第55話 黒エルフ、シア
追加:TSものではありません。
引っ越しパーティーから数日。
朝、オレはベッドから1人抜けだし、台所へ立つ。
パンツ、シャツ1枚ずつでスリッパをひっかけて、湯を沸かす。
昨日、買っておいたパンをスライスし、バターを塗る。レタスっぽい野菜とハムを挟んで切れば簡単サンドイッチの出来上がり。
残った野菜でサラダを作る。
お湯が沸いたら、竜人大陸名物の茶色い烏龍茶っぽい茶々を淹れて寝室に運んでやろう。
いつもはスノー&クリスが朝食を作ってくれるが、昨日も自分が頑張り過ぎて彼女達は疲れているのか未だ夢の中。
夫としては妻達の体を気遣い、朝食ぐらい作るのは当然の義務だ。
一軒家に引っ越して初めての夜を迎えて以降のスケジュールはというと……。
午前中はメイヤの工房で防具、小物などの開発。
午後はスノー&クリスと合流して食料の買い出しやウィンドウショッピング。
そして夜になると、オレは2人を抱えて布団へ真っ直ぐレッツゴー!
これが基本的な1日だ。
避妊に関しては女性側が専用の魔法薬を飲む。それで避妊出来るなんてさすが異世界。
たまにスノー&クリスに送る結婚腕輪のため、午前中メイヤの許可を取り2人に内緒でクエストを受け資金を稼いだりしている。
無事、2人と念願の初めてを迎えることが出来たが……残念なことにこちらの世界にコスプレ衣装も、ローションなども売っていないし、存在しないのだ。
2人にセーラー服やブルマ、軍服とか着せたい!
迷彩ガラのビキニを着せて、AK47とか持たせたい! 上官&下士官プレイとか! チャイナ服があるから一度着せたが大興奮だった。
あと、3人一緒にお風呂に入ってイチャイチャしたい。
「家に風呂がないからな。さすがにあの手洗の中でやる訳にもいかないし。メイヤの家の風呂場を借りれば出来るが――いや無いな」
弟子とはいえ、知り合いのお風呂でローション遊びするとか気まず過ぎるだろ。
それに根本的な問題としてローションが無い。
「――いや、まてよ。火薬が作れるんだからローションも作れるんじゃないか!?」
天才的閃き!
自身の灰色の脳細胞が恐ろしくなるほどの閃きが降って湧く!
オレは早速、頭の中で実験に取り掛かる。
まずはローションをイメージする。
水分が多いため、魔力の扱い方は水系の魔法を使う時に近い。
息を吸い吐いて意識を集中する。
体の内側に眠る魔力を一部切り離し、手のひらに移動させ具現化させる。
「おぉ! ローションになった!?」
無色透明のぬるぬるとした液体。
両手で擦り合わせる。
ぬるぬるとした液体が手のひらを離すと糸ができる。
完璧だ! 完璧なローションを今、オレは手にすることができたんだ!
魔力凄い! 魔力バンザイ! ハラショー!
これは革命的事件だ。
スノーかメイヤに頼んで大量に作り出すことに成功すれば、前世ではDVDでしか見たことがないローション遊びが出来るようになる!
おお! 夢が広がる!
オレが新しい可能性に胸をわくわくさせていると、2階から階段を下りてくる足音が聞こえてくる。
どうやら2人とも起きたらしい。
オレは手のひらを洗う。
ちょうど湧いたお湯で3人分の茶々を淹れた。
朝食は寝室から、リビングへと運ぶ場所を変更する。
まだ眠そうなスノー&クリスに、オレは高原の草原より爽やかな笑顔で朝の挨拶をした。
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「あのね、さすがにそろそろ真面目に働こうと思うの」
3人でリビングにある椅子に座りながら、オレ特製の朝食を摂っているとスノーが提案してくる。
確かにいくら資金に余裕があるからと言っても、このままでは駄目人間になってしまう。
「そうだな。スノーの言う通りそろそろちゃんと働かないとな」
『そうですね。改めてレベルⅢを目指しましょう』
クリスが気合いを入れた表情で同意した。
「レベルⅢか……」
オレは顎に指をあて思案する。
レベルⅡまでは街周辺の魔物を退治すれば上がるが、レベルⅢからはそうはいかない。
レベルⅢの基本的クエストは遠出して別の街で品物の受け取りや高レベルの魔物退治、荷馬車の護衛など遠征が基本になる。
冒険者としての専門知識が求められるのだ。
またここから預け金が発生する。
仕事だけ受注して参加しないのを防ぐための制度だ。預け金はもちろんクエスト後は返金される。
だからこそオレは躊躇してしまう。
やったことの無いクエストには、トラブルがつきものだ。
約4年前、オレは冒険者としての基礎知識が不足して偽冒険者に騙され、奴隷として魔人大陸に売り飛ばされた。
結果としてはクリスという嫁を娶ることが出来たらよかったものの、心に刻まれたトラウマは早々拭えない。
荷馬車の護衛任務などは一見簡単そうに見えるが、夜中に大人数に突如襲われてパニックに陥ったら何が起こるか分からない。自分だけならまだしも、嫁2人を守り切らないといけないのだ、闇雲に銃を乱射するわけにはいかない。
オレが最近日々怠惰に生活していたのも、その辺の迷いがあったせいかもしれないな。
「だったら奴隷を買えばいいのですわ!」
「うわぁ!? め、メイヤ! いつのまに!」
いつの間にかリビング入り口にメイヤ・ドラグーンが立っていた。
いつものドラゴン・ドレス姿で、手には扇を持っている。
「玄関をノックしたのですが、反応がなかったので勝手に上がらせて頂きましたわ!」
「勝手にって……鍵はどうした?」
「自分はリュート様に次ぐ天才魔術道具開発者ですから。この程度の鍵を開けるなど造作もありませんわ。えっへんですわ!」
えっへんじゃねぇよ!
