2014年2月2週目の主なできごと
・バリでスキューバ中に行方不明の邦人7人、5人が生存(2月17日)
・女優・黒木華が映画「小さいおうち」でベルリン国際映画祭銀熊賞(2月17日)
・図書館の『アンネの日記』が相次いで破られる被害に(2月21日)
・ソチ五輪女子フィギュアで浅田真央がSP16位から完璧な演技で6位入賞(2月21日)
・ソチ五輪が閉幕(2月23日)
・終電後の京浜東北線が脱線事故(2月24日)
ソチの空に赤い風船が飛んだ
おぐらりゅうじ(以下、小倉) オリンピック終わりましたね。速水さんは、開会式から見ました?
速水健朗(以下、速水) 必ず開会閉会式はチェックするよ。
小倉 今回の開会式は2012年のロンドンに比べると、まわりではそんなに話題になっていなかったような。あのときは映画監督のダニー・ボイルが総合演出、アンダーワールドが音楽監督で、ジェームズ・ボンドがエリザベス2世をエスコートしたり、Mr.ビーン(ローワン・アトキンソン)も出演して、すごくわかりやくかったので。
速水 ロンドンの開会式は、古代から現代までのイギリスの歴史をなぞるという演出だったんだけど、ちょっぴり帝国主義時代の反省みたいなものを見せてたのがポイントだったんだよね。でも、ソチにはその反省はなかった。社会主義時代も描いているんだけど、最後は赤い風船が飛んでいくシーンで終わりってちょっと吹き出した。共産主義は飛び去ってしまったって、なんかうまくごまかしたなー(笑)。
小倉 赤い風船が飛ぶ……そのセンスが、閉会式も含めるとビートルズやザ・フー、オアシスまで取り入れてポップカルチャーの祭典みたいになっていたロンドンとの違いですかね。
速水 イギリスは、20世紀のエンターテイメントに貢献してますというアピールがあるんだけど、ロシアの栄光は、主に19世紀止まり。ストラヴィンスキーとかカンディンスキーのような20世紀に活躍した人もいるけど、チャイコフスキーもドストエフスキーも19世紀の人だからね。
小倉 100年以上も前の話ですか。
速水 あと話題になったのは、朝日新聞が開会式で五輪のマークが開かなかった写真を一面にしたという。
小倉 はい。会場では四輪しか開かなかったのに、ロシア国内向けの中継では五輪がちゃんと開いてる映像を流したっていう。
速水 でもあのアクシデントを生かして、閉会式ではその開かなかった輪が開くという演出にされたのは気が利いていた。とはいえ、準備していた人たちは生きてる気がしなかっただろうね。一つ失敗したら、シベリア送りとか、一生をふいにしかねない。プーチン恐ろしい。
小倉 プーチンには睨まれたくないですよね。安倍総理が会談で「ウラジーミル」とファーストネームで呼んで親密ぶりをアピールしていたっていうニュースがありましたけど、もしプーチンが「シンゾー」と口にしたら、きっと「心臓……!? え、えぐられる!!!」って思いますよ。
速水 朝日新聞が開かなかった五輪を一面にしたのに加えて、グーグルはロシアが同性愛の人権が守られないことを批判する形でレインボーカラーにオリンピックデザインのトップ画面を作ったよね。
小倉 見ました、それ。パッと見た感じはオリンピックカラーの配色かと思いきや。
速水 世界は今回のオリンピックに対して冷ややかなんだよ。朝日新聞は、その空気を読んだからあの一面にしたんだよね。G8首脳クラスがこぞって欠席するなか、日本と中国は、ノコノコと首脳が出席していたけど。
浅田真央が滑る「天城越え」
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