2014年3月3日12時13分
抑留資料 推薦書固まる
◇舞鶴の有識者会議◇
第2次大戦後にシベリアなどから引き揚げた抑留者らの関連資料の世界記憶遺産登録に向けた、舞鶴市の有識者会議(会長、黒沢文貴・東京女子大教授)の最終会合が2日、市役所であった。ユネスコ(国連教育科学文化機関)に提出する「推薦書」の内容がほぼ固まり、市は4日にもユネスコへ送付する模様だ。
推薦書案によると、日本語のタイトルは「舞鶴への生還 1945~56 シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録」。だが、英訳では「シベリア」を外し、「舞鶴港への帰還 日本人の抑留と引き揚げ体験の関係記録(1945~56)」とした。諸外国の受け止め方などに配慮したとみられる。
登録を目指す資料は、舞鶴引揚記念館に保存されている。シベリアでシラカバの樹皮に煤(すす)で書いた「白樺日誌」をはじめ、抑留者らが出したはがき、抑留体験を描いた絵画など570点。はがきのうち、「岸壁の母」で知られる端野いせさんの関連は6枚ある。
会議の冒頭、多々見良三市長は「4、5月には国内選考もあると聞いている。来年の戦後70周年を記念して登録が実現できるよう全力を尽くしたい」とあいさつ。黒沢会長は終了後、報道陣に「資料は希少性など価値のあるものに絞り込み、自信をもって申請できるようになった」と述べ、推薦書の内容については「外国人にシベリアなどへの抑留を理解してもらえる切り口にした。抑留者だけでなく、帰国を待つ家族らと両方の物語であることも強調した」と話した。