で見た。精巧な花弁の細工は6~7世紀に朝鮮半島で作られたものという。海を挟んで古代から連綿と続く交流の証しだ。その時々で近づいたり遠ざかったりはしても、一衣帯水の間柄は変わらない
▼会場では多くの「神像」が目を引く。もともと日本の神々に姿はなかった。仏像の影響を受けて神を表す像が生まれ、後に仏と融合した僧形(そうぎょう)神像も現れた。異質な文化と上手に折り合う知恵と寛容さを日本人は昔から持っているはずだ。神像の切れ長の目にあらためて思う。
=2014/03/04付 西日本新聞朝刊=