メイヤは自慢げに大きな胸を張る。
だが、彼女の話はアリだ。
たとえ冒険者斡旋組合の紹介でも、他人である冒険者は信用出来ない。
ならいっそ、裏切る心配が無い奴隷を買うのも1つの手だ。
幸い資金には余裕がある。
最悪、メイヤに借りればいい。
「……試しに覗いて見るのもありか?」
「まぁ見るだけならタダだしね」
『それにもしかしたらお兄ちゃんみたいに掘り出し人が居るかもしれませんし』
妻達の了承を取り、奴隷を買うかは別として見てみることになった。
「それでは今日は、奴隷市場に行きましょう!」
メイヤは自身の提案を受け入れられたのが嬉しかったのか、ハイテンションで腕を突き上げる。
今日は防具や小物開発はお休み。
折角だから奴隷を見終わった後、買い物をして夕飯にメイヤを誘ってやるか。
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この街で奴隷が売っている場所は1つしかない。
奴隷商人が王国から許可を取り、複数が共同で運営する『奴隷市場ブルーテス』だ。
『奴隷市場ブルーテス』は警備の観点から、冒険者斡旋組合の裏手に建っていた。
何か問題が起きた時、すぐ対応出来るようにするためらしい。
何度も冒険者斡旋組合に通っていたが、メイヤ以外のオレ達は建物の場所を知らなかった。
冒険者斡旋組合の裏手に行く用事が無かったため、気付かなかったのだろう。
『奴隷市場ブルーテス』は1階が檻に入った見本市。だが、1階に出入り口は無い。
奴隷の逃亡防止のためだ。
オレが昔奴隷として『ラーノ奴隷館』地下に押し込められていたのと同じ理屈だ。
『奴隷市場ブルーテス』の場合は、複数の奴隷商人が奴隷を持ち寄り運営している。
新規の商人が参入する場合、厳しい審査があり合格すれば場所代を払い一定期間そこに奴隷を置くシステムらしい。
このシステムにより商人同士が競うようになり、扱う奴隷の質は高くなり、種族も豊富、騙して売り抜こうとする商人も居なくなった。
オレが奴隷として連れて行かれた魔人大陸では、炭鉱、金、銀、銅、魔石などを掘る炭鉱夫系奴隷が求められていた。
もちろんここ竜人大陸でも炭鉱夫系奴隷の需要はある。ただ、この街で需要があるのは肉体労働者タイプだけではない。様々なタイプの需要がある。
複数の商人が奴隷を持ち寄って販売した方が品質や種族が多用化するため、このような方式が採用されているのだろう。
2階が受け付け室になる。
階段を上がり中に入ると、冒険者斡旋組合と同じようなカウンター業務が行われていた。
メイヤが説明する。
ここはやはり誰でも来て良い場所では無いらしい。
一応の年齢制限もある。
成人とされる15歳以上だ。
オレ達は14&13歳と本来は入れないが、メイヤ(保護者)がいるため問題無いらしい。
どうやら2階の受付で求める奴隷を提示し、そして条件に合う番号をリストアップしてもらう。
その後、2階の室内から1階に通じる階段を下りる。
檻に番号が振られているため、そこへ行って実際に確認し、檻の前に立つ説明役との交渉をする。基本奴隷は薄着又は裸だったりするため、見せ物にさせない配慮、冷やかしの排除のためだ。
奴隷達の衣服が薄着なのは、いちいち品定めのため脱がせるのは面倒なのと、着せたり脱がしたりで体調を崩されたら商品価値に傷が入るためらしい。
そのため1階は魔術で温度も高めに保たれている。
1階が壁で囲われているのは、奴隷の逃亡阻止だけでは無く温度を下げないためという理由もあったのだ。
受付嬢がメイヤに気付くと、すぐに立ち上がり駆け寄ってくる。
