ドワンゴは入社試験の有料化をこうすべきだった
永江一石 | WEB系マーケター&コンサルタント
あまりにどうでもいい学生の応募が多いということで、今年からドワンゴが導入した入社試験を受けるときに2525円を徴収するということに厚生労働省が行政指導を行った。
身内の就活生からヒヤリングした(笑)ところによると、もちろん個人の差は大きいと思うが「手当たり次第」「業種も職種も関係無く有名企業ばかりを大量に受ける」という傾向は確かにあるらしい。特にB to Cで名前の通った企業に人気が集中する。なぜかというと「普段から聞き慣れていて誰もが知ってる企業」だからだ。
数名しか新卒を採用しない企業にも、そこが有名なら数千人が押しかけるという。どれどれとダイヤモンドの就活企業人気ランキングを見たら、男女別、文系、理系でベストテン入りのべ40社のうち、総合商社とNTTデータを除くと全てB to C企業だった。
巷ではB to B系のほうがよほど利益を出している傾向が強いのに、要は「どこどこ受かりました」という時に他人が凄いねと言ってくれる企業から選んでいるような気がするわけです。実際、人気ランキングには「この会社、どう考えても将来厳しいでしょ」的な有名企業が散見している。余計なお世話なんでしょうが・・・。
となると、niconicoチャンネルのユーザー数2800万のドワンゴには、さぞかし大量の就活生が押しかけることでしょう。ドワンゴは従業員数420人(928人/連結)という企業規模で、大量の営業マンも必要としていない。新卒採用サイトみると、エンジニア職:40名程度を予定、企画職:若干名 となっていて、つまりは文系はほとんど採用枠が無い。ここに数千人、数万人が押しかけたらそりゃ会社機能は麻痺してしまうだろう。そこで「受験料を頂戴しますよ。どこかに寄付はしますけどね」ということにして本当に応募したい人間だけに絞るということにしたはずだ。
こうすれば厚生労働省の指導は無いし、もっといい人間を採用できる
答えは簡単です。
「自分で探した団体、政府機関、国際機関に一定額を寄付し、その理由をレポートして寄付金の領収書と同封する」ということを義務づければ良い。どの団体経由が一番自分が望んだ人たちにストレートに効率的に寄付が渡るのか、これをレポートするには、団体ごとのリリースや収支決算書を読み込み、情報をいろいろな角度で収集し、分析する能力が必要なんである。わたしは大学で「情報収集学」ということを教えるべきだといつも書いているが、特にIT系ではこの能力が必要です。たまに大学のゼミでゲスト講師をしたりするのですが、いまの学生は本当にものを知らない。この間、このニュースには心底驚きました。
まず確実に言えることは、こうしたレポートを必須にすれば応募者は数十分の1以下に減る。身代わり受験が当たり前といわれるWEBテストに企業は学生1人あたり数千円を支払っている。こんなアホなものに多額のコストをかけて応募者を絞るなら、自分で情報を収集できる能力がどれくらいあるのかが明確になる上記の手法がオススメです。でもまあ、「寄付」だけに絞ると1年しかこの手は使えないけどね。翌年にはネットで寄付先の比較表とか作られそうですから・・・。
まあ、ドワンゴは寄付だから寄付について書いたが、「情報を収集する能力」を試すために毎年課題を変え、レポートティングを応募の際に義務づければ応募者数は激減して、本当にやる気があって能力の高い学生しか集まらなくなりますよ。これは間違いないと思います。