長崎県西海市でストーカー被害を訴えていた女性の母と祖母が殺害された事件で、殺人などの罪に問われ一審で死刑判決を受けた筒井郷太被告(29)の控訴審の第1回公判が3日、福岡高裁であった。筒井被告は「僕は犯人ではない」と述べ、改めて無罪を訴えた。検察は控訴棄却を求めた。

 被告人質問で筒井被告は、自白調書に任意性がないことや殺人事件当日にアリバイがあったことなどを再び主張。責任能力については争わなかった。弁護側は、当時の捜査官らの証人尋問を申請したが、古田浩裁判長は却下した。

 昨年6月の一審・長崎地裁判決(裁判員裁判)によると、筒井被告は千葉県内で同居していた女性が家族に連れ戻されたと思い、2011年12月16日、女性の実家で母山下美都子さん(当時56)と祖母久江さん(同77)を出刃包丁で複数回刺して殺害した。