そして何も言っていないのに受付の奥――応接間に通された。
完全なVIP待遇……。
どうやらメイヤクラスになると、彼女が奴隷の元へ行くのではなく条件を出して奴隷をこの場に連れてくるらしい。
さすが竜人大陸だけではなく、世界中に名前を知られている魔石姫だけある。
10分もしないうちに『奴隷市場ブルーテス』の責任者である男が姿を現す。
奴隷商人を相手に言うのもアレだが、人の良さそうな顔をしている。腹は出っ張り、見た目は大黒っぽい。
「ようこそいらっしゃいました、メイヤ様。『奴隷市場ブルーテス』の責任者代表を務めさせて頂いております、エノスと申します。お見知りおきを」
「初めましてエノスさん」
メイヤとエノスは握手を交わす。
その後、オレ達も彼と握手を交わした。
メイヤが上座に座り、オレ達3人はエノスと対面するようにソファーへ腰を下ろす。
「それでメイヤ様、今日はどういった奴隷をご希望で?」
「今日はわたくしではなく、師のリュート様が奴隷を見に来たんですわ。わたくしはその付き添いですわね」
「ほう、この方が噂のメイヤ様の師匠ですか!」
メイヤの紹介に、エノスは目を丸くしてオレを凝視する。
「メイヤ様の師匠がお相手なら、こちらも気合いを入れてお薦めの奴隷をご紹介しなればなりませんな」
エノスは大きな腹を揺らし笑う。
「それでどういった奴隷をご希望ですか?」
「えっと、冒険者の経験が有り、年は15~20歳、魔術師の有無は不問でお願いします」
「性別はいかがしますかな?」
「女性で! ――――――――――ですがあくまで希望で、条件に合う方が居なければ男性でもいいですよ?」
思わず、口から声が出るがすぐさま補足した。
左右に座るスノー&クリスの態度には変化なし。
それが逆に怖い。
でも、ほら若い男性だと色々気まずいじゃん。
だからオレは女性を選んだわけで……別に他意はありませんよ?
胸中で言い訳をしていると、提示した条件に合う奴隷についてエノスが考え込んでいた。
彼は少し経った後何かを思いついたようで、顔を上げ笑顔で話し出す。
「1人条件の合うのがいます。私が扱っている奴隷なのですが、名前はシア。16歳、冒険者を12歳から初めて約3年で、冒険者レベルⅢに。性別は女性。妖精種族、黒エルフ族。魔術師Bプラス級です」
「魔術師Bプラス級の奴隷なら、金貨500枚ぐらいかしら?」
メイヤが口にした値段に仰天してしまう。
(き、金貨500枚!? 日本円で約5000万ぐらいか? 冗談じゃない。そんな大金持ってないぞ!)
オレは早々に購入を諦めた。
やっぱりオレ達3人だけで頑張って冒険者レベルを上げよう。
いくら何でも高すぎる。
「本来ならその金額で取引させて貰っているのですが……引き取って頂けるのであれば金貨250枚で構いません」
「通常価格の半額ですか? 随分な割引ですね」
オレの皮肉にエノスは苦い笑いを浮かべる。
「もちろんメイヤ様の師匠を騙すつもりはありません。健康状態も良く、性的な経験も無い処女。ちゃんと魔術も扱えます」
おい、なぜ処女を強調する。
いや、ある意味、大事な部分だけどさ。
「ただシアは変わり者で……自分から奴隷になったのです」
「自分からですか?」
「たまにあるんですよ。貧し過ぎて、タダでいいから奴隷にしてくれという輩が。奴隷になれば生殺与奪の権利は奪われますが、明日明後日に飢えて死ぬという状況からは逃れられます。運が良ければ良い主人に買われて一生安泰に暮らせますから。ただ……シアはある条件さえ呑めばタダで奴隷になると言ってきたんです」
その条件とは?
