前半、ヘディングでシュートを決める名古屋・闘莉王(奥)(畦地巧輝撮影)
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DF闘莉王は天国の“母”へ贈るゴールを決めた。前半36分、清水GK櫛引の頭をフワリと越えるヘディングシュートで、一時は逆転に成功した。「キーパーの位置がしっかり見えていた」と語る技あり弾だ。
直後に空へ向かって祈りをささげた。脳裏に浮かんだのは2月10日に62歳で亡くなった広島のスタッフ・沢山文枝さん。闘莉王がプロ入りした2001年から2年間の広島在籍時に、母のように慕った存在だ。
闘莉王は「人間として正しいあり方を教えてもらった。あの人を越えるような人はいない」。日本国籍取得の際は何日も付きっきりで書類作成を手伝ってくれたという。「あの人がボクを日本人に変えてくれたんです」としみじみと語った。
試合に敗れたが、新主将としての存在感は見せつけた。「今年は貪欲にいくよ」ときっぱり。亡き沢山さんの恩に報いるためにも、闘莉王は全力プレーを続ける。 (木村尚公)
◆玉田、同点弾お膳立て
FW玉田はさすがのテクニックでアシストを決めた。前半20分、ペナルティーエリア内で相手DFを背負いながら背後へ浮き球のパス。今季チーム初得点となるケネディの同点ゴールをお膳立てした。「あの位置でボールをもらえれば、自分は何でもできる」と自信を見せた。
◆田鍋、右サイド手応え
3年目の田鍋は新ポジションの右サイドバックで奮闘。持ち味のスピードで再三突破を図るなど、見せ場をつくった。「守りは思ったよりやれた。もっともっと攻撃で仕掛ける場面を増やしていかないと」と振り返った。試合には16年リオ五輪を目指すU−21(21歳以下)日本代表の手倉森監督が視察に訪れていた。田鍋は「まずはチームが勝たないと。それが自然と代表へのアピールにつながる」。一戦一戦に集中する。
◆大武、ほろ苦デビュー
特別指定選手として史上初の開幕スタメンを飾ったDF大武(福岡大)は「ヘディングやビルドアップの部分では収穫があった」と一定の手応えを口にしたが、一方で3失点には反省しきり。
ノバコビッチに決勝の3点目を決められたシーンを振り返り「あそこは自分がマークしなければならなかった」。ほろ苦いデビュー戦を糧に、今後のレベルアップを誓った。
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