【ワシントン、モスクワ、ベルリン=共同】米政府高官は2日、ロシアがウクライナ南部クリミア半島に6千人以上のロシア軍部隊を展開し「既に実効支配している」との認識を示した。記者団に語った。日米欧の先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)は同日、ロシアがウクライナの主権や領土の一体性を「明確に侵した」と非難する声明を発表、6月にロシア南部ソチで予定される主要国(G8)首脳会議の準備会合への参加を当面見合わせると表明した。
クリミアでの実効支配を固めつつあるロシアに対し、欧米は非難を強めている。G8首脳会議ボイコットの可能性も示唆することでロシアをけん制、経済制裁と併せて圧力の切り札とする狙い。日本を含む7カ国がどこまで歩調を合わせられるかが鍵となる。
ロシアのプーチン大統領は2日、ドイツのメルケル首相との電話会談で、現地の「過激民族主義勢力」によるロシア系住民を脅かす動きを注視していると指摘。クリミア情勢に関して「ロシアが取っている行動は完全に適切だ」と正当化した。
G7とEUの声明は、ロシアの行動は「G8の理念と矛盾する」として、ソチでの首脳会議の準備会合を「意味のある協議ができる環境が戻るまで」延期するとした。
ドイツ政府によると、メルケル氏はプーチン氏との会談で、クリミア半島でのロシア軍投入は国際法違反に当たると非難。また、ウクライナ情勢をめぐる多国間政治対話のための「連絡調整グループ」設置を提案し、プーチン氏は受け入れた。開始時期など詳細は明らかにされていない。
ドイツのシュタインマイヤー外相は2日のテレビ番組で「G8は西側がロシアと直接話せる唯一の枠組みだ」と指摘、G8からのロシア除外には疑問を呈した。
ケリー米国務長官は2日、ロシアに経済制裁を科す用意があると表明した上で、G8からの除外を警告した。長官は4日にウクライナを訪問、新政府メンバーと会談する。
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