(2014年3月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ウクライナでは、預金を引き出そうとする人が銀行に殺到し、中央銀行が1日の引き出し額に上限を設けている〔AFPBB News〕
ウクライナの銀行を売却するには、今はとても最善のタイミングではない。だが、ウクライナを襲う政治的、経済的危機をよそに、ライファイゼン・バンク・インターナショナルがやろうとしているのは、まさにこれだ。
資産規模でオーストリア第3位の大手銀行であるライファイゼンは本紙(英フィナンシャル・タイムズ紙)に対し、ウクライナ国内に818の支店を構え、310万の顧客を持つ子会社バンク・アヴァルについて、3~4社の金融機関がまだデューデリジェンス(資産査定)を実施していると述べた。
ライファイゼンはウクライナで4番目に大きい銀行だ。45億ユーロに上る資産は、やはりウクライナ国内で大規模な事業を展開するロシアの大手銀行、ズベルバンクとVTBの資産規模をも上回る。
ウクライナの銀行で取り付け騒ぎが起きることを懸念し、アナリストらは競うように、危機がさらに悪化した場合に外国銀行が被り得る潜在的な損失額を計算している。
ウクライナへのエクスポージャーが大きいロシアの銀行
「はっきりしているのは、銀行への影響は複雑だが、言うまでもなくネガティブだということだ」。モスクワ駐在のあるアナリストはこう語る。「不良債権の大幅な増加が銀行にとっての最大のリスクだ」
ウクライナへの懸念もあって、VTBの株価は年初から24%、ズベルバンク株は19%下落している。「市場が本当に恐れているのは、ウクライナでの危機の激化がロシア経済に与えかねない影響だ。ロシアでは、資金需要が落ち込み、引き当て費用が増加する恐れがある」と上記のアナリストは説明している。
VTBとズベルバンクはウクライナ子会社に合計70億ドルの資産を所有している。だが、先のアナリストによると、両行の株主資本は資産総額の10%程度にすぎず、現地子会社を清算することでウクライナへのエクスポージャー(投融資残高)の7億ドル前後に抑えられるという。
ズベルバンクの最高経営責任者(CEO)、ヘルマン・グレフ氏は2月に、同行のATMに預金者が殺到した後、新規顧客に対する貸し付けを中止したと述べつつ、同行は財務状況が健全な大手企業には融資を継続すると語った。VTBは先週、ズベルバンクに追随し、ウクライナでの新規貸し付けを停止した。
VTBとズベルバンクはともにロシア政府が株式の過半数を所有しており、アナリストらは、両行がウクライナにとどまるか撤収するかの決定はロシア政府の戦略的な計算に影響される可能性が高いと見ている。