昨年までのグランパスと明らかに違っていたのは、守備から攻撃に転じた時の速さだった。速攻を仕掛けたときに4、5人の選手がゴール前に絡む場面が目立った。昨年までは速攻でも1人、2人しかついていけず、ビッグチャンスが生まれなかった。
先発平均年齢は3歳ほど若返った。動ける選手が増えたということだろう。田鍋、本多の新しい両サイドバックにも可能性を感じた。ボールを受けて前に仕掛ける姿勢がいい。守備側から見れば、常に前に出てこられると、脅威を感じるものだ。
躍動感のある試合で2−1とリードしながら逆転されたのは、3点目を取れなかったことだ。経験の浅い選手が多く2−1のまま試合をコントロールするのは難しいだけに、2点差に突き放して試合を決めてしまうことが大事だった。守備の最終ラインは闘莉王以外、実質的に新戦力だけに、経験を積まないと安定感が出てこない。特に、大武、田鍋、枝村のいる右サイドは時間がかかるかもしれない。
伸びしろが期待できるだけに、ブレずに継続して取り組むためには、やはり勝ち点を積み重ねることが必要になるだろう。 (愛知東邦大監督、元グランパスDF・藤川久孝)
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