NTTグループの光回線サービス「フレッツ光」の2013年度の契約純増数は目標を3割下回る70万件にとどまる見込みとなった。来年度は最初から目標を70万件と横ばいに置く。携帯電話とのセット割引を武器に攻勢をかけているKDDI(au)などとの競争激化に加え、携帯電話の高速ネット接続サービス「LTE」の普及もあり苦戦が鮮明になっている。
NTT東西地域会社が28日、14年度の事業計画の認可を総務省に申請。フレッツ光の今年度の契約純増数が、目標の100万件に対して大幅な未達になると明らかにした。NTT東日本が計画比10万件少ない40万件、NTT西日本は20万件少ない30万件にとどまる。
純増数は新規契約数から解約数を差し引いたもので、契約全体の増減を示す。同日記者会見したNTT東日本の中川裕副社長は「光回線の一般消費者市場はかなり成熟しつつある。純増数の上積みは難しい」と語った。
14年度はNTT東日本が前年度見込み比10万件少ない30万件、NTT西日本は10万件多い40万件と、両社合わせて今年度並みの確保をめざす。認可申請に伴って両社合計で100万件を下回る目標を示したのは初めて。
伸び悩みの一因は他の光回線事業者やCATV会社との競争激化だ。KDDIはスマートフォン(スマホ)とのセット割引「スマートバリュー」で、スマホの利用料から1回線当たり毎月1480円を割り引くサービスを提供し、NTT東西から顧客を奪っている。関西電力傘下の通信会社、ケイ・オプティコムの割引キャンペーン攻勢などにも押された。
LTEの普及も逆風だ。従来のパソコンに代え、LTEに対応したスマホやタブレット(多機能携帯端末)でネットにつながる人が増加。単身世帯などでは固定ブロードバンドが必須ではない状況が生まれている。
NTTグループは中堅・中小を中心に法人需要を掘り起こす考えだ。無料の公衆無線LAN(構内情報通信網)を提供して観光客を呼び込みたい観光施設や商店街などに光回線を提供していく。
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