「『自分が認めた主にしか売らない』です。そんな契約の元、私の友人がシアを奴隷にしたのですが、約1年ほど彼女は誰も主と認めず買い手が付かなくて。友人もさすがに呆れて、『自分には扱いきれない』と私に譲り渡して来たのです」
「なるほど……もしそのシアという子が、オレを『主』と認めれば、通常の半額の値段で売るという訳ですね」
「はい、その通りです」
確かにそれは変わり者だ。
いや、変わり者と片付けていいか迷う変人っぷりだな。
「彼女が主と認める条件、資質、基準とかあるんですか?」
エノスが困り顔で首を振る。
「それがさっぱりで、本人曰く『自分が認めた主にしか売らない』の一点張りで。そういう契約をしたからには、それ以外の条件では売れませんし……。ですが、メイヤ様の師匠なら、きっとあのシアも認めると思うのですがどうでしょうか?」
市場価格の半額という激安理由は分かった。
確かにある意味でお買い得奴隷だが、そんな子がオレを主と認めるとは到底思えない。
どうせ無駄だろうし断るか?
「一度会うだけでもどうですか?」
エノスが顔色を伺うように聞いてくる。
彼からしても、売るに売れない維持費だけがかかる不良在庫。『あのメイヤの師匠なら、変わり者のシアでも主と認めるかも?』という僅かな可能性にすがっているのだろう。
上手くすれば、本当にシアがオレを気に入って、元手があまりかかっていないうちに売り抜けられるかもしれない。
正直オレ自身、どんな奴か見てみたいという気はする。
試すだけならタダだし、会うだけならと思わなくはない。
「……分かりました。会うだけ会ってみましょう。但し認められなくても文句は言わないでくださいよ」
「もちろんですとも! それでは少々お待ちを」
エノスは喜々としてソファーから立ち上がると、応接間から出て行く。
約10分少々――彼は守衛の2人に挟まれた少女を連れてくる。
「お待たせしました、これが先程言っていたシアです」
オレは彼女に視線を向ける。
強い意志を感じる瞳。身長はスノーと同じか、若干低いぐらい。目は鋭いが、顔は整っていて可愛いと言えるだろう。
首には魔術防止首輪。手足は頑丈な鎖で拘束され、両脇を守衛が抑えている。あくまで念のための措置だろう。
着ている衣服はボロい上下。おヘソが見えている。胸は普通よりやや大きめ。Dカップぐらいか?
黒髪をセミロングに切っている。エルフの特徴である尖った耳が髪から覗く。
彼女が変わり者の妖精種族、黒エルフ族のシアらしい。
「オマエを買ってくださるというのはこの方達だ。さっ、挨拶を」
いや、まだ買うと決めた訳じゃないんだが……。
シアは鋭い目つきで、オレ達を品定めするように見つめてくる。
これでは立場が反対だ。
「……ボクの名前はシア、よろしくね」
彼女は品定めが終わると、ぶっきらぼうに挨拶してくる。
黒エルフで『ボクっ娘』かよ!?
色々キャラが濃いな。
「まったくどうして、オマエはそう礼儀をしらないんだ」
「ボクはやんごとなき身分の方に仕えていたこともあるんだよ、礼儀を知らない訳じゃないんだ。しないだけさ」
「まったくオマエは……」
エノスが疲れた溜息を漏らす。
改めて彼女にオレ達を紹介した。
「こちらがオマエを買ってくださるリュート様だ。あの魔石姫であるメイヤ様が師と仰ぐお方だ。どうだ、オマエの主に相応しい人だろ?」
(いや、だからまだ買うとは決まっていないって)
その紹介にシアが興味深そうに瞳を細める。
「そうか、君があの『リュート』か」
彼女の反応はまるで前にどこかで知り合ったようなものだった。
だが、オレに彼女と出会った記憶なんてないぞ?
「え、えっと僕達どこからあったことある?」
「どうだったかな……」
含み笑いを浮かべるシア。
オレが必死に彼女のことを思い出そうとすると、彼女は想像を絶する爆弾を投下してくる。
「『タナカコウジ』――聞き覚えはないかい?」
タカナコウジ――田中孝治!?
自殺、見殺し、イジメ、DQN、刺殺、首吊り――遠い過去になりかけていたトラウマが黒い津波となってオレの魂を塗りつぶす。
「うわあぁあっぁぁぁぁぁぁぁっぁあああぁぁぁぁあぁぁぁっぁぁッッ!!!」
絶叫が応接間に響き渡る。
オレの意識はそこで途絶えた。
それは、かつてオレが見捨てた、オレが前世で引き籠もり、死ぬ原因の一端となった友人の名前だった。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
明日、1月10日、21時更新予定です。
活動報告を書きました。
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